シキ613の命日

湯島のとも @Syas

さて、今回はちょっと文章多めというか写真が少なくて説明が多くなるがお許しを。2004年の東北線で起きて、結果としてシキ613にトドメを刺したと思われる「車両故障」。ネットで検索してもあんまり出てこないからせっかくなんでこの機会にを書いてこうと思う。　#火曜日の貨車

湯島のとも @Syas

2004年の春の終わり頃、その頃から色々と忖度ｗしていただいてた方（以下荷主さんと表記）が勤めている会社が荷主で青森県までシキ611を使った特大貨物があって、郡山あたりまで撮りに行くけど一緒に来ます？とお誘いいただいたのでありがたく車に乗せていただくことにした。　（続く　 #火曜日の貨車

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ダイヤは新白河を越えたあたりで日の出を迎え、矢吹で少し停まって、郡山ターミナルで６時間停まって夕方発車だったかと思う。なので矢吹の手前、矢吹の停車、郡山(タ)の手前で撮って、夕方五百川辺りで撮って帰って来る、みたいな話で、まずは矢吹のちょっと手前で撮影をした。（続く #火曜日の貨車

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「なんか速くありません？」撮り終わって荷主さんと二人して抱いた感想がそれ。45km制限の筈がそれよりは速い気がしてならなかったのだが、兎にも角にも次は矢吹駅で撮るために車に乗った。駅に着いたのは着時刻の７〜８分前。これなら入線も撮れるなと入場券を買いながら思った　（続く #火曜日の貨車

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ホームに降りてみると到着まで５分以上あるのにもう線路の彼方にED75が見えていた。下り本線ホームの先端から中線へと入ってくる所を撮ろうと構えると、なぜかシキ611の後ろ半分がやけにぼやけて見えた。横にいた荷主さんが「まって、あれヤバイよ」と声を上げた。　（続く　 #火曜日の貨車

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シャッターを切った数秒後、ED75が横を通過し続いてシキが横に差し掛かると風圧とともに焼けた匂いが飛んできた。焦げた匂いとは少し違う。東京メトロの6000系辺りが制動かけた時の匂いを数倍に強めたような感じだった。列車はホームのかなり前寄りに停車した。　（続く　 #火曜日の貨車

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停車したシキからはそれまでぼやけるように半透明だった煙がまとまって白くなり水蒸気のように上がっているのが見えた。それは前から３つ目の台車から上がっていた。荷主さんが「ダメだこりゃ...」と呟き続けて「ともさん今日は一人で帰ってもらうかも」と呆然と言った。　　（続く　 #火曜日の貨車

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列車の最後尾のヨ8000から２〜３人検修係が降りてきて、匂いに気がついてシキの点検を始めたのだが。煙を吹いてるのは反対側なのにホーム側ばかりを覗き込んでいた。荷主さんと自分は向かいのホームから「そっちじゃなくて山側の前から８軸目です」と伝えた。　　（続く　 #火曜日の貨車

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最初は「は？？」って顔をされたが、荷主さんが「山側の軸焼けてるって！！」と叫ぶと検修係の内の二人が線路に降りてきて吹き上がる煙を見て慌てだした。慌てはしたものの何度まで熱されてるか分からない軸箱を触るわけにもいかず、離れて様子を見るばかりだった。　　（続く #火曜日の貨車

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そんな様子を何枚か撮ってから、荷主さんがシキの止まっているホームに行くというので付いていった。ヨの横まで行くとホーム上に残った検修係がどこかに電話していたが相手が出ないようで何度かかけ直していて、そこに線路に降りてきた検修係が戻ってきた。　　（続く　 #火曜日の貨車 pic.twitter.com/k01viZdzfj

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湯島のとも @Syas

頃合いを見て荷主さんが「すいません、これの荷主の会社のものなんですけど、これどうやったって明日、三沢に着かないですよね」と社員証を見せながら声をかけた。検修係さんたちは「え？なんでここに荷主がいるの？？」と驚いていた。　　（続く　 #火曜日の貨車

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そこからしばらくは検修係も荷主さんも電話をかけまくっていた。会社の上司に事態の報告、検修係は郡山タの検修あたりにでも電話をしてい様で、その内75の機関士も降りてきて、動かしていいのかと話し合いを始めたが、もちろん動かせる状況じゃなかった。　　（続く　 #火曜日の貨車

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矢吹駅は朝のラッシュ時、郡山からきて矢吹折り返しの区間列車が何本か設定されていた。シキはそれらの列車が走り出す前には１本しかない中線を空けるはずだったのだがもちろん動けるわけもない。結果、矢吹で折り返すはずの電車は新白河まで回送で出すことになった。　（続く　 #火曜日の貨車

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結果、矢吹発の下りは運休となり、田舎とはいえ通勤通学時間帯では下りのホームは結構な混雑となり、黒磯からの下り電車は積みきれずでドアが閉まらず発車できないという混乱状態になっていた。で。荷主さんの会社の方もなんか混乱が始まっていた。（続く　 #火曜日の貨車

湯島のとも @Syas

荷主さんは会社に連絡を入れる→会社から日通に連絡が行く→日通から荷主さんに「なんか車両故障があったみたいで状況は現在調査中ですが荷物が延着になる恐れが」と連絡がくる。その電話が終わりしばらくすると会社から「日通が状況教えてくれって」と電話がくる　（続く 　#火曜日の貨車

湯島のとも @Syas

どうも何回説明してもなかなか日通の担当さんは荷主さんが今まさに現場にいるという状況が理解できてなかった様だ。そんな混乱お内にどんどん時間は過ぎたが、とりあえず夕方のラッシュまでに矢吹の中線を空けねばならないということで話が決まった様だった。（続く　 #火曜日の貨車

湯島のとも @Syas

矢吹駅には上下本線と中線の他に東側に保線用の側線がある。一旦はそこにシキを入れて終電後に極低速で郡山(タ)まで移動させるということになったのだが保線側線には架線がないのでED75では入れ替えが出来ず、DE10を医療呼ぶことになった。（続く　#火曜日の貨車

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日通では三沢での荷役のために東北道を北上していた部隊が福島を越えたあたりだったので引き返させて矢吹に向かわせるとのことだった。入れ替え用のDE10が矢吹に着いた頃には昼になっていた。DEは上野方に連結され、ED75は切り離された。　（続く　#火曜日の貨車

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保線側線を使うため線路閉鎖の手続きに時間がかかり、入れ替えが始まったのは14時過ぎだったと記憶している。5kmもないような超低速で一旦本線の上野方に引き上げ保線側線に押し込んでいくのだが、保線側線の路盤は弱く、何度も止めて確認しながらシキが押し込まれていった。（続く　#火曜日の貨車

湯島のとも @Syas

ホームから見ているとシキの荷重がかかるとバラストすらあまりない保線側線はかなりの勢いで沈み込んでいた。DE10とともに人が増えた検修係は焼けた軸箱を開けて点検を始めたがホームから見ても軸受けは真っ黒に、潤滑油は古くなた蜂蜜の色のように変質していた。（続く　 #火曜日の貨車 pic.twitter.com/4HPl7e0dFS

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日が傾き始めた頃、日通の荷役部隊が矢吹駅に到着し、保線側線の道床に養生を始めた。焼けた車軸の負担を減らすために、この場で変圧器を下ろすのだというが緊急措置なので手順などを確認しながらの作業でなかなか進まず、準備作業が終わる頃には日が暮れ始めていた。（続く　 #火曜日の貨車

湯島のとも @Syas

元々昼間しか撮るつもりもなかったので三脚など持ってきていなかった上に、CFもバッテリーも終わりかかっていた自分はここで帰ることにして、荷主さんと別れ新幹線で帰ってきた。後で聞いたら荷主さんは郡山のホテルに泊まったそうな（続く　 #火曜日の貨車

湯島のとも @Syas

その後シキはなんとか荷物を降ろし、終電後に15km制限でそろそろと郡山(タ)まで運ばれたそうな。軸焼けを起こした台車は熱による膨張変形で修復できる状態ではなかったというが、１週間後に荷主さんから２週間遅れで郡山を出ると連絡が来た。335時間手配かよと笑った。（続く　 #火曜日の貨車

湯島のとも @Syas

郡山から再出発の日、昼頃に郡(タ)に着くとちゃんと荷物を積んだシキ611が出発線にいた。台車はどうしたんだろう？と見てみると....なんかすごく汚いｗ　他の既存の台車より色あせ苔むした様な台車を履いていたｗ　この日は仕事だった荷主さんに電話すると（続く　 #火曜日の貨車 pic.twitter.com/h5Hb1bgGWO

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湯島のとも @Syas

「あ〜それ、台車新製なんかしてられないんで小山の613からだいしゃぬいてきたって」とのこと。え〜？となったがとりあえず写真を撮り、発車を見送って帰ってきた。その後三沢までの道中は何事もなく輸送は終了したという。 #火曜日の貨車