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1988年6月14日(火)の旅日記(80日目・琿春)

ここの朝鮮語にはセンプウキなど、多くの日本語の単語が!朝からイヌ肉初体験。国境で軽く拘束されるが友好的。琿春県の村に初民泊。NHKを聞く古老との出会い。
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桃岩荘人 @namihei1224

まずチャリを返却。荷物を詰め込み、宿をチェックアウト。半天分請求される。当然だろう。 pic.twitter.com/7utQLFzwra

2017-06-14 13:58:26
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桃岩荘人 @namihei1224

明日火車站で長春への帰りの切符を買う予定だと言うと、友人が站員にいるから俺が取ってやると、とにかく強引。1630火車站発のバス🚌0.8元に乗る。ここからはほぼ彼に全部おごられることになった。 pic.twitter.com/CS7hGYhjYU

2017-06-14 13:59:21
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桃岩荘人 @namihei1224

彼の名は李松哲。1966年生。彼女は金仙女。1969年生。愛人だとこっそり教えてくれた。松哲は漢字が書けず、仙女も苦手。筆談無しの漢語で車中、いろいろ話す。 pic.twitter.com/vLJQYOstK4

2017-06-14 14:00:02
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桃岩荘人 @namihei1224

彼らとの会話から収集した新たな日本語系外来語。ペンチ、メガネ、クツシタ、タンベ(タバコ)、ウエ(上)、アレ(下)、オコシ(雷おこし)、タンス、バケツ、レイゾウコ、センプウキ、エリ(襟)、センタッキ、コップ、テレビ、ラジオ。オコシは最初オカシかと思ったら、違った。

2017-06-14 14:00:33
桃岩荘人 @namihei1224

彼らの会話のあちこちに日本語が入っていて、時々耳に飛び込んでくると、びっくりする。住む場所、人により程度の差こそあれ、トマトなどは誰にでも通用するみたい。

2017-06-14 14:00:46
桃岩荘人 @namihei1224

松哲は图们一の床屋だと言い、日本に留学したいという。広州、北京、上海ほかいろいろ行ったことがある。やはり万元戸。お父さんは農民で万元戸。

2017-06-14 14:00:59
桃岩荘人 @namihei1224

1800頃、琿春市街へいく途中で、琿春県の片田舎の村に入る。随分ひどい道で、転落したトラックも見た。右手には時折朝鮮が見える。バス道からかなり歩いてようやく村へ入り、その一番手前の最も大きく造りもしっかりしている平屋。松哲の実家らしい。今夜は图们の仙女を連れ泊まりに来たようだ。 pic.twitter.com/LAvGuPpLZi

2017-06-14 22:03:43
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桃岩荘人 @namihei1224

2人はいつもは图们に住んでいるということだ。ご両親に挨拶。お父さんはいぶかしげに俺を見る。そりゃ当然でしょ。「突然お邪魔して申し訳ありません。お世話になります」と言いたくても言葉が通じない。

2017-06-14 22:04:24
桃岩荘人 @namihei1224

1930夕飯をご馳走になる。それまで、お母さんと仙女が調理し、お父さんはずっといぶかしげに俺を見て、聞いてきたり、パスポート見たり。仕切りのある大きな居間が一つ、小さな間が一つ、いずれも一段高くオンドルになっている。

2017-06-14 22:04:45
桃岩荘人 @namihei1224

大きな部屋に上がる手前に、部屋に沿って細長い低い間があり、ソファやらセンプウキが置いてある。靴は脱いで上がる。レイゾウコ、センタッキ、ガスコンロ、風呂はない。壁という壁に香港の歌手のポスターやご両親の写真、たんすも金魚の絵などあり、にぎやかだ。トイレは外に木造の小屋で。

2017-06-14 22:04:59
桃岩荘人 @namihei1224

水は冷たく、飲める。飯、おしんこ、ニラ、木耳を全部辛ーい醤つけて、ねぎも丸ごと醤つけてガリポリ、朝鮮産明太魚、赤カブ、缶詰の牛肉、そしてビール、白酒・・・急な客をもてなす最高の夕食だろう。貧しさは全く感じない。ビールは回るし、何より涙出るほど、飯が美味い。

2017-06-14 22:05:14
桃岩荘人 @namihei1224

写真でもわかるように、当然のように食卓につくのは男のみ。女性は脇で鍋に入ったままの菜をつつく。だいたい中身は同じだが、厳然たる区別があるようだ。女性は菜を飯と共に食べるが、男はビール・酒で菜を食い、最後に飯をよそい、水で口をぐちゅぐちゅ注いで終わる。 pic.twitter.com/9IF5hJsAnJ

2017-06-14 22:05:46
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桃岩荘人 @namihei1224

ビールを仙女に注ごうとしたが、松哲が「仙女は飲めない」と言って制す。仙女は笑っている。仙女は本当にまめまめしくせっせと立ち働く。お母さんといっしょに。互いに当然と思ってやってる。お父さんも全く気にしていない。実の娘のよう。特に母との間が、言い合いも平然としている。

2017-06-14 22:07:03
桃岩荘人 @namihei1224

上下の別なく、敬語のない中国で我々がずうずうしいと感じる中国人の習慣は、ここにきて日本の嫁と姑の関係など論外にしているようだ。見ていて、こっちが驚いてしまう。もし結婚してないんなら、すごいことだ。去年2月に知り合い、この8月に結婚するそうだが、それにしてもすごい。

2017-06-14 22:07:39
桃岩荘人 @namihei1224

仙女の実家も農家らしいが。お父さん、当初の警戒が薄れ、だんだん友好的かつ楽しい食事に。酒の効能は大きい。お父さんは7月に一ヶ月も北朝鮮へ旅遊に行くらしい。お母さんの親戚が住んでいて、お母さんは行ったことがあるらしい。

2017-06-14 22:08:08
桃岩荘人 @namihei1224

松哲曰く、万元戸なのに中国では五本の指の三本目だ(つまり中流)と言う。そうかなあ。確かに今、万元戸は珍しくなくなってきつつある気がするが。ここで思う。中流意識とは?何が中流なのか?

2017-06-14 22:09:12
桃岩荘人 @namihei1224

今の中国は①のような社会だと思う。圧倒的多数の人は底辺に居て、上へ行くほど人数は少ないはず。②は必ずしも真実ではないかもだが、日本はこうであると信じられている。一億総中流とはこのことだ。②ならよいが①の社会の場合、Aの位置を果たして中流、つまり平均的と言えるだろうか。 pic.twitter.com/RwP1T6y4Wr

2017-06-14 22:09:56
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桃岩荘人 @namihei1224

Bのあたりではないのか。おそらく松哲はAの位置にあると言えよう。飯も終わり、かなりビール回ってきた頃、近所の日本語解すという老人に会いに行く。そういえば松哲は图们の汽車站で、実家の隣に24歳の日本人が住んでいると言っていたがよく理解できなかった。

2017-06-14 22:10:35
桃岩荘人 @namihei1224

母親が日本人で、父母は去年日本に行ったとも。行ってみると、その家族の一員ではない65歳の老人が、いた。今まで会った朝鮮族の中で一番上手に日本語を話す。100%日本人と区別つかない日本語。NHKラジオをよく聞いているとのこと。やはりこのあたり、日本の放送が聴けるらしい。

2017-06-14 22:11:29
桃岩荘人 @namihei1224

文革中も世界の様子を知るため、密かに聴いていたそうだ。おかげで今も忘れずに話せるそうだ。50代の弟さんはもうほとんど忘れてしまっている。この老人は、人生の重みを感じる、人格者の雰囲気が漂っている。いろんな話をする。

2017-06-14 22:11:43
桃岩荘人 @namihei1224

長白山は朝鮮族は白頭山と呼び、白いのは雪ではないこと、今6月でも十分行けること、ただし3日かかること、この村には結構日本語が話せる人が多いこと。そして松哲が言っていた日本人の話を聞くと、この村に住む「シンモウ」という男に日本人妻がいて、しかし日本語は解せず、子どもが6人。

2017-06-14 22:14:03
桃岩荘人 @namihei1224

今までも日本に親戚を頼って行ってたが、去年夫と子4人と横浜に永住帰国したとのこと。日本からの手紙が読めず、この老人が訳してあげていたらしい。つまり今この村には日本人はいない。「シンモウ」氏の6人きょうだいで日本に行かなかったうち一人は死に、もう一人は夫の前妻の子で中国人だそうだ。

2017-06-14 22:15:20
桃岩荘人 @namihei1224

長春への列車🚃の切符🎫を買う話も通訳してもらい、135元をどぶに捨てて天津行きにするか、今夜考えることにする。過去の話はあまりしなかった。日本語の単語がみなさんの日常会話の中でよく使われていますねと言ったら、日本語ほど外来語が多い言葉はないという。

2017-06-14 22:18:28
桃岩荘人 @namihei1224

最近の日本語は特に英語からの外来語が多く、わからないと嘆いていた。将来、記者になれたら、あなたの言葉広く伝えたいから何か言いたいことがあったら、言ってくださいと聞くと、シンモウ氏もいるし、別にないとのこと。

2017-06-14 22:19:04
桃岩荘人 @namihei1224

ただ最後に「もし記者になったら、又ここへ来ることもあるでしょう。また来なさい」と言ってくれた。薄明かりの中でのこの会話は、おそらく一生心に残るだろう。病気らしいけど、玄関まで送ってくれた。もう2230を過ぎていた。

2017-06-14 22:19:24