「同性愛と異性愛」から考える同性愛差別について(仮題)

読みながら感想を呟いていくスタイル。とりあえず本文は終了。全体の感想とまとめの整理はまたいずれ。 過去に読んだ本はこちら→ https://togetter.com/li/1144604
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波島想太 @ele_cat_namy

【本棚登録】『同性愛と異性愛 (岩波新書)』風間 孝 booklog.jp/item/1/4004312… #booklog

2018-02-07 11:16:02
波島想太 @ele_cat_namy

このようなタイトルではあるが、本来同性愛と異性愛に本質的な差はない、というスタンスである。それは男女という区別にも似て、男女は同じ人間であり権利は平等ではあるが、それとは別に厳然と存在する性差については理解が必要だろう、という。 pic.twitter.com/QrCzlZ80lq

2018-02-07 11:18:56
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波島想太 @ele_cat_namy

同性愛も内面的には異性愛と変わらない「他者を愛する」という行為である。そこに本来区別は不要である。ただ、異性愛との間には制度的、社会的な差が存在する。その辺りのここ30年くらいの流れを追う書籍である。と思う。たぶん。とりあえずそういうつもりで読んでいく。

2018-02-07 11:21:53
波島想太 @ele_cat_namy

「同性愛と異性愛とは本質的には違わない(はずである)」という立場について、冒頭で気になるトピックが触れられている。90年代にエイズで死亡した男性同性愛者の脳の構造を調べたところ、視床下部に異性愛男性との違いが見られたという研究があった。

2018-02-07 11:28:01
波島想太 @ele_cat_namy

もしそうした構造的違いがあるのだとすれば、たとえば発達障害や自閉症などと同様な「健常者との医学的な違い」があるということになるわけだが、その手の研究は今に至るまで明確な結論は出せていない。そうした「原因」を探る研究にも価値はあるだろうが、同性愛は果たして「治療」すべきものなのか。

2018-02-07 11:32:18
波島想太 @ele_cat_namy

日本におけるホモフォビア(同性愛嫌悪)は1985年に日本でエイズの一号患者が確認された際、その患者が米国在住の男性同性愛者とされたことに一因があると著者は見る。その後国内でもエイズ患者は増えていったが、予防対策などはなく、関心はもっぱら感染源にあった。

2018-02-07 11:36:29
波島想太 @ele_cat_namy

当時の厚生省は感染の中心地である北米からの侵入を防げば事足りると考えていた節がある。しかし翌年、日本の風俗店で働いていたフィリピン人女性にHIV感染者がいたということで、ちょっとしたパニックになった。フィリピンパブに行っただけで感染を疑われたり、発見地のナンバーの車が拒否されたり。

2018-02-07 11:39:45
波島想太 @ele_cat_namy

さらに翌87年、別の県で日本で最初の日本人女性の感染者が発見され、しかもこの女性も風俗転勤務だったということで、マスコミの報道合戦が始まった。ほどなく当該女性が死亡すると、週刊紙はこの女性の実名を公表し、葬儀会場に侵入して遺影を撮影、紙面に掲載した。

2018-02-07 11:42:34
波島想太 @ele_cat_namy

週刊誌の言い分としては、この女性と関係を持った男性に抗体検査に行くよう促す注意喚起ということだが、こういう体質は今に至ってもまったく変わっていない。それはさておきこの件があって、国内におけるエイズ対策がようやく始まるわけだが、引き続き同性愛や外国人と結びつけられ、不安を煽る。

2018-02-07 11:45:51
波島想太 @ele_cat_namy

つまり「男性同性愛者」や「性産業従事者」をハイリスク集団と見なし、排除することで自分達はHIVに感染しないという安心感を得ようとしたわけである。「ホモ差別は自衛のためのやむを得ない対策である」という大義名分で差別を正当化する構造は、他にも様々な場所で見られる。

2018-02-07 11:49:20
波島想太 @ele_cat_namy

一方で、血液製剤によるHIV感染もあった、が、ここで88年に成立したエイズ予防法の不備により、「薬による被害を受けた感染者」と「同性愛など自己責任の感染者」という分断が生じる。当社はむしろ加害者とすら見られ、同性愛のカミングアウトは難しい社会情勢となったわけである。

2018-02-07 11:54:38
波島想太 @ele_cat_namy

「同性愛と異性愛」から考える同性愛差別について(仮題) - Togetter togetter.com/li/1197027 とりあえずこんな感じで進めてまいります。続きはまたいずれ。

2018-02-07 11:58:26
波島想太 @ele_cat_namy

同性愛者(特に男性)の可視化がエイズ問題と共になされたのでその否定的な影響を軽んじることはできないが、エイズ予防啓発を促進し、患者への支援、行政への働きかけなどのアクションが、ゲイのムーブメントを活性化する触媒にもなった。

2018-02-07 14:51:09
波島想太 @ele_cat_namy

それまで一人やごく少数の理解者の中に隠れていた同性愛者が、コミュニティを形成することになった。白眼視が強まることで危機感を覚えたために、団結の必要性を痛感したのかもしれない。

2018-02-07 14:53:00
波島想太 @ele_cat_namy

こうした活動などの結果、99年にエイズ予防法は廃止され、「感染症予防法」に生まれ変わった。また一方で、エイズは同性愛者や性産業従事者の病気でなくみんなの病気であるという意識も生まれてきた。たとえばアメリカでは、プロバスケのマジック・ジョンソンの感染告白があった。

2018-02-07 14:56:07
波島想太 @ele_cat_namy

さて、これまでいわゆる一般大衆からの同性愛者への意識について触れてきたが、次は制度的な扱いである。東京の都立宿泊施設の府中青年の家で、同性愛者グループの利用を拒否されたことに対する訴訟が起きた。

2018-02-07 14:59:08
波島想太 @ele_cat_namy

同性愛者グループの宿泊者が、別のグループから「ホモ」「オカマ」とからかわれ、抗議したところ次回以降の利用を断られたのである。裁判の中で施設側は「自分達でわざわざ同性愛者のグループと名乗ったのだから、それによってどのような扱いを受けても自己責任である(要約)」と主張した。

2018-02-07 15:02:10
波島想太 @ele_cat_namy

さらに施設では教育的施設であることを理由に異性の同室利用は規則で禁じており、また同性愛者は性的指向が同性に向くのであるから、同性の同室も不可である。同施設に個室はないから、同性愛者グループの利用を許可しないのは妥当な措置であるとも主張した。

2018-02-07 15:04:25
波島想太 @ele_cat_namy

確かに同性愛者であることを明かさず、なにか別の名目をでっち上げて利用することはできる。しかしそれは嘘をつくことであり、そうした後ろめたさを強要すること、また何かの拍子に露呈したときに責められるという不安を抱かせることは、決して公平とは言えない。

2018-02-07 15:06:56
波島想太 @ele_cat_namy

管轄する東京都教育委員会などとも掛け合ったが対応は変わらず、議論は裁判へと持ち込まれた。詳細は省くが地裁は男女別室の規則を同性愛者に当てはめて利用を拒否するのは妥当ではない、というものだった。

2018-02-07 15:12:11
波島想太 @ele_cat_namy

判決では同性愛の定義にも触れられた。「同性愛は、人間が有する性的指向の一つであって、性的意識が同性に向かうものであり、異性愛とは、性的意識が異性に向かうものである」これはつまり、同性愛と異性愛を平等に位置付け、同性愛を異常視する傾向の見直しを意味している。

2018-02-07 15:15:46
波島想太 @ele_cat_namy

しかし二審で都は、「現実に行われている性教育は異性間のものを原則としており、年少者に同性愛のことは理解できないから、偏見の目で見るのはやむを得ない。むしろ年少者にそうした団体と接する機会を持たせることは一種の加害である(要約)」と加害と被害の関係を転倒させようとした。

2018-02-07 15:19:55
波島想太 @ele_cat_namy

またイミダス(1990年版)や広辞苑(第三版)などの著名な辞典で同性愛については「異常性欲」といった記述をしており、そうした否定的なニュアンスで語られる存在の団体を利用拒否するのは過失とまでは言えない、というのである。

2018-02-07 15:23:18
波島想太 @ele_cat_namy

結局二審でも利用拒否は不当という判決になり、上告せずに確定する。その後同性愛者の団体は何度か施設を利用したが、法廷で主張したような問題は起こらなかった。 この裁判は、日本において同性愛者への差別に焦点を当てた最初の裁判とされている。司法は、異性愛と同性愛を同等としたのである。

2018-02-07 15:26:49
波島想太 @ele_cat_namy

(海外における同性愛者の歴史について触れられているが、長くなるので割愛。みんな大好きオスカー・ワイルドの名前も出てくる。同性愛は犯罪とされ、ドイツでは懲役刑にもなった)

2018-02-07 15:33:31
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