ソラマチ番外編①<安田>

つくし @IceBear0630

1 それは、海の一言で始まりました。 <お母さん！バレンタインってなーに？> 「バレンタイン？」 <幼稚園のお友達がやるんだって！海もしたい！> なるほど… 「バレンタインっていうのは、好きな人にチョコを渡す日なんだよ」 ＃ソラマチ番外編①

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2 私がそう言うと <好きな人…> と海は暫く考えた後で <わかった！お父さんだね！> 「そうだね。作ろっか。チョコレート」 <うん！作る！> ＃ソラマチ番外編①

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3 次の日 今日は章大さんもお休みの日なので 家族全員でお家にいます。 海はギターをいじっていた章大さんの所へ駆け寄った <お父さん！お仕事は？> 『仕事？ないで？』 <だめー！> 『？だめー？』 <今日はお父さんはお家にいたらダメな日なのー！！> ＃ソラマチ番外編①

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4 『ふぇ？』 <だからお出かけしてきてー！> 章大さんの腕をグイグイ引っ張る海。 『ちょ…千歳、何があったん？』 「えっと…<お母さん！だめー！！>」 「母と娘の秘密ですね…」 と誤魔化すしかなかった。 ＃ソラマチ番外編の

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５ 『なんなんそれ…』 ちょっとだけ唇を尖らせて立ち上がる章大さん あ、これは完全に拗ねていらっしゃる。 だけど、海の手前フォローできないなぁ… 『出かけてくる。何時まであかんの？』 ＃ソラマチ番外編①

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6 「よ、4時くらい？」 『そんなに？』 そんな子犬みたいな目で見つめないでください…章大さん 『まぁええわ…出かけてくる』 と章大さんはドボドボ歩いてきてでかけていったのです。 ＃ソラマチ番外編①

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7 章大さんが出かけたあとで。 「よし、海！章大さん、すごいしょんぼりしちゃったから美味しいチョコつくるよ！」 <わかったぁー！> … それから、私が切ったチョコを海が混ぜて。 <おいしくなぁれ！> って一生懸命やってくれたんです。 ＃ソラマチ番外編①

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8 其の姿があまりにも可愛くて 後で章大さんに見せようと思って つい、ケータイで海をパシャリ すると <あ！だめ！お母さんもちゃんと作って！> って怒られてしまいました笑 ＃ソラマチ番外編①

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9 「はいはい、ごめんね？」 <もー！> … それから、溶かしたチョコレートを冷蔵庫に入れて 「よし、海。クッキー16枚つくるよ！」 <どうして16枚？> 「出来てからのお楽しみ！」 とクッキーも作ったのです。 ＃ソラマチ番外編①

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10 クッキーが焼きあがったあと 「海、ひらがな書けるかな？」 <書けるよ！なんて書くの？> 「えっとねぇ…〇〇〇…」 私が書く文字を教えると <すごいね！素敵だね！> と海も笑ってくれた。 ＃ソラマチ番外編①

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11 … 午後4時 『ただいまぁ』 と章大さんが帰ってきた 洗面所で手を洗ってから 『甘い匂いするけど、お菓子作って<まだだめー！！>』 と海が章大さんの背中を押してリビングへ連れていく。 <お父さんはここに座る！> ＃ソラマチ番外編①

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12 と章大さんを座らせた。 『なんやねん、今日…秘密ばっかり。…最悪や』 大丈夫だよ、章大さん。 これから最高の日になるはずだから。 ＃ソラマチ番外編①

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13 「海、章大さん」 私はチョコとクッキーを持っていった。 そして、海と、せーのって声を合わせて 「<ハッピーバレンタイン！>」 と章大さんにお菓子を差し出した。 章大さんは目をまるまるにして驚いていた。 ＃ソラマチ番外編①

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14 だって、 クッキーにはチョコペンで 〝しょうたさん だいすき うみ と ちとせ〟 って書いてあったから。 『これ…』 <海が書いたよ！> 『ほんまに？』 「うん、黙っててごめんね？びっくりさせたかったの」 ＃ソラマチ番外編①

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15 すると 「わっ」 <わあっ> 私と海は章大さんに抱きしめられた。 『なんなんこれ、ずるいわ～。 ほんまに嬉しい、ありがとう』 <成功？> 「大成功！」 私たち3人は笑いあったのです。 ＃ソラマチ番外編①

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16 海が寝てしまってから。 私は章大さんに写真を見せながら海の頑張りを報告中 『あ～、めっちゃかわええやん』 デレデレの章大さんです。 『多分俺今日世界で一番幸せや』 本当に嬉しそうな章大さんを見て 私もすごい嬉しかった ＃ソラマチ番外編①

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17 ちなみに、 ホワイトデーには <わー！くまさん！> ティディベアを私と海にくれた章大さん 「私の分も…ありがとう」 『何言うとるねん、ホワイトデーも好きな人に感謝する日や！』 ＃ソラマチ番外編①

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18 といって、クマの手を掴んで私のほっぺをグリグリする章大さん 「ひょ、ひょーしゃ、しゃん」 うまく喋れない すると 章大さんがぴたっと止まった 『あかん、キスしたくなってきた』 ＃ソラマチ番外編①

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19 へ？、と答える前にくちびるが触れる 『へへ、もーらい♪』 私は驚きのあまり座り込んだ そこに海がやってきて <お母さんどうしたのー？> と聞いた 『んー？お母さんクマさん貰えたの嬉しすぎて座っちゃったんよ』 ＃ソラマチ番外編①

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20 う、海が見てない時を狙ったのか…！ 確信犯なのか…！！ このままではなんか悔しいので 「海？」 <ん？> 「向こうに赤いペンあるはずなんだ。とってきてくれない？」 <わかった！> ＃ソラマチ番外編①

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21 と、海が見えなくなった瞬間 章大さんを自分の方に引き寄せて ちゅっ、と触れさせた。 「…やり投げは許されません…！」 もちろん、精一杯睨みつけて。 章大さんは、ははっと笑って ＃ソラマチ番外編①

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22 『あかんよ、千歳～、』 といって 私の耳元で 『そんな可愛ええことするなら、夜、覚えといてな？』 と囁いた。 私よりも章大さんの方が何枚も上手だということがわかった1日なのでした。 おしまい。