【憑依:TS/R18】氷井町ストーム「蜜の沼」

まとめました。
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九重七志@憑依特化 @yorishirosama

▼ 水の中、水の底。 プールの中から見上げる空は、うんざりする程の快晴で。 見渡せば、水着姿の女学生。 首から下を水に漬け、レクリエーションか何かの最中らしい。 濡れてぴっちりと体に張り付いたしなやかな薄布は、もはや体のラインを隠そうともしない。

2018-06-13 23:17:38
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「(さて、どうしたもんか)」 プールの底、水の中で。 薄暗く霞んだ、半透明の男は。 誰にも聞こえない声で、言葉で。 ひとり静かに呟いた。

2018-06-13 23:17:49
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

彼がその手の薬を手に入れたのは、初めてのことではない。 それは、日毎にアドレスの変わる隠された通販サイト、氷井製薬で密かに買い付けたものだ。 言うならば、彼は『病み付きになったリピーター』なのだ。

2018-06-13 23:18:27
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

そんな彼にある日、通販サイトから『試供品』と記された荷物が届けられた。 「従来の商品の効能に加え、更に新たな成分を加えた新しい――」売り文句に、真新しいものはない。 だが折角だからと、彼は白湯で錠剤を飲み下し、敷いたままの布団で眠りについたのだ。

2018-06-13 23:18:45
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

そして、眠れる彼の中から現れたのは、半透明の男性の姿。彼の幽体だ。 そう、彼の愛飲する薬品とは――紛うことなき、『憑依薬』なのだ。 「(取説にはこう書いてあったな、確か――)」

2018-06-13 23:19:01
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

△憑依行為を行った際に、あなたの幽体のコピー、分身、分霊――のようなものが生成されます。 △分身は、あなたと全く同じ行動原理で行動します。 △分身が憑依行為を行った場合、同様にそのコピーが生成されます。

2018-06-13 23:19:23
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

△あなたが憑依を解除し、自身の肉体に戻ることを望んだ時点で、分身はすべてあなたに統合されます。 △分身が統合される場合、分身の記憶もあなたの霊体に追記されます。

2018-06-13 23:19:36
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「(さっぱりわからん……とりあえず、まずはめぼしい女を――そうだ。今、この時期なら――)」 考えるのが面倒になった男性は、とりあえずいつものように憑依を行うことに決めたのだった。

2018-06-13 23:20:49
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「そこー、危ないわよー! ふざけちゃダメなんだから!」 「やっぱアンタ、スタイルいーよねー。  普段あんなに食べてるクセに……ズルくね?」 「きゃあっ! ちょっとー! くすぐらないでよー!」 「えへへへへ~、あいかわらずワキが弱いですな~」 「うわ、日差しキッツー……」

2018-06-13 23:28:04
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

各々手前勝手に姦しく、飛沫を上げる少女たち。 学校指定の水着はあまり派手ではないが、機能性は申し分ない。 水泳帽を被る者はそう多くなく、おおむね高い位置で纏めているようだ。 そんな中、一人の少女に異変が起こる。

2018-06-13 23:28:27
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

濃い茶色の髪を短めのポニーテールに纏めた少女だ。 浮きによって仕切られていた、レーンの中を泳いでいる。 「――ッ!!? あ……ッ! が――!!」 脚でもツったかのように硬直し、水の中に沈んでいく少女。 泳ぎの型は乱れ、容易には浮上できない。

2018-06-13 23:29:51
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「――! んっ――! ――? ――!!!」 がくんと全身の力が抜け、見開いた眼を閉じる少女。 もがくことを止めたことが幸いしたか、胎児のような姿勢になって徐々に浮上していく……。

2018-06-13 23:32:21
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「――え!? ちょっと――サカエさん!?」 ざわざわと周りに人が集まってくる。 溺れたのか、脚でもつったのか。 とはいえ、足の付かない深さではない。 姿勢を正した少女は、なんとか水面に顔を出せたようだ。

2018-06-13 23:34:39
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「サカエさん!? 大丈夫!?」 心配そうに顔を覗き込むのは、生真面目そうな黒髪の少女。 その距離は少し近すぎるようにも見えるが、あまり目が良くないのだろうか。 「――……ぁ」 サカエと呼ばれた少女が目を開く。

2018-06-13 23:35:42
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「良かった、大丈夫? 脚でもツった?」 「……ううん、それより……」 俯いたまま受け答えをする、ポニーテールの少女。 その口元は、どこか……笑っているようにも見える。

2018-06-13 23:36:03
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「無理しないで保健室に行ったほうが良いんじゃない?  先生、私、サカエさんを保健室に――」 「……"次"は、お前だな」 「――え? いま何か――」 意味深な言葉に反応し、サカエさんに向き直る黒髪の少女。 ――そして異変が、彼女にも襲いかかる。

2018-06-13 23:37:11
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「――ヒッ!! えっ? あ……っ」 先程の少女と同じように硬直し、そのままがくんと力が抜ける。 そして再び顔を上げた彼女は――

2018-06-13 23:37:36
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「……ヒヒッ! なんだ、"こういうこと"かよ」 様子が、一変していた。

2018-06-13 23:38:05
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

生真面目な顔は緩んでニヤけた表情に変わり、切れ長の目にはどこかトロンとした淀みが伺える。 そして少女は、自分の身体を抱きしめるように撫で回し始めた。 「んっ!! あ……んんッ! ぁあー……すげえ敏感っ!! 普段いじってないんだな」

2018-06-13 23:38:30
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

撫でる――否、これは愛撫だ。 彼女はこの公衆の面前で――己の身体を慰めている。 「よう"俺"。やっぱその委員長、すげえ良い身体してるよな」 ――"あの状況なら、俺もそいつにしてたと思うぜ"と続ける声。 それは先程の、サカエと呼ばれたポニーテールの少女だった。

2018-06-13 23:39:49
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「よぉ俺。でも尻から足のラインじゃあ、そっちの身体が最高だろ――あぁん!」 ――"一番手なら、どう考えてもそっちを選ぶぜ"と続ける。 「どうせなら一緒に楽しもうぜ。こんな体験、なかなか出来そうにないからな――くぅっ!」

2018-06-13 23:40:21
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

執拗に股間のあたりを弄びながら、委員長に足を絡めるサカエ。 混ざり合う吐息、もつれ合う両の指。 周囲のクラスメイトに見られているというのに、秘せられぬ秘め事はもつれ合うように転がり始めた。

2018-06-13 23:40:33
九重七志@憑依特化 @yorishirosama

「どうしちゃったの!?」 「おかしいよ、二人とも」 「そ、そーゆー関係だったの二人……!?」 「や、やだぁ……」

2018-06-13 23:41:08