既に"フクシマ"という差別が起きているらしい件について思うこと

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

差別とは、差別者と被差別者の戦いであると同時に、人々自身の中に在る誰かを差別してしまいそうになる心理との戦いであるとも思う。つまり何が言いたいのかと云えば、自身が差別をしないように、己の裡に在る差別心とも戦っていかなければならないのではないか。最近、そう思っている。

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自分は小学生～中学生の時分に、世の中が比較的安定していて戦争の気配とかも無い頃に、明日にも地球人類は大災害によって滅びるのではないかという恐怖を持っていた。

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その原因の一端は多分、当時ハマっていた架空戦記小説がSARSなどを受けたパンデミックを扱っていたり、バイオハザードの小説版を立ち読みで読み切ってしまった辺りにあると思う。

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科学主義、文明主義に驕り高ぶる人類は、未開の奥地にまで足を伸ばし、そこで未知のウイルス、現代医学では対応不可能な凶悪なウイルスと接触し、パンデミックにより文明を崩壊させる。そう真剣に考えていたりした。

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そしてその時、果たして感染者となった者は一体どのように扱われるのかを想像し、恐らく治療の努力を放棄され（というか治療法も分からず、治療者自身も病に曝されればやがて従事者を失って決定的な破滅を迎えるとも分かっていたのだけれど）、一所に集められて焼却処分、などと思っていた。

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仮に生き残ったとしても、罹患者は抗体を持っていると仮定すると、潜在的にその「未知のウイルス」を内包した生物兵器のように見られ、差別され、行き場を失うのではないかと予想していた。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

そして親にせがんで入手した原水爆の資料集などを見て、放射能汚染の実態をある程度把握したりもした。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

確かに放射能汚染は危険だ。怖い。そんな想いがあることは否定しないし、自分は恐れるななどと他人に言える人間ではない。皮膚に放射性物質が大量に付着した人間と触れ合いたいかと言われたら即Noと答える。そんな思考は持っている。

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けれど現実に於いて、そんな人間が疎開してきた（或いは闊歩している）事実は無いし、そもそも政府発表等から得た知識に拠れば、風呂に入るなどして除染される程度の付着であるからして、現実に放射性物質を被曝した経歴のある人間が引っ越してきたとして、そのような方と接触することに恐れはない。

NHK科学文化部 @nhk_kabun

福島県から避難してきた小学生が偏見をもたれたケースが報道されました。放出された放射性物質が衣服等に付着しても着替えや入浴で除去されます。ましてや現在までに観測されているレベルで他人が被ばくする可能性はありません。大人から子供に正しい知識を伝えることが大切です。(藤原記者)

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辛辣に言ってしまえば、今、福島第一から放出された放射性物質の量から考えると、大雑把な言い方をすれば風呂に入れば取れているし、体内に取り込まれていても人間同士の通常の接触程度では、（取り込んでいない人間が）接触しても被曝する恐れはない（と自分は認識している）。

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つまり、取り込んでしまっている人間には害（＝放射性物質による被曝から来る健康障害）があっても、それと接触する人間にとっては何の害もない、という風な認識を持っている。

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故に、福島から来た方から放射能が移るなんて恐れを持つこともないし、それ故にその方の前から逃げ出そうなんて発想も持たない。「放射能が移る」ほどの物質を取り込むなり付着させるなりしてる人間が出てこれるような状況ではないと思っているからだが。

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結局の所何が言いたいかって、既に広がりつつある「フクシマ」差別って、正しい知識が無かった頃の「ハンセン病」や「水俣病」的な差別であって、正しい知識が広められていないところに最大の原因があるよねってこと。

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放射能の得体の知れなさから来る「フクシマ」差別は、かつての公害病患者やその他所謂「奇病」罹患者に対する差別と通ずるものを感じる。

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そしてそういう差別は、かつてのヒロシマやナガサキの被爆者の方々が――或いは、原爆投下後にその地へ戻った方々とか、被曝はしてないけれど出身地から差別されたような方々が何十年も前に直面し、または今も向き合い続けているそれと同じ様相を呈しているようにも思う。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

少なくとも自分が把握している情報に基づいて述べるなら「他人を害するほどの放射能を放つほどに被曝・汚染された人間」は存在していない。故に日本の何処からやってきたとて恐れるものなど何も無い。故に自分はそういう正しい知識を知らず（或いは知ろうとせず）に差別する輩の居ることに怒っている。

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差別とは恐れや汚れから来るように考えているが、自分は其の様な謂れがフクシマやヒロシマやナガサキの方々にあるとは微塵も思わない。というか、そういうこともあるんだよ、ということを前提に物事を図らなければならないことそれ自体が腹立たしい。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

ああまた纏めずに書くからグダグダになってきたけれど、兎に角自分は、今回の件（＝フクシマ）で恐れを抱き、汚れを嫌う心から差別が既に起きていることにも、そういう差別という行為それ自体が世の中には存在しているんだよ、ということを下敷きにして物事を考えなきゃいけないことにも怒ってる。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

今回の件でそういう謂れの無い目に遭っている人の中にはさ、もしかしたら何事も無く生きていたら、互いの人生に掛け替えの無い人物になったかも知れない人が居るかも知れない。そんな想定は多分夢を見過ぎかもしれないけれど。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

でも、人は一人一人が、絶対に誰かにとって掛け替えの無い人で、世の中何がどうなって人生に好影響を与えてくれる他人と出逢っているかなんて分かりやしない。否、そういう出逢いにするかどうかは自分自身なんだ。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

それを自分自身の、正しいことを知らなかったことによる差別から台無しにするって、そんなの勿体無さ過ぎる。そして何の生産性もない。後に残ったのは、謂れの無いことで誰かを傷つけた、傷つけられたって事実しか残らない。負の因子しか残さない。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

自分は変なところで貪欲だから――若しくは、自分自身が差別とはまた別の形で大事な出逢いを台無しにしていたと後々思ったりしたから――、そういうことで人生の限られた時間を、出逢いを、機会を不意にするのは許せない。そして、そういうことを未然に防ぐだけの力が自分に無いことが、悔しい。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

ほんの少し、今起きていることがどういうことなのかを知るだけで（知らせるだけで）避けられることが、全然避けられてないっていうのが、歯痒くて、辛くて、苦しい。

針泉@大鏡路地／「日本国は手を抜けない」小説家になろうにて連載中 @harishimizu

今もこうしてネットのほんの片隅で呟いているだけで何にもならないのだけれど、でももしこの一連の呟きを見ている人が居たら、少しだけ、考えて欲しい。自分が今、フクシマの人間だったらどういう対応を受けたいか。どういう対応を受けたくないか。そしてされたら嫌なことは、絶対にしないで欲しい。