ミヤコRPGシナリオ【詩のシカナの迷惑紀行】

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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ミヤコRPGシナリオ【詩のシカナの迷惑紀行】 #4215tk

2018-07-07 18:02:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ゴウ、と。鈍い破砕音と衝撃がかすかに空気を震わせた。1 #4215tk

2018-07-07 18:05:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「城壁が崩れたぞーッ!」幾十もの悲鳴を縫うように怒号が響く。次いで地を揺らすような雄叫び。また悲鳴。「た、大変だ……!」宿屋兼料亭『ササニシキ』の主人は青ざめる。ついに恐れていた事態が訪れた。かの悪名高き『土のオオトリ』率いる山賊たちがこの町を襲撃したのだ。2 #4215tk

2018-07-07 18:10:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

次第に剣戟の音が近づいてくる。自警団たちが応戦しているのだろう。しかしここはシバレリア大陸の中でも小さな町だ。数も強さも、山賊たちには及ぶまい。店主は慌ててカネを掻き集め、逃げる準備をする。店を捨てることになるが仕方ない。命あっての物種だ。もはや客の姿もない……3 #4215tk

2018-07-07 18:15:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

……いや。店主はぎょっとして動きを止める。料亭の隅の席。薄汚れたローブをまとった何者かが残っている。近づいてくる怒号を気にする風もなく、机にうずくまるようにして手を動かしていた。なにか書いているのか?「オイッ!そこのあんた!」店主は声を上げた。4 #4215tk

2018-07-07 18:20:12
ゴリラ入間 @saiteiyarou2

オオトリは迷惑な奴だなあ! #4215tk

2018-07-07 18:20:18
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ここはもうダメだ!早く逃げろ!殺されちまうぞ!」「……ああ、どうも。お気遣いなく」わずかに身じろぎした人影が暢気な返事をよこす。子どものような声だった。「私はあとで行くよ。お先にどうぞ……」店主は舌打ちし、裏口へ駆け出す。薄情なようだが、自分の命が一番だ。5 #4215tk

2018-07-07 18:25:21
ゴリラ入間 @saiteiyarou2

7本槍陣営、ボロマント装備大好き説 #4215tk

2018-07-07 18:25:31
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

しかし「オラァッ!」「ヒィッ!?」向かう先、裏口の扉が荒々しく蹴り開けられる!身を竦ませる店主を前に、ずかずかと入り込んできたのは薄汚い身なりの山賊たちだ。引っさげた抜き身の剣は血で汚れている。恐ろしい!「へっ!ここにも逃げ遅れの獲物がいやがったぜェーッ」6 #4215tk

2018-07-07 18:30:09
ゴリラ入間 @saiteiyarou2

うわあ!オオトリの部下感がすげぇ!! #4215tk

2018-07-07 18:35:01
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

口角を吊り上げる山賊たちを前に、店主は後ずさる。逃げなければ。しかし後方を見た彼は絶望に直面する。表からもすでに数人の山賊が入り込んでいるのだ。そのうちの一人が店主を見た。「なんだ、ここはこんだけかよ。ハズレだな……」「そう言うなよ。一人でも逃したら損だろうが」7 #4215tk

2018-07-07 18:35:24
じゃす @tkstjass

まーたオオトリが無法してる #4215tk

2018-07-07 18:37:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

嘲りを交えた声が飛び交う。もうダメだ。店主はへたり込む。俺はここで死ぬんだ……意識せずして涙が溢れる。ついでに股間のあたりも暖かく湿っていくのを感じた。「こいつ、漏らしやがったぜ!」「ギャハハ!きったねェー!」山賊たちの下卑た笑いが店を満たす。8 #4215tk

2018-07-07 18:40:18
オオオオトリ @method_ootori

@tristarwats 1人でも逃したら損 部下の教育が行き届いている…… #4215tk

2018-07-07 18:40:29
たいむしふたーまくず @znntmk

さんしたのニンジャみたいなことを… #4215tk

2018-07-07 18:40:57
じゃす @tkstjass

タダでさえ殺人はもったいない行為なのにとりのがしたらもったいないの二乗だからな(?) #4215tk

2018-07-07 18:42:26
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……で」笑いが止まるころを見計らったかのように、山賊の一人が訝しげな声を上げる。「そこのお前。なにしてんだ」山賊たちの視線が一点に集中する。知らず、店主も同じところへ視線を向けていた。店の隅の席。うずくまるようにして手を動かすのは薄汚れたローブの客。9 #4215tk

2018-07-07 18:45:12
オオオオトリ @method_ootori

@tristarwats ここちょっとドス効かせてそうな山賊好き #4215tk

2018-07-07 18:47:16
黒岩トリコ@100日チャレンジ中 @Rico2655

西部劇めいたアトモスフィアが漂ってる #4215tk

2018-07-07 18:48:03
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ああ、あいつも逃げ遅れたのか。店主の心に少しの同情心が湧いた。かわいそうに、こんな時期にこんな場所を訪れていなければ……「おい、テメエ。なにこそこそやってやがんだ」山賊の中でも特に若い一人が、肩をいからせて客の元へと近づく。しかし、その客は顔すら上げない。10 #4215tk

2018-07-07 18:50:17
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

それが若い山賊を怒らせた。「なに無視してんだこの野郎ッ!状況わかってんのか!?」その手が荒っぽく肩を掴む。直後だった。ローブの客が動いた。くしゃり、と紙を丸める音。次の瞬間、紙の球が山賊の顔に飛んでいた。「……『ゴミはゴミ箱へ』」ボソリ、とローブの客が呟く。11 #4215tk

2018-07-07 18:55:18
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