【Schlacht_Musiker】路地裏【第二話】

山田あーる @R_gurei1639

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ドガシャーン 「なんの音だ！？」 少し先の裏路地の方から何かが派手にぶつかる音がしたので慌てて向かうと、そこには日傘をさした黒髪の青年が立っていた。

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「何の用ですか」 と言いながらその青年はこちらを見た。 「いや、連続父親失踪事件を追っていたら凄い音がしてここに着たんだが…」

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「だったらこれが犯人だよ」 指差した先にはもう何もいなかった

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「まさか！」 顔面にヒビの入った人形はこちらに向けて肩やスカートの中からたくさんの手を伸ばしてきた

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「危ない！！」 自分は突き飛ばされゴミ置場へ突っ込んだ

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「大丈夫ですか？」 「あ、ああ…ゴミ袋がいいクッションになって助かったよ」 彼はふと気がついたように 「そういえばあなたの能力って戦闘向きではないですよね」

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すると彼は 「でも、戦えないなんて言ってないんだけど、なっ！」 路地裏の壁を蹴って走り、空中で勢いをつけ少女の人形に回し蹴りをしたが、人形は急所をかわしてしまった。

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「しまった！！」 体勢を立て直す前に明らかに少女の人形が攻撃体勢に入っているのが見えた。

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突然綺麗なグラデーションを織り成す夕焼け空が一変、月の煌めく夜に変貌した。

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「大丈夫か」 金髪の男性は少し悲しげな目をしながらこちらを見た。

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「助かったよありがとう」 「どうも。いや…でも…彼女は…」 金髪の男性が言い終わらないうちに黒髪の青年が少女の人形へ蹴りをかました。

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その瞬間能力がとけ、あたりは夕焼けに戻り彼の蹴りは少女の腕を数本なぎ飛ばしただけだった。

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そのなぎ飛ばされた手たちが自分へと凄い勢いで向かってきているのに気がついた。 先程のゴミ捨て場にあったポリバケツの蓋を爪先で蹴り上げ足で支えた

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だが、ポリバケツでは強度が足りず砕け散ってしまった。そして足に手が絡み転んでしまった。足に力がうまく入らず自分の死を覚悟した

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その時だった

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「すまないジュリエッタ…！」 金髪の男性は物憂げな表情に涙を浮かべながら少女の人形の手を掴み叩きつけ投げ飛ばした。

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その攻撃が致命傷になったのかそのドレスを着た少女の人形の姿は跡形もなく消えた。

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そのかわりそこに現れたのは失踪したはずの気を失った父親4人であった。

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「ジュリエッタ…」 金髪の男性は両手を見つめながら悲しげな表情を浮かべていた。

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「いやあ？このお人形さんどうやらジュリエッタさんではなさそうだよ」 葡萄色の髪の男は落ちている古い本を拾い上げながら言った。

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「本当か！」 「ああ、あのお人形さんはナンネルという名前のようだね。よかったな」 その古い本の表紙を読みながら言った

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「そういえば、君はどこで少女のお人形さんの次の出現場所に気がついたんだい？」 黒髪の青年は目を伏せながら 「今までの出現場所とここを繋ぐと綺麗な星型になるんです。だから…」 と言った。

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「この人形、星が好きだったのか？」 「その割には腕で攻撃してきてたけどねえ」

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3人と3人に引きずられたり担がれた気を失った4人の父親は路地裏を後にした。