山上たつひこの「光る風」は、名作だとは思いつつも正直オーバーかなと思っていました。が、このたびの自衛隊員による「お前は国民の敵だ」発言など、日本社会のあらゆるところでタガが外れていることが実感され、「光る風」の危惧がかなりリアルになってきてしまいました。ヤバいです pic.twitter.com/pOAnTrsL3H
2018-04-18 06:34:50光る風の巻頭言 ”過去 現在 未来 この三つの言葉は面白い どのように並べ替えてみても その意味合いは少しも変わることが無いのだ” をそのままトレースしている様ですね。 コスタ・ガブラスの映画なども一時は”終わったもの”と思われた。 しかし、やはり時代は「めぐる(回る)」ものだなと… twitter.com/tkore61/status…
2018-04-18 09:00:40今から10年ほど前に出たムック本「反日マンガの世界」 amazon.co.jp/%E5%8F%8D%E6%9… この中で「光る風」は「軍国主義化する日本の近未来を描く 七〇年代の空気を反映した青春巨編」として扱われています。ここで冷笑していた人たち、10年後の現状を見ても冷笑するだけなのだろうな
2018-04-18 08:41:09光る風は今読み返すと、生硬に見える表現とは裏腹に、最初に読んだ頃は気づかなかった広く深い目配りがあったのだと気づかされる。 「反軍国」の視点では受け入れ難い天勝大尉と言う反米国粋軍人は、日本人にとっての「反米」の意味のねじれや、米軍”駐留”の本質を予言的に暴き出している。
2018-04-18 09:08:36かれらにとって日本とはどうみたって たんなる前線基地にしかすぎない わが国がほろびようとどうしようと やつらにとって前線基地の一つが消えたということのほか べつだんたいしたできごとではないのです(天勝大尉)
2018-04-13 06:57:06一介の東洋の小島にすぎない黄色人種の国がほろびたとて かれらにとっていたくもかゆくもない--そんな米国が白人の感覚でもって黄色人種の国である日本にたいして なにか戦慄すべき行為をしようとはしないか……とね(天勝大尉)
2018-04-12 16:57:09また化学兵器実験の失敗の隠蔽のため「出島」に隔離された”奇形児”である「堀田」と言う登場人物は、まだ認識が薄かった「マイノリティ」問題を体現している。 「僕らの考える平等が実現されるなら、君らの言う平等が滅ぼされても良いとさえ思っている」と、主人公の弦に堀田は告げる。
2018-04-18 09:12:47おれたちは自分たちの平等のためにはどんなことでもするぜ もしおれたちに真実の平等がもたらされるためにそれが必要だというのなら きみたちの社会でいう"平等"というものがほろびてもいいとさえ思ってるんだ!(堀田)
2018-04-15 18:57:09天勝大尉の、戦中同様のレイシズムとも見える「反米」意識は、実は広島長崎の「原爆」に起点がある。いくつかのシーンで示唆されている。 60年代頃には、「左翼」と、反帝国としての民族主義(民族自決)は強く結びついていた。天勝大尉だけでなく、「光る風」の作品全体にもその意識は見える。
2018-04-18 09:24:43「光る風では、舞台を”XXXX年”と言う近未来としながら、連載時ほぼリアルタイムのベトナム戦争の展開(米軍のカンボジア侵攻)を取り上げている、これが作中の「国防軍」のカンボジア派遣を決定させる。「国連協力法」の説明も予言的。 この時、士官同士での口論が殺傷事件になる信が描かれる。⇒
2018-04-18 09:32:41外務省は"国連協力法案"なるものを作成(略)「国連軍への参加は憲法に違反せず国防隊法の一部改正で可能である」というのが外務省だけでなく内閣法制局や当時の防衛庁の一致した見解であった
2018-04-14 12:57:08「国連軍への参加は憲法に違反せず国防隊法の一部改正で可能である」(略)そして国防隊法の一部改正部分についても海外派兵を法的に根拠づけるため任務既定の条文に「国際平和と安全のために」という言葉を追加してそれらの行為を正当化し美化しようとしたのであった
2018-04-17 08:57:08日本男児が出兵することになればもうしんぱいない アメリカ兵などにはまねのできぬはたらきぶりを見せてやるわな!(国防大卒業生)
2018-04-16 06:57:05やつらは世界平和の敵だ!おなじアジア人だと思うからいかんのだ!人間と思うな!虫けらなんだ そうわりきればいいのだ!(国防大卒業生)
2018-04-17 14:57:07一人の士官が「共産ゲリラに目にもの見せてやるわい」と意欲を語ると、別の士官が「相手は我々と同じアジア人だろう、見た目も同じだ。我々に殺せるか」と反駁し、相手を激昂させる。 ここの、裏返しの「人種意識」。相手が「見た目が同じ黄色人種でない」なら、殺せると言っている様なものでもある。
2018-04-18 09:39:23この、戦前の「大アジア主義」の延長の様な”黄色人種の連帯”に、作者もシンクロしている感じで描写されている。その「米国への不信」と「民族主義」の並立は、「旅立て!ひらりん」の終盤でも、戯画的な形で表現されている。
2018-04-18 09:49:42日本が大戦でした頃は「アジアへの侵略」だったから断罪されたのだとして、断罪したはずのアメリカが今や、民族自決を阻むアジアへの侵略者、帝国主義者ではないか、と”左翼”が思ったのが朝鮮戦争でありベトナム戦争。 「反安保」はナショナリズムの色を帯び、気づけば「大戦のかたき討ち」の様相も。
2018-04-18 09:58:57だが「アジアを侵略」した日本にどうアメリカを非難できるか。 流入するアメリカ文化に囲まれ、日本人の対米コンプレックスはこじれにこじれていく。それが極点に達したのが「光る風」が書かれた時代であり、松本零士「ワダチ」で”日本人以外が残る地球”の破壊スイッチに手をかけるシーンにも通じる。
2018-04-18 10:03:59アメリカのベトナム戦争撤退、オイルショック等での「弱体化」、沖縄返還と本土基地の縮小による”存在感の低下”で、こじれた対米コンプレックスは潮が引くように隠れた。 しかし「アメリカと適切な距離が取れない」でいる事から起こる矛盾とその認識からの逃避は、今も日本人の自己意識の根本問題。
2018-04-18 10:17:51生物 化学兵器の大きな特長の一つは…材料と製造法がよくわかっておりしかも安価で大量にいつでもどこでも生産することが可能だということなんだ たとえば--農薬工場などにおいてはその製造工程の一部をかえるだけで容易に化学兵器をつくりだすこともできるのだよ!(古谷信吉)
2018-04-19 20:57:07藻池村--患者--出島--…そしてきみのにいさんの死…! ねェ おそろしいじゃないか どうしてこんなにも時間を--時代をこえたことばどうしが一線上でつながるんだろう!(古谷信吉)
2018-04-18 10:57:09