【WLW二次創作】たしかに存在する「正義」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「だからロビン、ちょっとはアタシらも頼れ。正義の味方ってのは、何でも一人でできる奴の事ではない筈だ」 「…は、はは。これは参りましたね。仲間を束ねる団の頭だった私が、まさか仲間の事で説教されてしまうとは。ですがいつの間にか私はどうも一人で背負い込もうとしていたようです」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「何だヴァイス、言うじゃないか。見直したぞ？」 「うっせえ茶化すな。アタシ、スカーレットと違って才能ねえし弱いけどよ、だからこそ自分の力量も把握してるし、無理なら仲間に頼るようにしてる」 「…お前、良いサポーターだな」 「馬鹿にしてんのか」 「初めてお前を褒めたつもりなのだが」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「…ともかくアタシもアシェンもちゃんとやれる。そこのシュネーも今はまだまだだが強くなる。だから頼れ」 「承知しました。すみません。私は貴女を誤解していた」 「…私もアンタの事、頭お花畑の野郎だと思ってた。悪かったよ。アンタはアタシらよりも長く人間を見てきてその結論に至ったんだな」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「うーん…悪は許さーん……ぐぅ…」 「てかそいつ寝言うるせえな！アシェン！起こせ！」 「いいじゃないか！雪ちゃんも疲れてるのだ！」 「ったく、毒リンゴ食って寝てる時もそんなだったのか？」 「死体のまま連れ歩けば賑やかで楽しそうですね」 「「！？」」 「ノッチンガム流ジョークです」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「ところで…その子は随分と正義感が強いようですね」 「まだガキで騙されそうだけどな」 「それでもいいのです。義心を失くした人々は悪を見逃すようになる。そうなれば世界には悪が蔓延る。でも、こんな子がいるならば…きっとこの世はこれからも安泰でしょう」 「だと良いのだがな…」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

眠る雪ちゃんを見ていて思い出す。そうだ。私も昔、正義の味方とあっていた。 『雪ちゃんは…すごいね。悪い継母に立ち向かうなんて』 『そんな事ないよ。メアちゃんも正義の心に目覚めればきっと立ち向かう勇気が出るわ！』 『ゆ、勇気は分からないけど…でも私も雪ちゃんみたいになりたいな』

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「…私も昔、虐げられ、それに屈して、灰かぶりでいさせられた。でもそんな時、私の前に正義の味方がやってきたんだ。そして私はその子の正義に勇気付けられたんだった」 「アシェン？」 「少し恥ずかしいが、正義ってのも悪くないな。ロビン」 「…ええ、そうですね」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「んん…」 「あ、雪ちゃん…もう起きたのか」 「まあね。あ、膝枕ありがとね。じゃあそろそろ起きよっかな…。なんで皆ニコニコしてるの？」 「別にニコニコしてねーよ」 「してるじゃんヴァイス」 「歳上を呼び捨てにすんな！」 「少し…互いの正義についてを語り合ってたのですよ」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「正義！？そう！ヴァイスも正義の心に目覚めたのね！」 「人を悪者みてえに言うな！何が正義だ！アタシは御免だね！」 「またそうやって捻くれて！正義ってのはね…」 「雪ちゃん、ヴァイスはちゃんと分かってるよ」 「本当に〜？」 「はい。大切な事はちゃんとね」 「…。」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「そっか…。でも私としてはヴァイスもだけど、ロビンさんも心配なのよね…」 「えっ？」 「ん？」 「は…？」 「ほら、ロビンさんは人間社会が分からなくて悪い奴に騙されそうだし」 「え、ええっ！？」 「雪ちゃん！？」 「…っはっはっはっはwwwwwwwwwだとよロビンwwwwww」

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

「ロビンさん、しっかりした正義感を養わなければ悪しき心の持ち主に騙される事もあるのですよ！そうならない為にもこの私が一つ、正義の何たるかを教授しましょう！」 （ア、アシェン！私って世間知らずに見えるのですか！？） （多分…アレだ。エルフだから人間社会に疎そうっていう偏見だ）

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

幼くも純粋で真っ白な正義。 正義を馬鹿にしながら、それでもしっかりと信じるものだけは見失わない正義。 そして…正義など存在しないという現実を知ってしまっても、尚も清く正しくあろうとした正義。 この馬車には多種多様な、しかしハッキリと共通した正義が集っていた。

童話に興味を持ったアシェンプテルbot @manabuAschesama

たしかにこの世に正義なんて無いのかもしれない。今回の話は随分と青臭い話だったろう。だがそれでも…私はこの気持ちを切り捨てたくはない。私が私としてある為。私が人である為。私も自分の信じる正義に殉じたい。 まだ続く雪ちゃんの正義トークを聞き流しながら、そんな事を考えていた…【終】