【WLW二次創作】たしかに存在する「正義」
- manabuAschesama
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今日もまたお話の時間。またしても長くなるので適当に聞き流してほしい。 今回のテーマは「正義」。世の中に正義などないと人は言う。でも私は知っている。私以上に正義などない事を知りながら、それでも尚「正義」ってものを信じた人を。あれはクロノダイルを倒しに行った帰り道の事だ…。
2017-01-16 23:52:56「これでブッ殺せ!!」 【スキルーラピッドブラスト】 「我が弓よ、輝け!アシェン!」 「その悪しき志、貫かせてもらう!今だ!雪ちゃ…シュネーヴィッツェン!」 「いっけええええええ!勝利の刃ああああ!!!!」 「やったああああ!クロノダイル撃破!正義の勝利だあああああ!!!」
2017-01-16 23:54:16「やりましたよぉ…正義を示せたね、メアちゃん…ムニャムニャ」 「雪ちゃん、すっかり疲れて寝てしまったか」 「ハッ!ガキはガキだな」 「仕方ありませんよ。彼女はヴィラン戦は初めてですから」 『皆さん、マメールです。4人ともクロノダイル討伐お疲れ様でした。しばらく馬車でお休み下さい』
2017-01-16 23:56:49「正義だああああ…メアちゃああん…」 「む、寝言か」 「フフ、可愛らしいじゃないですか」 「…あーあー、どいつもこいつも正義正義。今日はしんどかったなー」 「…。」 「おい、ヴァイス」 「何だ、良い子ぶんなよ。お前だって思ってんだろ。正義なんてありえねーって」 「ヴァイス!」
2017-01-16 23:59:10「ヴァイスは…正義はお好きではないのですか?」 「甘っちょろい事言ってんじゃねえぞ。世の中に正義なんてあるかよ。そこのガキならともかく、良い歳した大人が正義正義恥ずかしくねえのかよ」 「おい!」 「いいんですよ、アシェンプテル。…ヴァイス、では貴女は何故wlwで戦ってるのです?」
2017-01-17 00:00:13「…んなもん決まってんだろ。金だよ。金。マメールのヤツ、羽振りだけは良いからな。そうじゃなかったら誰がわざわざこんなとこで戦うかよ」 「ヴァイス、お前…!」 「成程、まあそれは否定しません」 「へぇ?しねえのか。アンタなら金に執着するなんてと怒ると思ったんだが」
2017-01-17 00:02:04「まさか。お金は生きるのに必要です。これでも貴女より分かってるつもりなのだが」 「流石は森暮らしの大先輩だな」 「ではヴァイス、これは例え話ですが…もし闇の軍勢がもっと高い報酬を約束したならば貴女はどうしますか?」 「えっ」 「おっ?…は、はああ?そりゃ、そうだな…」
2017-01-17 00:03:34「それは…なんか嫌だ」 「それが貴女の義心ですよ。ヴァイス」 「はあ…?」 「人間、生粋の善人というのはいませんが、それと同時に根っからの悪人というのもいません。人間は心の何処かに正義を持っている。その躊躇いこそが貴女の中にある『正義』なのですよ。貴女も本当は…優しい良い人だ」
2017-01-17 00:06:09「…あー、ウゼェ。良い人とか言うなよ。言い返す気失せた」 「言い返せないの間違いじゃないのか?顔赤いぞ」 「うっせえデカ乳鳥女!見んな馬鹿!」 「はは、貴女もアシェンもシュネーも私にとっては共に正義の道を歩む仲間。頼りにしてますよ」 「ロビンは…立派だな」 「アシェン?」
2017-01-17 00:06:53「だってそうだろう?私達より長く生きてるのに、どうしてそこまで澄んだ目をしてるのだ?」 「そうだよ。漫画ではそういうヤツって、人間の為〜なんて言ってたけど長年生きてるうちに、その身勝手さに嫌気がさして嫌いになるもんじゃねえのかよ」 「ああ、たしかにそんな未来もあったのかも」
2017-01-17 00:08:20「でも結局なりませんでしたね。エルフである私は長く生きたからこそ、穢れなき正義を守りたいと願うようになった」 「正義か…。でもロビン、ヴァイスの味方をするわけではないが、私も世の中に絶対悪なんてものは無いと思うぞ」 「そうですね。正義の反対は大抵、また別の正義です」
2017-01-17 00:08:49「イングランドのジョン王はご存知ですか?」 「ジョン欠地王だな。知ってるも何も、ロビンフッドの敵だ」 「ええ、私が今から800年前に戦っていた相手です」 「マジで!?その頃から生きてんのかよ!?すげえなエルフ!」 「悪しき横暴に対して私達は戦い、それで民からも慕われたものです」
2017-01-17 00:10:42「そうだな。重税を負わせる役人達と戦い、時には罪無き人を救う。まさに童話に綴られる伝説の義賊ロビンフッドだ」 「あの頃の役人は酷いものでした。だから私は奴等を懲らしめ、人々を救った。それが正義だと信じて。ですが後世になって知ったのです。当時、イングランドは財政難だったのだと」
2017-01-17 00:11:46「十字軍遠征…だな」 「はい。ジョン王の兄、リチャード1世は十字軍を引き連れ戦争に行っていた。そしてその遠征の費用を自国から搾り取っていたのです」 「んじゃ何かい?ジョン王は兄の皺寄せから国を守る為に重税を負わせてたって事なのか?」 「ええ。つまりはそういう事です」
2017-01-17 00:13:02「たしかに彼のやった事は横暴で、民が虐げられた。私は今もそれを許さないし間違った事をしたとは思わない。でも…ジョン王にも『正義』があった事を知った。イングランドを立て直すという正義が…」 「ロビン…」 「今となっては彼の真意はもう分かりませんがね」
2017-01-17 00:14:19「それ以来、私は正義を口にしなくなった」 「でも…たしかに評価点もあっただろうが、ジョン王はやはり悪い奴だと思うぞ」 「それは問題ではないのです。相手の方が悪いなんて言ってたら争いは絶えない。私は己の身勝手な価値観で他者の正義を否定してしまう事もあるという事実が怖くなったのです」
2017-01-17 00:15:44「でもよぉ、結局今は正義正義言ってるじゃねえか。どういう心境の変化だよ?」 「マメールに諭されました。世界が滅ぼされそうなのに正義も悪もあるかと」 「ぶっちゃけるな…マメール…」 「はは、だが真理でした。闇の軍勢によって人間が滅ぼされそうになってるのなら立ち上がるしかない」
2017-01-17 00:18:16「よく『この世に悪は栄えない』なんて言葉がありますよね。あれは決して綺麗事でも何でもない。本当の事なのですよ」 「でも悪い奴はいるぜ?」 「でも栄えはしない。だって本当に世の中に悪が蔓延ってしまったら、その時人の世は滅びますからね。だから悪は正義で倒さないといけない」
2017-01-17 00:20:33「世の中にはどこかに『正義の味方』がいて、悪が栄える前に倒してるのです。それは1人なのか、沢山いるのかは分からない。正義に燃えた者なのか、無自覚に悪を倒そうとする者なのかも分からない。でもたしかに人が滅ぼされないよう戦っている」 「じゃあロビンもその『正義の味方』なのか?」
2017-01-17 00:22:18「そうで存りたいとは思っています。私は皆の為、私の価値観が間違っていなければの話ですけど」 「その点は大丈夫だな。なんせ相手は人間を滅ぼす闇の軍勢。人類の敵だ」 「はい。今こそ私は個人の正義ではなく、人間の為の正義となる。だって、こんなに皆さん素晴らしい生き物なのですから」
2017-01-17 00:22:44「長く生きてるからこそ希望を見出したのか。そんな考え方もあんだな…」 「たしかに私の言ってる事は綺麗事なのかもしれません。でも綺麗事を否定したらこの世には何も残りませんよ。私は何百年も生きてきて、それに気付いた。だから私は…穢れなき正義でありたいと願っています」
2017-01-17 00:27:06「そうか…。悪かったなロビン」 「何故アシェンプテルが謝るのです?」 「私も…心の中では少し正義なんて胡散臭いなと思っていた。でも今ので分かった。ロビンの言う正義なら、私は信用できる」 「…はい。感謝しますよ。アシェンプテル」 「…悪いがアタシは賛同しかねるな」
2017-01-17 00:28:23「ヴァイス…お前また水を差すのか」 「まあ聞け。アンタの大層な正義感には感心した。これは皮肉じゃなくてマジだ。でもな…アンタ、サポートしてて一番危なっかしいんだよ」 「えっ…?」 「さっきのヴィラン、アンタとシュネーは左行ったよな。でもアンタ、自分だけで兵士倒してたろ」
2017-01-17 00:28:58「見ていたのですか…?」 「まあな。それより本題だ。兵士ならファイターのシュネーに任せた方が合理的なんじゃないのか?」 「それは…彼女はまだ幼くこの中でも一番未熟ですし…」 「いーやそれは言い訳だ。アタシやアシェンが相方でもアンタは同じ事してた筈だ。違うか?」 「そ、それは…」
2017-01-17 00:32:34「信じてください。決して貴女方を信用してないというわけでは…」 「分ーってるよ。アタシらに負担を減らす為に一体でも多くの敵を…ってとこだろ?でもそこが危なっかしいんだ。そのガキ2人よりも、アンタの方が」 「…むぅ」 (今さりげなくガキ呼ばわりされたが、ツッコめる空気じゃない…)
2017-01-17 00:34:28