電気が止まった世界の思い出
- chiqfudoki
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うまく電源をやりくりしないと、ちょっと油断すると肝心なところで電池が切れたり、そもそも起動してくれなかったり。 一度沈黙してしまうと、次はいつ給電ができるのか、誰にもわからなくなります。 また、電気が貴重なものであるため、「電気を分けてもらう」ことが高くつくようになります。
2018-05-31 18:51:33最初に書こうと思ってたことが「寒いときにノートパソコンが湯たんぽがわりになって、抱いて寝てた」みたいな話だったのですが、熱の問題はまた異なるのと、事実誤認の恐れがあるのでここでは置いておきます。
2018-05-31 18:55:10こうして書いて来て気がついたのは、今のスマホ時代の人の感覚に近い部分。 これは、震災で何割かの人が経験したであろう「先の見えない電力制限状態」が断続的に続く状態です。
2018-05-31 18:56:31また、振り返ると案外基本的な部分は変わってないな、ということ。 人は外出も夜更かしもする。治安が悪くなったわけでもなし。 (これは共同体の力が強い田舎だから、というのもあると思う。 余所者が誰にも見咎められずに悪さするのがまず不可能な場所だった)
2018-05-31 18:57:48ならば、なんでこういう一連のツイートを書きたくなったのかな、なんに苛立ったのかな、と思うと、 【制限される状況では、人の行動や思考のパターンが実は根本から変わる】ということがある。 「変わってない」って言ったばかりなのになんで?という、一見矛盾した話。
2018-05-31 19:00:07一見同じものの中で制限されたものは何か?と考えると、「飛躍する自由」のように思う。確かに外出はできる。でも、安全に移動できる動線や目的地が自ずと限られる。つまり行動範囲が制限される。 夜更かしはできるし温かいものは食べられる。でもそれは、家族全員で火を使う団欒の時間に限られる。
2018-05-31 19:03:59団欒で何やるか、っていうと、まず家族みんなであつまって晩飯食べる。スープとかパンとか。 んで、そのまま語らってみんなでコーヒーとかチャイ(紅茶です)を飲む。 輪から離れるのは基本無理。光源も熱源もないから。 下手すると場所もない。 ベッドに六人兄弟で雑魚寝とかの世界だし。
2018-05-31 19:08:45一人になりたかったら、家を出てバーに行くくらい。 メインストリートを歩く分には、7時くらいまでの夕方なら人がいる。 飯時にぐっと減るけど、外で酒を飲むために出歩く人はいる。 女の子の一人歩きは無理。女性同士でも厳しかったんじゃないかな。 カップルならどうにか。
2018-05-31 19:10:46都市間移動の足も、晩飯時で途絶える。 バス停とかは夜は本当に人がいなくなって、守衛が勝手に銃を携行したりしていました。 俺がバスに取り残され、そのままバスで夜を明かしたこともあります。
2018-05-31 19:13:51って書いていくと、日本でも地方だとこういう場所結構あるんじゃないかなーって思います。 北海道とか四国とかの地方都市の夜8時以降の状況に近いです。あれの真っ暗版。
2018-05-31 19:15:16さすがに首都まで行くとジェネレーターを配備した店が多くて、電気が止まることも少なくて、目抜き通りが普通に明るいことにホッとしたり感動したりした覚えがあります。 何より、充電ができる!!!!!!!
2018-05-31 19:16:47で面白いのが(知ってる人には当たり前だろうけど)、街の明るさと夜の人の活発度が比例すること。明るい街は、夜遅くまで賑わいます。 もちろん、元々の人口の多さもあるのだろうけど。
2018-05-31 19:18:08でも、「いつかなくなるもの」ということを前提に使っていくのと、「無尽蔵に使える」ことを前提に使っていくのでは、行動のパターンは変わります。 前者は、「尽きる前に」という無意識の縛りがかかるので(で、この縛りは一歩間違うと生存に直結します)、人は無理をしないようになります。
2018-05-31 19:19:42もうひとつ大きなポイントは、思考自体に一定の制約がかかること。 「電気が使えない」状態で直撃を受けたのは、電気を無尽蔵に使える世界から来た余所者の俺だけでした。 もともとその街に住んでいた人は、「電気がない状態」に適応した行動、思考をしていました。
2018-05-31 19:22:07パソコン(スマホ)、カメラ(デジカメ)、インターネットなどを使っている場合は、電気が生命線になります。 朝から晩まであちこち動き回っている人間にとっては、夜間の行動が制限されることは大きな制約になりえます。でも、元々ない人には関係ない。
2018-05-31 19:26:41あったとしても、使えない状態があまりにも長くなることで、それは「ないもの」になっていきます。無理をして使うことのコストがバカ高いわけで。
2018-05-31 19:27:41ただ、この状況には抜け穴もありました。 目端のきくお金のある人たちは隣国のマケドニアに行き(ギリシアやセルビアとの流通網が繋がっている国です)、そこでジェネレーターや電池や灯火を仕入れていました。随分と稼いだ人もいたようです。
2018-05-31 19:29:58戦地コソボの首都はマケドニアに近かったので、マケドニアからの品は地理的な意味でもまず首都に流れていきます。 このため、首都から他の地方都市に行くと明るさが全然違う(ていうか着いた場所真っ暗で、真っ暗な中でガキに囲まれる)とかがありました。
2018-05-31 19:32:06無電のロウソクの世界に生きてみると、電気系のものをメインで頼りにすることはできないようになります。日本だと忘れがちな感覚ですが。 「電気は、必要な時にはないかもしれない」という意識が、この時に染み付いてしまったように思います。
2018-05-31 19:37:57機械による翻訳、撮影、描画などは便利なんだけど、「どんな時にもすぐに使える」ものでは、ない。 鉛筆とか実物の写真とか自分の語学力の方が確実に当てになる、と、その時から思うようになりました。 でも、その後技術が恐ろしい勢いで進歩しているので、外付け機器とのバランスは大事だと思います。
2018-05-31 19:39:41必要な時はどんどんスマホに頼ればいいし、極端な話、本人が言葉できなくてもスマホだけで生存も可能だったりします。 人類世界で電気が届いている範囲も広がっているし、届いた電気の上でできることも大幅に増えたように思います。
2018-05-31 19:49:08一方、その電気がなくなったり制限を受けることで、人間の生活は短期間で大幅に変化もします。人間の適応能力はどちらの方向にも高いように思います。
2018-05-31 19:50:37「電気なんてなくてもいい」は確かにその通りで、それでも人間は生活できるのですが、その時に自分たち自身に起きる変化はバカにならないと思います。 自分たちが何かを我慢することとは別に、気づかないところで人間は急速に変質(適応)していくように思います。
2018-05-31 19:51:58