【wlw二次創作】その才能が泣いている【ロビスカ】

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

たまにはまたお話だ。私はスカーレットと共にロビンの童話世界「ノッチンガム」を訪れていた。何でもグランマ殿から会いに行くことを強く勧められたらしい。しかし…スカーレットはあまり楽しめていないようだな？あまり乱痴気騒ぎは好きではないのか。 あっリトル・ジョン、ぶどうジュースおかわり！

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「はっはっはっ！流石はライン川の葡萄酒！久し振りに飲みましたがやはり逸品ですねぇ！」 「あの、ロビンさん…いつまでこんな事を続けるのですか…？」 「スカーレット、この酒宴がですか？無論夜通しに決まってるじゃないですか！」 「まだ夕方ですよ。私はこんな事をしにここに来たんじゃない」

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「信じられない…まさかロビンさんがこんな酒飲みだったなんて…」 「隠してるつもりは無いなのですがね？酒はいいですよ。…でも貴方もアシェンもまだ飲めませんね」 【ちなみに原典のロビンはいつもの弓大会の景品がビールでなくなってしまい、怒って文句を言うシーンもある】

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「私はお祖母様から貴方に教えを乞うように言われてここに来ました」 「はい、そう聞いてますよ。葡萄酒もいただいちゃいましたからね。あ、お礼言っておいてください」 「あの…！貴方は何mも先から気付かれずに敵を射抜く凄腕のスナイパーなのでしょう。戦いの技術を私に教えてくださるのでは？」

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「いやあ…戦闘について私が貴方に教授できる事はないと思うのですが」 「へ…？」 「森に潜むのはお上手ですし、近接戦も貴女の方が強い。かといって弓は貴女の戦闘スタイルとは違いますしねえ。貴女は十分私より強い。まだ若いのにやりますね」 「え、じゃあ私は何を…」

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「おおおいロブ！そろそろ酒も回ってきただろ！いつもの賭け、行くぞおおお！」 「何？弓の的…？」 「ああ？誰に物言ってるリトル・ジョン。うぃー…この程度の酒で私の狙いは外れない！よし皆！私が当てたらジョニーがここにいる街の皆にそれぞれ一杯奢れ！そして外したら私が奢る！見ていろ！」

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（街の人も、この人も、皆馬鹿みたいにはしゃいで…付いていけない…） 「見ていろ…すぅ…行け！！」 スパーン！ 「すげぇ！ど真ん中だ！」 「あんなに飲んで手ブレすらしてない！」 「はぁ…やっぱりロビンはすごいな。あ、私はぶどうジュースを頼む」 「おいロブ…ちった手加減しろよ…」

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「はっは、どうですスカーレット。私以上の腕を持つ者などイングランド中、いや古今東西全てを探してもいない……おや？スカーレット？」 「スカーレットなら…あっちぃ…」 「アシェン…おや貴女、これぶどうジュースじゃなくて葡萄酒ですよ」 「あれ…わ、私…19歳なのに…おしゃけ………」

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「そ、それよりスカーレットは？もしや元の童話世界に帰った…？探してこないと。ジョニー、アシェンを頼む」 「たった一杯で…。てかこの子、まだ未成年じゃ…」 「まあドイツは本来18歳から飲酒OKですし大丈夫でしょう。スカーレットを探してきます。あ、約束通りちゃんと皆にビール奢れよ」

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「こんなところで遊んでる場合じゃない。私は一人でも多くの敵を殺して、一刻も早く平和な世界を…」 「お帰りですか？まだ早いでしょう。…うえぇ、酒飲んだ後の全力疾走は辛い」 「ロビンさん、申し訳ないですが私は帰らせていただきます」 「まあ待って。貴女の事をグランマさんに頼まれてる」

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「何が頼まれてるですか。こんなの時間の無駄です。それに幻滅しました。貴方はあれだけの腕を、世界を変える力を持っていながらそれをあんな大道芸なんかに使っている。腕が泣いています」 「…成程、グランマさんが私を頼ってきたのはこういう事ですか。ではスカーレット、逆に聞きましょう」

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「貴女もまた私と同じように天賦の才を有している。努力だけではない。持って生まれた類い稀なる才能もあってこその実力です。貴女はそれで何を為す？」 「決まっている。闇の軍勢を滅ぼし、世界を平和にする事」 「その後は…？」 「その後…？」 「はい、世界は平和になりました。その後は？」

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「そ、その後…」 「考えてなかったのでしょう。生まれてずっと戦ってきたから」 「…。」 「貴女は暗殺者としては完璧過ぎる。ですが人間性が欠けている。これからやりたい事とか無いのですか？」 「…。」 「それすら思い付きませんか。成程、幼少期から自分を殺して生きていたのですね」

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「私、戦ってばかりで…その後の事を考えてなかった…」 「…少し聞いてください。私も長く生きている。グランマの噂も聞いたことがありますよ。暗殺組織レッドフードの開祖。だが彼女はとても情に厚い女性だった」 「お祖母様が…？」 「はい。彼女は…狼の組織を敵視していた」 「ヴォルフ…！」

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「そうそう、ヴォルフ君。彼の組織でしたね。人の心を捨て、獣のように獲物を仕留める化け物ども。グランマさんはその存在をずっと否定していた」 「それは何故…？」 「人間は心を持っているからですよ。獣はたしかに強い。だがそれは心を持ってない。野性で戦っているからです」

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「人間はあくまで人間。身も心も獣になってはいけない。だからこそあの老婆は…心を大切にしていた。若かりし彼女はそんな人でした。そしてスカーレット、貴女はその心が希薄だ」 「…！」 「ウルフレイド…でしたか？人間に眠りし野性を強制的に解放し、力を得る限られし人間にしか使えないスキル」

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「貴女の強さはその野性解放にある。それが貴女やヴォルフの天性の才能。人間がとうの昔に失った野性を貴女達だけは解放できる。どんな攻撃も本能で避け、隙を見つければ喰らいつく。さながら狼のように」 「待って。私はヴォルフとは…あの男とは違う…！私は違う！」 「スカーレット」 「違う！」

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「…それを聞いて安心しました。貴女はまだ人間であろうとしている。ヴォルフ君のように強さを求め獣に堕ちようとはしていない。それこそ貴女が彼とは違う何よりの証拠です」 「でも…私には感情が無い…。今だって戦いの事しか頭になかった。だから私は…！」 「まあ落ち着いて。その為の私ですよ」

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「グランマさんは貴女に人間でいてほしかった。だから稀代の遊び人である私を頼ったのでしょう」 「でも…ロビンさん。私は何をすればいいの。戦いしかできない私が…平和な世界で生きるにはどうすればいいの…？」 「難しく考え過ぎです。古来よりこんな言葉があります。『芸は身を助ける』と」

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「おおロブ戻ったか」 「ただいま。お、皆ビールですっかり出来上がってますね。いやあジョニー太っ腹！」 「チッ、憶えてろよ…ほら、お前にも奢る約束だったからな」 「さんきゅ。さて…スカーレット、酒が入って皆は娯楽を求めている。チャンスですよ」 「う、うん…」 「おい、皆聞いてくれ」

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「このノッチンガムの宴会芸といえばロビンフッドの弓！ああ言わずとも分かります！ですがそろそろマンネリ化が否めない！そこで！今日は新たな芸人を呼んできました！スカーレットです！拍手！」 ＼おおおおおおお！／ （盛り上げ上手ね。流石はシャーウッドの森の王…ちょっとイメージ崩れたけど）

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「見てください。このハサミを模した鋭利な刃！力を入れやすいグリップに、柄よりも巨大なこの刃！本物の殺しにも使えそうです！ちょっと触れただけでケガしてしまいそうだ！コイツを…！」 「バッ！ロビン！？」 「ああ！？」 「ロブ！まさかお前そんな女の子に刃物なんか投げ…」 「はあぁ！」

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「！」 パシッ 「…え？」 「ゆ、指で挟んで…」 「受け止めた…」 「ぐぅ…バウムクーヘン…」 「今のは偶然じゃありませんよ。もう一丁！シュッ！」 （この程度、ウルフレイドを使わずとも指二本で見切れる…） パシッ 「「「おおおおおお！すげええええ！」」」 「！？」

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「何だあの姉ちゃん！」 「あんな巨大な刃を指で受け止めた！」 「すげえ！ロビンよりすげえ！」 「はっは、そうでしょうそうでしょう！でもロビンよりすごいって言った奴覚えとけ！」 「ロ、ロビンさん…皆が歓声を上げてる…」 「もっとあるんでしょう？皆に見せびらかしましょう」

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「さあ次は今の二本のナイフでジャグリングです！これは間違えて柄でなく刃側を握ってしまったら大惨事だ！」 「…はっ」 ポイッ、ポイッ、ポイッ 「ま、またすげえ！」 「スカーレット、一本足しますよ」 「大丈夫。来て」 ポイッ、ポイッ、ポイッ、ポイッ 「さ、三本でジャグリングだ！」