Happy Birthday !!! ~ DELTA BELUN 3035 ~ #FSS_jp

永野護さん、お誕生日おめでとうございますっ!! ・ ・ ・ ・ 続きを読む
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≡ DELTA BELUN 3035 ≡

夢乃 @iamdreamers

星団暦3035年某日、デルタ・ベルン、フロートテンプルの一角。 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:13:28
夢乃 @iamdreamers

グリステリア市は低い雨雲に覆われ雨模様らしいが、その雲の上を飛ぶフロートテンプルにはイースターの光が燦々と注いでいる。そんな麗らかな陽気の中、畳敷きの部屋でテーブルに向かうソープの姿があった。 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:13:57
夢乃 @iamdreamers

片手に鉛筆を持ち、時々頭を掻きながら、紙の上に何やら書きつけている。周囲には、複雑な図面や数式の書かれた紙が、何枚も散らばっている。今日は、書きあがった紙面に落書きをするギャラリーはいないようだ。 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:14:26
夢乃 @iamdreamers

「あ、あの、陛下? 今、よろしいですか?」 ソープの正面、庭園に向いている開け放たれた障子の隅から、頬を染めた少女が顔を覗かせた。ソープは顔を上げた。 「あれ? ツバンツヒ、どしたの? 学校は?」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:14:49
夢乃 @iamdreamers

「今日はお休みですので」 「あ、そっか、日曜だっけ。何? そんな所にいないで入りなよ」 「はい、それでは、失礼します」 両手を後ろに回して部屋に入ったツバンツヒは、ソープの向かいに正座した。 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:15:18
夢乃 @iamdreamers

休みだというのに、今日もグリース内宮高等学校の制服を着ている。 「あの、陛下は何をなされていたんですか?」 「ん? これ? マグナパレスの次元航行デバイスの設計を、ね。ラキシスに頼まれちゃって」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:15:45
夢乃 @iamdreamers

その、天照帝の“非公式の正妻”の名前を聞いた時、ツバンツヒの顔にほんの一瞬、殺意がよぎったのは気のせいだろうか。表面上は何事もなかったように、ツバンツヒは繕った。 「それで、何か用があったんじゃないの?」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:16:07
夢乃 @iamdreamers

「はい、ええと、ですね・・・」 可愛らしく頬を染めて俯くツバンツヒ。それから顔を上げると、後ろ手に隠していたものをさっとテーブルの上に差し出した。 「へ、陛下、お誕生日、おめでとうございますっ」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:16:28
夢乃 @iamdreamers

大きなホールケーキ。小さな蝋燭が15本、ケーキの縁に円形に並べられ、中央にも大きな蝋燭が1本。周りの蝋燭に次々と火が灯り、最後に中央の蝋燭がぽっと灯った。 「あれ、ボクの誕生日って、今日だっけ」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:16:56
夢乃 @iamdreamers

当の本人は忘れていたらしい。 「はいっ 1015歳のお誕生日、おめでとうございますっ」 天照は照れたように頭を掻いた。 「ここんとこずっと、誕生日の催しなんてしてなかったからなぁ。よく知ってたね。ありがとう」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:17:22
夢乃 @iamdreamers

「はいっ 陛下のことなら、なんでも知っています」 実は、去年と一昨年の2年間、学校やGTM開発にかまけて失念していたことは、ソープには内緒だ。 「これ、吹き消せばいいの?」 「はい、お願いしますっ」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:17:46
夢乃 @iamdreamers

ソープは、今まで鉛筆を走らせていた目の前の用紙を横にどけ、ツバンツヒはケーキをテーブルの中央あたりまで押しやった。 「じゃ、いくよ」 「はいっ、どうぞっ」 息を吸い込んだソープは、口に溜めた気体をケーキに向けて吹き出した。 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:18:09
夢乃 @iamdreamers

16本の蝋燭の揺らめく炎はソープに抗しきれずに綺麗に消えた。 ぱちぱちぱち。 「お見事ですっ」 ツバンツヒが手を叩いて褒め称えた。 「ありがとう。これ、君が作ったの?」 「はい、陛下のために、腕によりをかけて作りました」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:18:29
夢乃 @iamdreamers

「料理の腕、日に日に上がっているね。食べていい?」 「はい、もちろんです。あ、ちょっと待ってください」 後ろに回した手を前に出すと、どこに隠し持っていたのか皿とフォークが現れた。 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:18:50
夢乃 @iamdreamers

もう一度手を後ろに回すと、今度はケーキナイフが。それを使って丁寧にケーキを切り、皿に移して差し出す。 「どうぞ、お召し上がりください」 「それじゃ、遠慮なく。いただきまーす」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:19:10
夢乃 @iamdreamers

フォークを手に取り、三角形に切り取られたケーキの一角を切り取って口へと運ぶソープ。その様子を固唾を呑んで見守るツバンツヒ。ケーキの一片が口に入り、咀嚼され、喉が動く。 「・・・いかがですか?」 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:19:30
夢乃 @iamdreamers

恐る恐る尋ねるツバンツヒに、ソープはにっこりと微笑んだ。 「うん、美味しい。充分に甘いけれど甘すぎず、スポンジも程よい弾力があってよく焼けてる」 ツバンツヒの顔が輝いた。 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:19:51
夢乃 @iamdreamers

「喜んでいただけて、よかったっ 苺も食べてみてくださいっ 今朝、マーク2でデルタ・ベルンを飛び回って一番良いのを探しましたからっ」 「ふうん。どれどれ」 今度はフォークが苺に延びた。 ツバンツヒにとって、幸せこの上ないひとときだった。 #twnovels #FSS_jp

2018-01-21 00:20:15