編集部イチオシ

ロビン・フッドのすゝめ

ロビンフッドの原典って言われても漠然とし過ぎて何から読めばいいか分からないよって人に向けてのまとめ。 (追記)Togetterまとめ編集部さんに紹介していただきました。元々セガのアーケードゲーム「ワンダーランドウォーズ」のプレイヤー向けに書いた身内ネタだったので一部分かりにくい箇所もあるかもしれません。ご了承ください。
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童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

以前から書こうと思っていたコラムがなんとか形になりそうなのでこんな時間だがまとめさせてもらう。 皆はロビンフッドって知ってるよな。かつてイングランドで活躍した伝説の義賊だ。とはいえ、日本では名前以外なかなか馴染みがないと思う。 そんなロビンの原典を紹介したい。

2018-07-28 01:35:17
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だが本題に入る前にまずはロビンフッドの簡単な説明を。 元々ロビンフッドとは中世の吟遊詩人により語られた謎のヒーローでその正体は不明。実在したのかすらあやふやだ。 そこで現代では「ロビンフッドとは各地に存在した数人の人物の伝承が混同されて生まれた人物」なのではと考えられている。

2018-07-28 01:35:46
童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

fateのロビンはその説を採用しているから皆も知ってるかもな。 もっと言えばディズニーのキツネもそうだ。一番最初のシーンで吟遊詩人アラナデールは「ロビンフッドと呼ばれた英雄達」の話を前置きしてから「動物の国にいたロビンフッド」の弾き語りを始める。ウッドラリーウッドラリーなんて日だ〜♪ pic.twitter.com/7tFniI6Nul

2018-07-28 01:39:23
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民衆の為に戦った無名のヒーローが「ロビンフッド」と噂され、その噂がロビンフッドを作り上げていった。「概念」のようなものと言ってもいいだろう。 うちのロビンはどうなのだろうな。彼もまた「ロビンフッドと呼ばれた一人」なのか、はたまた「実在していたロビンフッドその人」なのか?

2018-07-28 01:40:06
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さて、簡単な解説はこのくらいにしてここから本の解説に移る。 まずはこの本、「ロビン・フッドのゆかいな冒険」(1883年、ハワード・パイル著)(岩波書店、村山知義訳) 現代におけるロビンフッド全ての雛形にあたる作品といえよう。詳しくは後述。 以前この近辺で下水道のピエロが紹介していた気もする pic.twitter.com/AiskMuxqeO

2018-07-28 01:48:54
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ハァーイ、ジョージィ………

https://twitter.com/manabuAschesama/status/996356308419788800

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最初に説明したがロビンフッドは中世の吟遊詩人による伝承。残っているのは僅かな本の記述や民謡でしかなく、いつ消えてもおかしくない曖昧な言い伝えだった。 そんなロビンフッドを後世に残す為にハワード・パイル氏がこれらの記述を纏めて一本の物語にしたのがこの本なのだ。

2018-07-28 01:50:20
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やっている事はグリム兄弟と同じだな。ハワード氏もまた歴史の闇に埋もれゆく物語を守った偉大な人物だ。 故にこの本が現代におけるロビンフッド一番の原典ということになる。森の弓兵、圧政と戦う正義の味方、ロビンの設定はこの本から派生していったのだ。

2018-07-28 01:51:08
童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

だがそれゆえの弊害もある。ハワード氏は恐らく伝承を聞いたまま忠実に記したのだろう。だから物語として少々粗が見られる。 特にキャラクターだな。新キャラに押されて後半空気になる初期メンバー。全部で1、2回しか出てこないキャラ。仲間になった次の話で義賊が解散になったキャラなどなど… pic.twitter.com/rmonix1Olz

2018-07-28 01:52:42
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一部、物語のバランスを取るために改変したと思われる箇所も無いわけではないがな。それでも現代の物語と比較すると少々アンバランスに思う。 それとwlwプレイヤーとして痛いのが「メイド・マリアンが登場しない」。彼女は更に後世のキャラのようだ。だからこの本には出てこない。詳しくは後述。 pic.twitter.com/uKKvObE2YU

2018-07-28 01:54:47
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誤解しないでほしいが、ストーリーやキャラクターの心理に矛盾は無いぞ。ロビンが自分の価値観をいきなり変えたりなどはしない。あくまで「ほんの少し細かいところが気になる」といった具合だ。 読み物としては十分面白いぞ。約130年前に書かれたとは思えない笑い有り涙有りの英雄譚だ。

2018-07-28 01:55:00
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意外に時間がなかった…残りは後日まとめる もう一冊のロビンフッド物語を紹介するぞ pic.twitter.com/aTz8tZ0DYS

2018-07-28 01:56:11
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一番の祖である「ロビンフッドのゆかいな冒険」を大元に世界では様々なロビンフッドの物語が派生していった。本は勿論、映画や舞台、ゲームと多岐に渡ってな。 その中でも代表的な「ロビンフッド物語」(1950年、ローズマリ・サトクリフ著)(原書房、山本史郎訳)を紹介したい。 pic.twitter.com/wQ8G2P2CHX

2018-07-29 01:25:46
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余談だがこのサトクリフ氏はイギリスの歴史小説家でロビンフッド以外にも様々な歴史小説を書いている。 アーサー王伝説やクー・フーリン、ベオウルフ、オデュッセウス等々…… フィン・マックールに至ってはfgoでも実在の本が登場して、本人が読んでいた。あの本の作者がサトクリフ氏だ。 pic.twitter.com/X3dtG79nRL

2020-01-21 10:39:55
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この本は義賊ロビンと仲間達が圧政と戦う大体のあらすじこそ同じだが、小説家サトクリフ氏によって細部にアレンジが加わっている。 「ロビンフッドのゆかいな冒険」(以下「冒険」)と違い、「ロビンフッド物語」(以下「物語」)では冤罪で農場を不当に持っていかれ、それに抵抗した為にお尋ね者となる

2018-07-29 01:27:37
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冒険では役人に売られた喧嘩を買ったばかりにいざこざで指名手配されてしまう。正直ロビンにも原因のある理由だが、物語の方に関しては何の罪も無いのにお尋ね者となってしまった。初っ端からなんて鬱展開…

2018-07-29 01:31:17
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物語で特筆すべきキャラはなんといってもマッチだな 冒険だと大きな出番が2.3回程しかない「仲間その4」程度のチョイ役なのだが、物語の方ではなんとロビンの弟分として義賊となる前から登場し、一番最初に仲間になるのだ。以降もロビンの左腕として出番は多い。 pic.twitter.com/dzdxDq298z

2018-07-29 01:35:56
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更には冒険にてロビンの命を狙いに来たがあっさり負けて退場したギスボーンのガイが、物語ではロビンの因縁ある宿敵として最初から最後まで戦う事になったりもする。 例えるなら「4面の中ボス」だったのに、こっちは主人公のライバル。大したものだ

2018-07-29 01:37:49
童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

ちなみにマリアンは中盤からの加入。 お尋ね者となった負い目からロビンはマリアンと合わないようにしていた。だがその2年後、マリアンは望まぬ結婚をさせられそうだと噂を聞いたロビンは彼女を救い出す為に結婚式への潜入を試みる。だが一方その頃マリアンも…? 続きは自分の目で確かめるんだ pic.twitter.com/iotFK2fNTO

2018-07-29 01:42:23
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物語の良いところは仲間の加入エピソードを序盤に持ってきてるところだな。先も述べたように冒険の方は新キャラに押され空気化する仲間や加入が遅過ぎて出番が少ないキャラも多いが、物語の方は中盤で仲間は全員揃う。 冒険は少し粗のあったお話だったが、物語はその粗を上手く整えてある。

2018-07-29 01:44:01
童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

他にもリチャード卿の息子や、新たな仲間、獅子心王によって解体された義賊のその後、ロビンがまた森に戻る理由などなど……違いは羅列するとキリがない。ハッキリ言って冒険の方と内容は全然違う。 冒険と物語、両方読んで違いを楽しむのも良いだろう。同じ内容と思って読むと驚くかもな。 pic.twitter.com/eLCVRROaAp

2018-07-29 01:48:05
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こんなところか。勿論この2冊以外にもロビンフッドの伝承は沢山ある。他に読んだもので面白いロビンフッドがあったら私にもオススメしてほしい。 私のオススメはやはりゆかいな冒険の方だな。内容が違うと言ったが、こちらの方が私は好きだ。せっかくwlwをやってるんだ。是非とも読んでほしい。

2018-07-29 01:57:01
童話に興味を持ったプテル(停止中) @manabuAschesama

【余談】 ゆかいな冒険の方はお値段もリーズナブル。気に入ったら買ってほしい。 一方、物語の方は……図書館を探した方が賢明だな。さすがに。 pic.twitter.com/G13w88qPkc

2018-07-29 01:59:39
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セガのアーケードゲーム「ワンダーランドウォーズ」もよろしくね。
ロビンはCV:櫻井孝宏 https://togetter.com/li/1000910