- Lycoris_1120_ur
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夢を見た。悪夢だった。 起きてしまうと、残滓は何も残っていなかった。 ただ、寝汗がどうにもべたついて、気持ち悪かったことだけは覚えている。
2018-04-01 23:38:06「君はまだ行かないの」「行き先が決定していないのに、行くも行かないもありません」「俺はまだ此処にいなきゃいけないの」「鉄道の運行時間前に忍び込んできたのはお前の方です」
2018-04-01 23:39:21「片道切符はまだ発行さえもしていません。この時間軸では確かにそうです。なので間違いなくお前は無断侵入です。言語道断で消してやってもいいところを残されているだけ、感謝してほしいものですね」
2018-04-01 23:41:14「……俺は」「精々足掻いてください、人間もどき。お前の生き様に興味など全くもって抱く筈もありませんが、お前のデータを不用意に撒き散らかされて、彼方に悟られてしまうのは困る。故にお前に今消えられると、わたしの仕事がコンマ3秒ほど増えてしまう。わたしはそんな無駄な手間は御免です」
2018-04-01 23:45:04「ただでさえ対照実験を行うのは手間がかかるんです。異なる二つ以上のものを、一つの条件以外、全く同じ環境に整えなければならない。其処に生物という不確定要素が含まれるのならば尚のこと。お前というデータの暴走で、他の条件まで狂わされるのは御免です」
2018-04-01 23:48:48「君は一体」「それ、今聞かなくちゃいけないことですか?わたしはそんな些細なことまで、ゴミのようなお前なんかに名乗らなくてはいけないのですか?それは本当に今でなくては聞けないことですか?違いますよね?」
2018-04-01 23:50:09「全く。ほら、まだ眠っていて下さい?お前の出番はまだまだ先です。わたしの仕事も、大詰めになるのはいつのことやら。わたしだって暇じゃないのですから、お前もさっさとスリープに入って下さい。正直、邪魔です」
2018-04-01 23:51:48最後に見たのは、 夜桜の中、 ひらひらと散る花びらの中、 じゃらじゃらと鳴る錆びた鎖に、 繋がれた、ひとりの、ーーーー
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