ベリアル・アンダーカバー ＃４

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ベリアル・アンダーカバー】#4

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハアーッ……ハアーッ……」アラマンダは焦点の合わぬ目で過冬のニンジャとロシアンクローンヤクザを見る。アラマンダの全ての指は既にケジメされ、腹は鋭利なダガーでクロスカタナ状に切り裂かれ、血がおびただしく床に滴り落ちていた。「こんなものではおさまらんぞ」ベスティアリウスは言った。1

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「ベアゴージ＝サンは俺の義兄弟でな」彼は瀕死のアラマンダの前で行ったり来たりを続けていた。部屋の奥には巨大なマトリョーシカが鎮座していた。マトリョーシカにはシメナワが巻かれ、片目がない。大願成就のおりに黒目を描き込むのである。額入りのショドーにはカタカナで「強い悪さ」とある。　2

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「同じ泥水を啜り、同じドンペリを酌み交わしたニンジャよ。それが惨たらしく殺された。奴と俺は熊の絆があった。わかるか？熊は俺達のルーツだ」「……アバッ……」朦朧となりながら、アラマンダはなおベスティアリウスを睨もうとする。「キキッ」過冬のアイアンメイデンが目を細めて笑った。　3

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「もっとやらせてくだせえ」アイアンメイデンが乞う。ベスティアリウスは鼻を鳴らした。「ベアゴージ＝サンはテメェらに殺られたのか？知らねえ……そんな事はどうでもいいんだよ。痛めつけて留飲を下げるクズ……それがテメェらだよ。ソウカイ・シンジケート」「……」　4

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壁に添ってロシアンクローンヤクザが一列に並び、キヲツケの姿勢。さらにデッドリーキャッチがテーブルでカニを砕き、肉をせせっている。彼はカニ漁船をシメるヤクザニンジャで、今回の抗争にあたって陸へ戻って来た。「俺はカットスロート＝サンを失った」「朋友か？」「いや。ただのクソ野郎だ」　5

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「わかったか？とにかく俺らはイライラしてる」ベスティアリウスがまとめた。「ふざけるな。オーロラがこのシトカを塞いでる。ボスの魔力も、カシマール＝サンの妖術も、もう沢山なんだよ。普通のシノギに戻りてェ。テメェら、何が目的で俺らにケンカ売りやがった？」「……知るか……」　6

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「ア？」ベスティアリウスは顔をしかめた。「何も知らねぇで暴れてンのか？」「キキッ……」アイアンメイデンが奇妙なジツを用いると、アラマンダの身体の内側からウニめいて細かい棘が飛び出した！「アバーッ！グワーッ！」「嘘はついてませんねェ……」「ア？何も知らされてねえのか？ハハハ！」　7

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「ハアーッ……ハアーッ……」アラマンダは白目を剥き、肩を上下させる。「過冬をただのヤクザニンジャの寄り合いと勘違いしたテメェらは破滅して当たり前……そういう事だ」ベスティアリウスはカイシャクのボトルネックカット・チョップを構えた。「俺らは呪われてる……テメェらは全滅だ」　8

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その時だ。KRAAAAAASH！事務所の壁がいきなり破砕し、石くれと粉塵が撒き散らされた！「スッゾ！？」「アッコラー！？」整列していたロシアンクローンヤクザが一斉にチャカ・ガンを構え、三人の過冬ニンジャは油断なきカラテ警戒態勢を取った。壁を拳ひとつで突き破ったニンジャが進み出る！　9

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キリング・オーラが充満！彼女はブラブラと拳を振り、カジュアルにアイサツした。「ドーモ。ソウカイ・シックスゲイツ、ヴァニティです。オジャマシマス」その傍らにもう一人のニンジャ。「ドーモ。インシネレイトです」彼は驚愕と怒りで椅子のアラマンダを視認した。「アラマンダ＝サン……！」　10

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「……」もはやアラマンダは返事もない。認識したかどうかもわからない。死んだのだ。インシネレイトのこめかみに血管が浮き上がり、奥歯がバキバキと音を立てた。「何してくれやがったコラ……！」「決まってんだろ。カラテの至らねえクズカスだ。遊んでやったんだよ」デッドリーキャッチが言った。11

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「キキッ……お前も同じ事やってんでしょう？」アイアンメイデンが図星を突いた。「だからどうしたァ！」インシネレイトが目を血走らせる！「……」ヴァニティは表情を動かさず、ただ手招きする。過冬は応えた。「ドーモ。ベスティアリウスです」「アイアンメイデンです」「デッドリーキャッチです」12

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アイサツ終了からコンマ1秒！ニンジャ達は床を蹴った！「イヤーッ！」「イヤーッ！」カラテ衝突音！そして衝撃波が事務所に充満した粉塵を吹き払うなか、クローンヤクザの一斉銃撃が追いつく！「ザッケンナコラー！」「スッゾオラー！」BRATATATATATATATATA！　13

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「イヤーッ！」ヴァニティはデッドリーキャッチのチョップを叩き割るべく殴り返す！だがその動きを引き戻すかのような身体の不随意！彼女の利き腕の内側から黒い棘が飛び出したのだ！「イヤーッ！」「グワーッ！」ナムサン！ヴァニティの肩口が裂ける！「キキキキ！」アイアンメイデンがほくそ笑む！14

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BLAM！BLAM！BLAMBLAM！クローンヤクザは銃撃を継続！「イヤーッ！」インシネレイトの両目が火を噴き、カトン・ウェイブが銃弾を焼き払う！「イヤーッ！」二度薙ぎ！クローンヤクザを焼き払う！「グワーッ！」焼け焦げながら、しかしクローンヤクザ達は倒れない！影がまとわりつき、支えるのだ！　15

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「イヤーッ！」デッドリーキャッチはヴァニティの腹部を突き破る勢いでカラテパンチを繰り出した。ヴァニティは目を血走らせ、腹筋にカラテを込めて拳を受けた。鎖骨、首、肩から棘が生え、血が噴き出した。滑るように移動したベスティアリウスがヴァニティの背後、首を絞めにかかる！「トッタリ！」16

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「クソッ……」インシネレイトの心臓が強く打ち、時間間隔が圧縮される。影に操られるクローンヤクザ焼死体が再銃撃姿勢！「クソガーッ！」インシネレイトのこめかみが爆ぜた。「姉御！悪りィけど面倒くせえわーッ！」見開いた目がコロナじみて白く輝いた。そして！「イヤーッ！」KRA-TOOOM！　17

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ナムサン！ナムアミダブツ！インシネレイトはカトンエネルギーを最大出力放出！熱を浴びたマトリョーシカが膨れ上がり爆発！ニンジャ達は、クローンヤクザは、熱い光の中に消失した……！KA-BOOOOM！　18

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「グワーッ！」「アバババーッ！」「アバババババーッ！」クローンヤクザの、ニンジャの悲鳴！「AAAARGH！」インシネレイトの叫び！閉所における高出力カトン・ジツは極めて危険！ジツ使用者にとっても命を脅かす禁じ手！だがそれゆえに乱戦において絶対の制圧力ともなる。逃げ場なし！回避不可！　19

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過冬のニンジャ三人は確かなカラテとジツと連携の持ち主であった。だがもはや無意味……！「オレハ！死ナネエ！絶対死ナネエーッ！」自らも焼かれながら、インシネレイトは不明瞭な叫びをあげた。「姉御！死ンダラ！アンタモ！ソコマデノ女ッテコトデ！俺ヲ！恨ムンジャネエゼ！」ZZZTOOOOOM……！　20

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DOOOM……DOOOOM……七階建て雑居ビルが崩落してゆくさまを、差し向かいのブロックの換金所の屋上給水タンクの上にアグラしたカシマールが見下ろしていた。肩にはカークィウスの鸚鵡。「フームムム……我が子らの気配、絶えましたぞ……アナヤ……敵ながら恐るべし……とても暖かいですな……」　21

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カシマールの三重の虹彩が超自然の輝きを脈打たせた。彼はハデス・ニンジャクランのニンジャの力、シャドウネット・ジツの視界を用い、たった今の抗争の生存者をトレースする。既にインシネレイトとヴァニティには「タグ付け」を済ませており、生命反応の把握は容易だ。「生きておりますなァ……」22

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「シックスゲイツ伊達ではないな」肩の鸚鵡が冷静に言った。「この程度で倒せておればここまでの事態にはなっておるまい。粛々と進めるのみ」「アナヤ……アナヤ」カシマールは残念そうに首を振り、携帯端末を鸚鵡の口元に差し出した。通信相手はヨロシサン製薬の営業サラリマンである。「モシモシ」23