ホウレンソウの放射能測定、洗ってよかったの?
- middlander
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ことの始まりは、厚生労働省の3月18日付けの通知である。/ 「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づく検査における留意事項について http://bit.ly/gSdFbM
2011-04-18 05:12:02この通知の中の「野菜等の試料の前処理に際しては、付着している土、埃等に由来する検出を防ぐため、これらを洗浄除去し、検査に供すること」という指示の妥当性が、議論を呼んでいる部分だ。
2011-04-18 05:15:09妥当性を判じるには、この通知で言及されている「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」を確認するべきだろう。/ 「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」 http://bit.ly/fKHYht
2011-04-18 05:17:36報道では、ホウレンソウでI-131とCs-137が検出されたとあるので、関連のある分析法は、第2章の第1節および第2節であると考えられる。
2011-04-18 05:32:38このうち、第1節の分析法はかなり簡易的な手法であり、また検出感度もかなり低い(検出上限が安全基準を下回っている)ため、報道に至った測定結果を供したものとは考えにくい。
2011-04-18 05:33:03以降、報道に至った分析法は第2節のものとして話を進める。第2節を見ると、第3項にて、試料前処理法は「緊急時におけるガンマ線スペクトロメトリーのための試料前処理法」に準じ、試料の調製は「食品、添加物等の規格基準」に従う、とある。
2011-04-18 05:36:49逆順となってしまうが、後者の「食品、添加物等の規格基準」について先に言及することにする。/ 「食品、添加物等の規格基準」 http://bit.ly/eJcncs の2ページ目
2011-04-18 05:39:14次に、「緊急時におけるガンマ線スペクトロメトリーのための試料前処理法」を参照する。/ 「緊急時におけるガンマ線スペクトロメトリーのための試料前処理法」 http://bit.ly/gS8mrG
2011-04-18 05:41:16第7章「葉菜類」第3節「試料の前処理方法」では、次のように書かれている。『①土、泥等を軽く払い落とす。このとき水洗いはしない』
2011-04-18 05:44:20では水洗いはすべきではないのか、と短絡的に考えられないのが、本件の厄介なところだと思われる。同節の参考項目では「水洗等を行わないのは、緊急時における迅速性・簡易性のためである(大意訳)」とある。
2011-04-18 06:02:56つまり厚生労働省は、現在の食品安全性に関わる状況を「緊急時ではない」と判断していると考えられる。この判断が妥当であるのか、というのが問題の焦点であると言える。
2011-04-18 06:08:16冒頭で述べたように、ぼくはこの判断に「一定の妥当性がある」と考えている。それは、こと食品に関して言えば、重大な緊急性はさほど生じていないように思われるからだ。
2011-04-18 06:10:31というのも、現在被災されている方々は、このような放射能を持つ食品を食べざるを得ない、という状況にまでは置かれていないように見受けられる。つまり緊急性は高くないのだ。それよりも実際的な安全性をちんたら確認することのほうが、より重要であるように思われる。
2011-04-18 06:15:32なぜなら、実際的な安全性が確認できたのなら、それは実際に「食べることができる」のだ。被災地域の食としても供することができるし、もちろん出荷して、生産者が生活の糧を得ることもできる。まあ風評被害のことは置いとこう。
2011-04-18 06:24:00とはいえ、本件における厚労省の判断が100%正しかったのかと言うと、そういうことを断じられるほどぼくには情報がないので、何とも言えない。何とも言えないが、まあそんなに間違ってはいないんじゃないかな、ということだ。
2011-04-18 06:35:41本件は、厚労省の判断の「正誤」ではなく、それがどれぐらい妥当であったかという「程度問題」として論じられるべき問題であるように思われる。より適切に妥当性を判断するためには、より幅広く情報を集め、それらを統合して考える必要があるだろう。以上。
2011-04-18 06:50:26