小5のお楽しみ会で大作紙芝居を発表、担任から「やめい!残酷すぎる!やめんかアホ!」 とクレームが入り、中断となった。

「燃えよドラゴン」を見たのは小5の冬だった。私は猛烈に感動したため、ノートに「燃えよヌーピー」という漫画を描いた。
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三一十 四四二三 @31104423

「燃えよドラゴン」を見たのは小5の冬だった。私は猛烈に感動したため、ノートに「燃えよヌーピー」という漫画を描いた。 主人公のヌーピー(変な名前だ)が、少林拳の修行をして、親の仇を討つというものだったが、友達のKに見せたら大変好評だった。Kは「これを紙芝居にしてお楽しみ会で発表しよう」

2018-09-01 15:40:47
三一十 四四二三 @31104423

と提案。私はKと一緒に「燃えよヌーピー」を約50枚の大作紙芝居に仕上げたのだ。 お楽しみ会というのは、クラス単位で行う余興の会だが、皆が「風船に針を刺しても割れない手品」ばかりやるので、然程に盛り上がらない。しかしオリジナルストーリーの紙芝居というのは目新しく、大変受けた。

2018-09-01 15:40:51
三一十 四四二三 @31104423

気を良くしたKは「なあ三一十。今度のお楽しみ会でヌーピーの続きをやろうぜ」と言ってきた。それは賛成だったが、Kは「次はヌーピーとハカタンが対決する話にしよう」というのだ。ハカタンというのは私が「燃えよヌーピー」の前に学級新聞に描いていたスーパーヒーローものの漫画「スーパーハカタン」

2018-09-01 15:40:54
三一十 四四二三 @31104423

のことだ。私は「ハカタンは身長50メートルやで。それに超人だ!ヌーピーはただの人間だから対決はできん。それに世界が違う」と反対した。するとKは、難しいこと言うな!と怒り出し、殴り合いの喧嘩になった。そして我々は直ちに絶交した。 次のお楽しみ会にKは独自に「ポッくん」というホノボノ漫画

2018-09-01 15:40:58
三一十 四四二三 @31104423

の紙芝居を発表した。しかしそれは明らかに石森章太郎のギャグ漫画をトレースしたものだった。 「パクリじゃパクリじゃ!」 とブーイングを受け、Kは頭を掻きながら退散した。 私は「燃えよヌーピー」の続編の「燃えよヌーピー 必殺鉄ガチ」を披露した。 前作より刺激をアップ。流血量100倍

2018-09-01 15:41:01
三一十 四四二三 @31104423

のマカロニ風カンフー活劇だ。中盤までは受けに受けた。絶交したKまでも手を叩いて喜んだ。しかし頭を鉄ガチ(鉄バットのような武器)で叩き潰すシーンで、担任から「やめい!残酷すぎる!やめんかアホ!」 とクレームが入り、中断となった。 しかし私はKと友情を取り戻すことができて満足だった

2018-09-01 15:41:10
三一十 四四二三 @31104423

(続き)中学にあがると、すぐにKは「東京に行くんや!三一十!わいは日本一の漫画家になったる!」と言い残して転校してしまった。 私は(あんなことを言っているが、あいつにはオリジナリティがないから漫画家にはなれないだろう…)と思った。 それから何年かして 「Kは変態になったらしい」 という噂

2018-09-01 16:02:03
三一十 四四二三 @31104423

が流れてきた。 (変態になったとはどういうことか?痴漢でもしたのだろうか) と少しだけ心配したが、多分、この先もKとは再会することはないだろう…という確信があり、すぐに忘れてしまった。 しかし30年ぶりの同窓会にKの姿があった。 詳しくは書けないがKは本物の変態になっていた。

2018-09-01 16:02:11
三一十 四四二三 @31104423

「三一十ぅ〜。俺、漫画家にならずに変態になっちまったよぉ…。ゲヒヒヒ…」 Kは笑いながら泣いていた。 私も悲しくなって泣きそうになったが(こいつに関わってはならない)という大人の常識が働き、目線を逸らしたのだった。

2018-09-01 16:02:14