ポッシブル・ドミネイション #2

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

タキは咳き込み、少し離れた場所で腕組みアグラしているシルバーキーを見た。「あン?なんだアイツは」「敵ではない」マスラダは言った。そして悔しげに呟いた。「……逃がした。サキュバスというニンジャだ」「サキュバス!」タキは全てを思い出した。そして身悶えした。「忘れろ!全てをな!」 22

2018-03-24 23:51:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何がだ」「つうか、ここはどこだよ!」「夢だ」シルバーキーが短く言った。「現実だが、夢だ。とっととUNIXデッキの前に座る自分に帰れ」「……」タキは違和感に顔をしかめた。喉奥に引っかかった魚の骨じみて、彼は指を突っ込み、骨色のデータ粒を取り出した。「……オレのじゃねえ」 23

2018-03-24 23:56:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「デカシタ!」シルバーキーは勢い込んだ。「敵の尻尾を掴んだか。転んでもただでは起きん奴」「それは何だ?」ニンジャスレイヤーは尋ねた。タキは骨色の粒をためつすがめつする。「こいつは多分……」ザリザリザリ。浜辺に刺々しいノイズが走り、タキは弾かれた。「グワーッ!」 24

2018-03-25 00:04:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「戻ってきたか」シルバーキーは舌打ちし、アグラを解いた。ニンジャスレイヤーはタキを掴もうとしたが、指先はすり抜けた。「グワーッ!」タキは波に呑まれる。シルバーキーがタキに叫んだ。「すぐに接続を切れ!」「言われなくても!」タキは電子海水を飲みながら叫び返した。「だがその前に……」25

2018-03-25 00:07:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

押し寄せる電子波。剣呑なノイズ。タキは溺れかける。あっという間に謎めいた浜辺が遠のく。タキは100100100010001『コトブキ!』不明瞭なドット画像のタキの顔が音声を発した。「タキ=サン!」コトブキはUNIXデッキを揺さぶった。「どうすればいいですか!」『お前、これ使ってどうにかしろ』 26

2018-03-25 00:09:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ジジー。ガーガガ。UNIXデッキのランプが激しく点滅する。コトブキは意を決してデッキにLAN直結し、データを入手した。「受け取りました。何ですか、これは?」『焼きにいけ……』接続が断たれた。「今の、なに」ゾーイが尋ねた。コトブキは答えようとしたが……KRAAASH!階下で激しい争いの音! 27

2018-03-25 00:11:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そして銃声!BLAMBLAMBLAM!(ザッケンナコラー!スッゾオラー!)ヤクザスラング!戸口に向かいかけたコトブキは、思い留まり、ゾーイを振り返った。「ここに置いていくわけにはいきません。一緒の方が安全です」「わかった」そうと決まればゾーイは聞き返さない。「窓のこの、鎧戸だよね」 28

2018-03-25 00:15:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「任せて」コトブキは力を込めた。「わたし、力が強いんです。百人力ですよ。ハイッ!」ガゴッ。鎧戸を外し、窓からの脱出を試みる。「気を付けて。屋根の傾斜が急だから」コトブキはゾーイに警告する。そして己を鼓舞するように呟く。「タキ=サンに頼まれた事も、なんとかします」 29

2018-03-25 00:18:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二人が苦労して窓から這い出す間に、階下のバーの様子はどうか?クローンヤクザのチャカ・ガン一斉射撃がソウカイヤの三人に浴びせられたのである!BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」それは一瞬の出来事がきっかけだった! 30

2018-03-25 00:22:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

スーサイドが凄み、オーガフィストが不敵な笑いで応え、ヴァニティが冷笑し……張りつめた導火線じみた状況を破ったのは、インシネレイトの挑発的なカトン・ジツだ。ライターの火が三倍の高さで噴き、オーガフィストの鼻先をかすめた……これがクローンヤクザの防衛行動トリガのスイッチを刺激した。31

2018-03-25 00:25:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」シガーカッターはイアイを一閃させ、弾丸の嵐を切り払った。分断された弾頭は<筋>のダーツ的に散弾じみて浴びせられた。インシネレイトは爆笑しながら両手を振り上げ、カトン・ファイアウェイブを放とうとした。「イヤーッ!」その腕に鎖が巻き付いた。 32

2018-03-25 00:28:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スッゾオラー!」クローンヤクザ達がチャカ・ガン第二射に移ろうとした瞬間、「イヤーッ!」「グワーッ!?」インシネレイトの足が床から離れた。鎖の主はスーサイドだ!白く光る鎖はインシネレイトのカトンを妨害!その身体がクローンヤクザに鎖ごと叩きつけられる!「グワーッ!」 33

2018-03-25 00:30:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「デカシタ!スーサイド=サン」オーガフィストがインシネレイトを殺しにかかる。だがスーサイドは鎖を引き戻し、天井のシャンデリアを経由してインシネレイトを吊るした。「グワーッ!」「デカシタじゃねえんだよオーガフィスト=サンよォ」スーサイドはインシネレイトを吊るしながら唸った。 34

2018-03-25 00:32:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「力が入らねえ……!」「バカが!」ヴァニティがインシネレイトを罵った。シガーカッターは親指をカタナにかけ、じりじりと動いた。スーサイドはそちらにも睨みを利かせた。「やめねェか!ソウカイヤ!」普段の彼が発する事のない怒気である。反射的にシガーカッターは一歩後退する。 35

2018-03-25 00:35:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「テメェ、この犬野郎」オーガフィストが舌打ちした。「過冬に楯突……」「ワドルナッケングラー!」スーサイドはオーガフィストを一喝!「ドグサレッガオラー!」「ヌウーッ!」音圧がビリビリとオーガフィストの装束を鳴らす!「フジミ・ストリートは……<筋>は俺のシマだ。テメェらじゃねえ!」36

2018-03-25 00:38:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

オーガフィストは拳を固めたまま、シガーカッターと同様、一歩下がった。スーサイドの放つ怒りは筋の通ったものであり、そのソンケイは高かった。破るにはそれ相応の理屈が必要だったが、オーガフィストには今、それがない。スーサイドは過冬の子分ではないし、フジミも過冬の領地ではない……。 37

2018-03-25 00:43:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これ以上ここをファックするッてえなら、俺が相手になる。ここは俺のシマだ。文句があるならシンウインターを連れてきやがれ」「言いよる。ガキの分際で」オーガフィストは呟いた。そしてメンポの下で獰猛に唇を舐めた。次にスーサイドはヴァニティらを見た。 38

2018-03-25 00:46:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺はテメェらに興味はねえ。争うなら勝手にやってろ。ただし外でだ」鎖を掴む手に力を込めると、不穏な白い光が強まった。「アバッ……畜生……ナメるなよ」吊られたインシネレイトが歯を食いしばった。スーサイドは舌打ちした。「ナメてるのはテメェなんだよ。……オイ。コイツ殺していいか」 39

2018-03-25 00:48:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アンタも、そこまでして無駄にソウカイヤと争いたくはないだろう」ヴァニティが言った。「私達もこの店と争う気は無し」そしてレールガンを構えて様子を伺うスージーを見る。「この店のカニ・ソバは旨いし、潰すのも忍びない」「イアイの準備させて言うセリフじゃねえな」 40

2018-03-25 00:52:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヴァニティは目でシガーカッターを促す。シガーカッターはオーガフィストを睨んだまま、カタナから親指を離す。オーガフィストは腕組して笑った。「ガラガラガラ!ああそうかよ、まあ、よかろ」残忍そうに目を細め、値踏みするようにスーサイドを見た。それからソウカイヤを。「表へ出ろソウカイヤ」41

2018-03-25 00:57:42