今日の掌編屋さん

ぺり @Buts_Kirisaki

実況「打った！大きい！大きい！伸びる！伸びる！入った！入ったホームラン！」 南「やったね、タッちゃん。念願の甲子園だね。グス」 西乃「グス。やるじゃん、タッくん。ちゃんと約束、守ってくれたんだ」 東条「グス、眞中くん…私」 北王子「てかあたしだけ約束してないんだけど！眞中ァァァ！？」

ぺり @Buts_Kirisaki

英雄「ハァァ、変・身！」 変身ベルトの電源を入れると、駆動音。近頃のおもちゃは良く出来ている。まるで本物と見紛う程の仕上がりだ。あわよくば自分もヒーローになれるんじゃないかと錯覚する。 英雄「ハァァ、変身！変・身！」 くそ、できない！急げヒデオ！警察が乗り込んでくる前に…早くっ！

ぺり @Buts_Kirisaki

洗顔男「ぷあっ」 今日も今日とて肉体労働。気がつきゃ四十を超えた。肉体も衰えはじめている。毎朝が辛い。でも稼がにゃならん。出て行った妻子がいる。無駄遣いはできん。 顔から滴り落ちる水。風呂も満足に入れない。四畳半が染みる。 っと、タオルタオル… 「はい、タオル」 受けとり顔を拭…ん？

ぺり @Buts_Kirisaki

彼氏「ひどいなぁ、ぼくはこんなに君のこと想っているのに」 彼女「あなたのその軽薄な言葉にはもうウンザリ」 雑踏の中、振り払われる手。 彼氏「待っ」 手を伸ばすが、届かない。 彼女は人ごみに消えて行った。 残念だなぁ。 彼氏「お疲れっす。お客さん怒って帰っちゃったんで上がっていっすか？」

ぺり @Buts_Kirisaki

店員「ラッシャーす」 旅人「パンツが欲しいんだが」 店員「あちらの棚に」 旅人は頷くと1枚を選びレジへ。 店員「698円です」 握り拳を開く。 店員「127円不足ですね」 旅人「何も履いてないんだ。そこを何とか」 店員はエプロンを脱ぐ。「実は僕もパンゼロでね。ついさっき交渉に失敗したところさ」

ぺり @Buts_Kirisaki

父「お盆だからね。お母さんに会いに行こう」 そう言って手を引かれ、とある駅を訪れた。 藁葺き屋根の無人駅。空を覆う程の山に挟まれた静かな場所。 父「さあ、ママが待ってる」 一歩踏みだす先は。 娘「パパ待って。そっちにはママのお墓はないよ」 手を離すと、パパは1人で歩いて行ってしまった。

ぺり @Buts_Kirisaki

鴉「おれ今日こそいける気がする」 雀「いや鴉さん高所恐怖症やから、空ムリ言うてましたやん」 鴉「自信が漲ってる。もうこの屋根とはおさらばだ」 雀「1年も経ってます」 鴉「ごみ捨場とを行き来する生活よ、さらば！」 雀「あ、言い忘れてましたわ、きょう台風でっせ」 鴉「早く言ぇグワァァァ！」

ぺり @Buts_Kirisaki

鴉「サファイアが見つかったわ」 昨日言われた通り戸だなを探してみた。 猫「俺たち猫は時間の概念がないからにゃ。たまたま1週間前の俺が、昨日のお前を知ってにゃだけだ」 鴉「あ、ダイヤも失くしたのよね」 猫「猫は便利なタイムトラベラーじゃにゃい」 しかし猫は律儀に、明日の私を教えてくれた。

ぺり @Buts_Kirisaki

「いいかい。今から高速で景色が流れて、人間大のカメが飛んでくるから、合図に従ってジャンプするんだ。たまに、いやそれだめだ！穴落ちる！ってなるから、ある程度合図は無視しよう。そしたら兄さんは生きて、姫の元に辿り着けるよ」 「OKだブラザー」 「それじゃGO!マリオ!GO!」 「ヒアウィゴー！」

ぺり @Buts_Kirisaki

妹「お腹すいた。パンケーキ作って」 兄「妹よ。朝から…」 妹「いいから作って！」 兄「痛ェ！　叩くなよ…」 妹「あとで午後のおやつにバケツプリン買ってきて」 どこに売ってるんだそれ…と難色を示すと、 妹「いいでしょ、何とかしてよ！今日は私お誕生日さまなんだから」 と、頬をふくらませた。

ぺり @Buts_Kirisaki

朝、出勤して驚いた。 デスクの上に置かれた一枚のFAX。日付は9月4日。今日は9月3日である。 未来からの手紙だ。そう思い、背筋が寒くなった。 受信機の時刻異常ではと、通信会社を呼びつけたが、インクが滲んだ訳ですらない。 首を捻る俺宛に、一本の電話が。 『やあ来年の俺。今日は9月4日だろう？』

ぺり @Buts_Kirisaki

「そんな口約束が通ると思っているのか！」 「忖度だ！忖度だろ！」 「コノヤロー！国民の血税をなんだと思ってるんだ！」 私は、誠実にやってきた。 民草のことを思い、想い。国の顔として。 だがどうだろう。 怒号飛び交う議場を見て、私は思い馳せる。 代表だろうが、立場は低いものだ。天を仰ぐ。

ぺり @Buts_Kirisaki

お「れの右眼が疼く」 な「に言ってんだ。う、うお！」 ら「ーめんが次から次へと！」 く「そう！」 さ「っと茹でな」 い「から麺がダルダルに！」

ぺり @Buts_Kirisaki

ズゴゴゴ。 なんだ。何か、地鳴りがする。 小高い丘に私は立っている。幸い遠くを見通せた。 あれは…動物か？とにかく大群が丘に向かって迫ってきている！ 地平が埋まる程。これは危険だ！ 「逃げろォ！松岡修造の大群ダァ！」 はぁ！？ 視界に溢れんばかりの修造。 ウワァァァァッ！ ハッ、夢か。

ぺり @Buts_Kirisaki

いまの若者には、いじめ文化が根づいてる。 意識的ではないにしろ、根づいてるので、コトバで殴ることを厭わない。 若者たちは言う。 「いや暴力振るっているわけじゃないんだから」 いやいやコトバで殴ることも、コブシで殴ることも、どっちも同じ「暴力」だからね。 相手を傷つける行為でしょ？

ぺり @Buts_Kirisaki

神絵師からのリツイートはデカイ。 けど、神小説師からのリツイートは跳ねない。 てかそもそも神小説師はどこにいるかわからない。 巧妙に潜伏をしているのか。 いや違う。 そもそも小説は大衆を「いいね」という共感に巻き込みにくいのだ。

ぺり @Buts_Kirisaki

ドンドンドンドン！ ※「おい！いつまで入ってるんだ！電話だぞ！」 ったく、おれの聖域（うんこルーム）まで押し入ってきやがって… ぺ「おれのうんこタイムを邪魔するのは誰だこのウンコ野郎！」 ※「テメエの上司だこのウンコ野郎！」 ヒィ、サーセン

ぺり @Buts_Kirisaki

「新元号は課金です」 そう言った官房長官の手には、いつの間にかスマートフォンが握られていた。 「これからのライフラインはすべて、この人工知能【mother】が管理します」 掲げた液晶ディスプレイにはアニメ調の美少女が描かれていた。 「皆さんの生活は、マーたそが豊かにしてくれますぞ」