アニメカイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡を巡る旅、蒼天航路シリーズ構成：割りきれないもの

まきもgpfb @makimogpfb

カイジが好きというだけで始めてしまった、カイジのシリ構、高屋敷英夫さんの歴史を追うシリーズの続きやります。 今回は蒼天航路シリーズ構成。 前回は同作21話脚本。 ブログ: makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2018/02/… 上記ブログ関連ツイートまとめ: togetter.com/li/1198268 他: togetter.com/id/makimogpfb

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路a アニメ・蒼天航路は、曹操の生涯を描いた同名漫画のアニメ化作品。高屋敷氏はシリーズ構成も務める。 監督は学級王ヤマザキや頭文字D4期などを監督した冨永恒雄氏。 総監督は、バイファムやワタルなどのキャラクターデザインで有名な芦田豊雄氏。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路b 配信終了が迫っていたため、今回も詳細はブログに書きました: 蒼天航路シリーズ構成:割りきれないもの - カイジのシリーズ構成・高屋敷英夫さんの軌跡 makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2018/02/… #はてなブログ

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路c 最終回(脚本は、ふでやす氏)は、曹操と袁紹(えんしょう)の一大決戦のうち、袁紹軍の将・文醜(ぶんしゅう)の軍と、曹操軍の戦いが描かれる。 知略のぶつかり合いの末、文醜軍を川におびき寄せた曹操軍は堰を決壊させ、文醜軍を一網打尽にする。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路d ところでこの、堰を決壊させる作戦も、ルパン三世3期脚本の、火山湖を決壊させる作戦と被ってきて面白い。最終回は、高屋敷氏の脚本ではないのだが。 pic.twitter.com/eDI4mxDQMP

拡大

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路e 曹操は、武と智でキレイに割りきれるタイプの人間である文醜や袁紹と、割りきれない心の闇を持つ自分との違いを文醜に語り、自分の闇を上回る者だけが、自分から全てを奪うことができるのだと説く。そして文醜を討つ。(全台詞はブログ参照 makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2018/02/… ) pic.twitter.com/E7Tn3EDiuO

拡大

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路f そして、ひとり曹操軍に下って戦う関羽もまた、割りきれぬ心の闇を開放し、修羅と化していた。そんな関羽に張飛が挑み…そして、その後の彼らの活躍が描かれ、「破格の英雄曹操は、蒼天を―駆け抜けていく」ていう文で最後は締め括られる。 pic.twitter.com/7FGfdL2hWv

拡大

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路g やはり私が11話で予想した( makimogpfb2.hatenablog.com/entry/2018/01/… )通り、高屋敷氏のテーマの一つである「善悪の区別は単純ではない」が、最終回のクライマックスにて前面に出ている。正直、このシリーズ構成に戦慄した。原作に寄り添いながら、自分のテーマを出している。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路h この「善悪の区別は単純ではない」という高屋敷氏が長年取り組んできたテーマを、(多分原作通り？)曹操がうまいこと「割りきれない心の闇」と言ってくれるわけで、全ての話がこの台詞のためにあったかのような構成。リアタイではこれに気付けなかっただけに、驚き。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路i これもまた、「原作通りと思っていたら、知らず知らずのうちに、高屋敷氏のテーマや好みに視聴者が巻き込まれている」という、高屋敷氏が見せる妙技の一つ。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路j 以前も何回か書いたが、これは高畑勲監督がよく使う技で、高畑監督の下で、高屋敷氏がじゃりん子チエの脚本を多く書いたことが大きいのではないかと思う。チエ前・チエ後は、高屋敷氏の軌跡の中でも大きなポイントであると、色々な作品を見ていて思う。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路k 曹操の言う「割りきれない心の闇」は、アカギやカイジのシリーズ構成・脚本でも描かれており、アカギでは、序盤は安岡さんがアカギの本質を知りたがり、終盤ではアカギが鷲巣の本質を知りたがるが、どちらも底知れない闇にはまっていく。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路l カイジのシリーズ構成においては、1期終盤の、会長とカイジの会話(互いに「ギャンブルに脳を焼かれている」のだと会長が言うあたり)に表れている。会長もカイジも、互いに「割りきれない」ものを抱えているのは同じ。それを探り合う場としてギャンブルが機能している

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路m 蒼天航路に話を戻すと、「割りきれない心の闇」について語って文醜を斬った曹操は、ラストシーン近くで黄昏に佇む。この「昼でも夜でもない黄昏」が、曹操の言う「心の闇」のうまい暗喩になっている。 pic.twitter.com/jlqci9CTM6

拡大

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路n また、蒼天航路についての構成方針としては、 ・善悪の区別は単純ではない という大きなテーマのほか、 ・少年→男→将→龍への成長 ・己を強く保て ・自分の生き方は自分で決めろ あたりが、高屋敷氏がよく投げかけるテーマの中から適用されていると思う。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路o ちなみに、蒼天航路についての私のブログ記事一覧はこちら: makimogpfb2.hatenablog.com/archive/catego… とにもかくにも、高屋敷氏の歴史を辿ってみた上で見てみると、非常に興味深い作品だった。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路p 再び曹操の言う「割りきれない心の闇」に目を向けて見ると、アカギ、カイジ、ワンナウツの渡久地、ジョーの丈など、常人には計り知れない心の持ち主を、高屋敷氏は脚本やシリーズ構成で扱うことが多い。元祖天才バカボン演出・脚本のパパも然り。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路q そんな計り知れない心を「見ている」ものがいるとすれば、それは鏡だ。高屋敷氏の演出や脚本には、「鏡」が頻出するが、鏡は常人には見えない何かが見えているのかもしれない。 そう思うと、カイジ1期にてカイジが鏡を叩き割るシーンの強調が意味深に見えてくる。 pic.twitter.com/XUdxLypA8E

拡大

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路r 高屋敷氏は、何十年と、あらゆる作品を通して人間の心の複雑さを描いている。 鷲巣・アカギの、互いの心の本質の探り合いは、原作では10年以上かかった。アニメアカギは、それを予言するような構成。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路s 蒼天航路にしろ他作品にしろ、高屋敷氏の打ち出すテーマの共通性に驚かされる。シリーズ構成ともなれば、それがより強力に打ち出されている。蒼天航路は、それを強く感じる作品だった。

まきもgpfb @makimogpfb

高屋敷氏シリーズ構成・蒼天航路t ちなみに、蒼天航路最終回を視聴直後のツイートまとめはこちら: twitter.com/i/moments/9614…