大量懲戒請求事件に関して述べた橋下氏の主張に関する覚書

大量懲戒請求事件についての事実関係は以下の当事者による連続ツイートを参照 https://twitter.com/ssk_ryo/status/990085988922748928 論点を大要4つに分けました。 拾い切れていないツイートもあるかもしれません。
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前提:当事者の語る大量懲戒請求事件の事実関係

以下のツイートは本件の事実関係に係る連続ツイートのうちの最初のものである。本文を読む前に事実経過についてそちらを参照されたい。

ささきりょう @ssk_ryo

事情を知らない人のための、大量懲戒請求事件のおさらい。 #不当懲戒 昨年、東京弁護士会会長以下の弁護士会幹部9名と私に対する1300くらいの懲戒がありました。私だけが、弁護士会に何の役職もないヒラ弁護士でした。なのに、なぜ、こんなに懲戒請求受けるのか、皆目見当もつきませんでした。

2018-04-28 13:31:09

論点1

橋下氏の主張

集団で(通常人が通常の注意を払えば控えるであろうと思われるような内容の)懲戒請求をした一般市民に対して法的措置をとることは、弁護士法上の懲戒事由にあたる。また、懲戒請求者を委縮させ表現の自由の侵害につながる。

橋下徹 @hashimoto_lo

headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180510-… ①懲戒請求した一般市民に対して、法的措置を執るこの弁護士たちの態度振る舞いは言語道断。しかも和解金を取るという。一般市民に対する脅しというほかなく、弁護士法56条の品位を失うべき非行事実にあたるとみなすことも可能。

2018-05-17 09:42:10
橋下徹 @hashimoto_lo

⑥もちろん今回、大量の懲戒請求をした人たちの考えや表現に僕は賛成しない。しかし彼らの考えや表現は、特定個人の名誉を傷つけるなどの違法行為でない限りは最大限保障されなければならない。ちなみに大阪では、朝鮮学校への補助金支給ルールをしっかりと作り、ルールに基づいて判断するように変えた

2018-05-17 09:51:00
橋下徹 @hashimoto_lo

courts.go.jp/app/files/hanr… この最高裁判決を知りながら(弁護士である以上、当然事前リサーチしておかなければならない)一般市民相手約1000人相手に、1人5万円や60万円(30万円?)を請求しようとしている弁護士の方が、完全に弁護士倫理に反し、弁護士法56条の懲戒事由にあたるだろう。 twitter.com/hashimoto_lo/s…

2018-05-19 10:46:51
橋下徹 @hashimoto_lo

③何よりも訴訟前の和解で1人5万円、報道によると訴訟後の和解では60万円(1人にすると30万円なのか未確認)の金額を、和解金額としていますが、これはとんでもない金額。100人で500万円。500人で2500万円。場合によっては5000万円超え。ヤクザ顔負けの超過大、不当請求です。

2018-05-19 10:34:58
橋下徹 @hashimoto_lo

news.yahoo.co.jp/pickup/6283627 今回の懲戒請求は全く正当。たいして金に困っていない弁護士が、自分が原告になる訴訟において訴訟費用名目で多額のカネ(現在で700万円以上)集め、裁判に負けても何の負担もないリスクヘッジを行い、さらに負けても弁護士報酬分は黒字になり得る手法を採った。

2018-05-24 11:18:48

弁護士法第五六条
弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
2 懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。
3 弁護士会がその地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して行う懲戒の事由は、その地域内にある従たる法律事務所に係るものに限る。

反応・応答・関連ツイート

教皇ノースライム(弁護士北周士) @noooooooorth

じゃあ今後は事前に和解勧告などせずにいきなり訴訟提起することにしますわ...。 sankei.com/affairs/news/1…

2018-05-24 08:09:11
教皇ノースライム(弁護士北周士) @noooooooorth

いやマジで訴訟&刑事告訴前に和解を勧告すると品位を害していきなり訴訟提起or刑事告訴をすると品位を害さないって思考回路が分からん。そんなに裁判所が好きなん?

2018-05-24 08:33:36

論点2

橋下氏の主張

集団で(通常人が通常の注意を払えば控えるであろうと思われるような内容の)懲戒請求をした一般市民に対して、これによって生じた損害を和解又は訴訟によって賠償するよう請求することは、恐喝罪の実行行為にあたる。

注)本人は、「恐喝罪にあたる」とは表現しておらず、「答案に書く」とのみ発言しており、これが上記の主張のような趣旨かどうかは厳密には明らかではない。また他のツイートも「過大」ないし「不当」請求と記すのみで本件の和解行為や訴訟上の請求自体が「違法」である旨は一貫して述べていない。

橋下徹 @hashimoto_lo

headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180510-… 一般市民相手に訴訟をされたくなければ10万円払えということを、この弁護士たちが本当にやっていたなら、これは権利行使と恐喝罪という典型的な司法試験問題。courts.go.jp/app/files/hanr…この最高裁判例を弁護士たちが当然知っているとして、僕なら恐喝罪にあたると答案に書くね

2018-05-17 14:14:29

刑法第二百四十九条 
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

反応・応答・関連ツイート

高橋雄一郎 @kamatatylaw

和解しなければ訴訟するって、極めて普通の債権回収プロセスなわけで、不当懲戒請求者が損害賠償義務を負う裁判例も多数あり訴訟は正当だろう。したがって恐喝になるはずがなく、司法試験で恐喝罪成立なんて書いたら一発で不合格になる。

2018-05-18 07:19:34
高橋雄一郎 @kamatatylaw

マジレスしてしまったが少し反省している。橋下氏は、佐々木先生や北先生に恐喝罪が成立するとまで述べている訳ではなく、恐喝罪が成立すると答案に書くと言ってるだけなんだね。余命爺氏は外患誘致罪が成立すると答案に書くだろう。それとあまり変わらないね。

2018-05-18 07:44:10

論点3

橋下氏の主張

当事者らの主張する和解金ないし損害額が高すぎる。または、実質的な負担は発生していない。

橋下徹 @hashimoto_lo

headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180510-… 市民相手に損害賠償を起こし、10万円を払えば和解する旨を公言しているこの弁護士たちは、かなり勉強不足のようだ。まず一般市民の懲戒請求の権利は可能な限り保障されなければならない、と最高裁が断言している。courts.go.jp/app/files/hanr…

2018-05-17 13:53:57
橋下徹 @hashimoto_lo

②仮に違法な懲戒請求であったとしても10万円の賠償金は高すぎる。今回の大量請求でも弁護士にはほとんど負担がない。綱紀委員会が一括で裁くので。理由がなければ一括却下。理由があればもちろん賠償金は発生しない。大量請求は市民の責任ではなく、このようなバカげた制度を改正しない弁護士会の責任

2018-05-17 13:53:58
橋下徹 @hashimoto_lo

courts.go.jp/app/files/hanr… もし不当な懲戒請求は賠償責任を負うとしたこの最高裁平成19年4月24日判決を基に、大量懲戒請求を受けた弁護士が市民相手に訴訟をしたのであれば、この最高裁判決の読み方をしっかりと勉強すべき。

2018-05-19 11:53:59
橋下徹 @hashimoto_lo

②この懲戒請求は弁護士が就いて行っており、最初の懲戒請求が否定された後も何度も何度も異議申し立てや取り消し訴訟を行っている。純粋な市民の懲戒請求ではないし、繰り返しの異議や取り消し訴訟によって、懲戒請求された弁護士には実質上の負担が生じている。

2018-05-19 11:53:59
橋下徹 @hashimoto_lo

③そして事件当事者間での恨みつらみの事案であった。今回の大量懲戒請求は、弁護士などが就いていない市民による請求で事件当事者の関係にはない。そして何よりも懲戒請求を受けた弁護士には実質上の負担は何ら発生していない。

2018-05-19 11:53:59

反応・応答・関連ツイート

教皇ノースライム(弁護士北周士) @noooooooorth

本件のような「殺到型不法行為(素晴らしく分かりやすい命名なので使わせていただきました)」における損害論については現状ほとんど検討されていないと思われることから本件がリーディングケースの一つになるんでしょうね。

2018-05-20 09:13:09