フォ・フーム・ザ・ベル・トールズ ＃３
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
（あらすじ：サイバネ手術代が払えなかった女子高生テマリは、荒野の女子高生収容所へと運ばれてしまう。過酷な太陽！セーラー服姿で労働する数百名の女子高生！脱出不能！ニンジャのレーザーで原子分解消滅する脱走女子高生！…テマリが絶望の淵に沈みかけたその時、謎の女子高生が彼女の前に現れた）
2018-09-05 21:46:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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（アタイの名前は、ヤモト。君を助け出しに来た。だから、この女子高生収容所のことを、教えてほしいんだ）
2018-09-05 21:52:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「見張り塔にいるニンジャがレーザーを撃つんです。だから、ここからは絶対に逃げられないんです……」消灯時間近く、テマリは声をひそめ、ヤモトの耳元でその恐るべき秘密を明かした。「レーザーか……」ヤモトは思案した。敵は間違いなく手練れだ。 1
2018-09-05 21:55:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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下手に動けば他の女子高生を戦闘に巻き込んでしまう。可能な限り開けた場所でアンブッシュを仕掛け、ニンジャを一撃で倒さねばなるまい。仕留め損ねて長期戦になれば、敵は闇雲にレーザーを照射するやもしれぬ。たとえ流れ弾でも、レーザーが掠めれば間違いなく女子高生は原子分解して死ぬだろう。 2
2018-09-05 21:58:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「……それに」テマリは、ミラの哀しげな顔を脳裏に思い描きながら、続けた。一時の恐怖と混乱が去ると、今度はミラへの同情の念が湧き上がってきたからだ。「もし私だけ逃げられても、きっと他の女子高生が酷い目に……」そこまで聞くと、ヤモトは彼女を勇気付けるように微笑んだ。 3
2018-09-05 22:02:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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それから数日が経過した。ヤモトはニンジャの力を隠しながら、女子高生たちに紛れ、材木や石材の切り出し、運搬、オリガミ作成などの強制労働に従事し、テマリと寝食を共にした。 5
2018-09-05 22:07:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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女子高生たちが死んだマグロのような目でオリガミを折り、折鶴を重箱の中に並べ、重ねて蓋をしてベルトコンベアに流してゆく虚無的光景は、ヤモトの目に静かな怒りを燃え上がらせた。だが一方で……それらオリガミを集めた大型廃棄箱は、ヤモトにとっての強力な火薬庫ともなりうるのであった。 6
2018-09-05 22:11:20
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決行は七日目の午後と決まった。その日、その時間、テマリとヤモトは大量の廃棄折鶴が入った大型台車を、トーチカ状収容施設の裏口から採石場付近の焼却炉へと運ぶことになる。その時間帯が勝負だ。それまでに２人は、女子高生収容所の監視やシステムについて可能な限り調べ上げ、作戦を練った。 7
2018-09-05 22:14:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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敵はニンジャが１人。他はクローンヤクザ多数。職員は全てクローンヤクザだった。収容所から女子高生全員を安全に脱走させるには、これら全てを排除する必要がある。加えて、ニンジャかクローンヤクザのいずれかに対し攻撃を加えた時点で、敵はそれを察知し、施設内の隔壁が緊急ロックされてしまう。8
2018-09-05 22:19:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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故に、まずは最大の脅威である見張り塔のニンジャを、そして可及的速やかにクローンヤクザを殺さねばならない。それが２人の出した結論であった。そのためには、テマリも危険を冒さねばならない。恐ろしい。だが、ニンジャであるヤモトが側にいることで、テマリは勇気を奮い立たせることができた。 9
2018-09-05 22:22:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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……かくして２人は作戦を練り上げ、運命の七日目が訪れた。「「「「ヨイ、ショ、ヨイ、ショ……」」」」ヤモトとテマリを含む４人の女子高生が、午後の太陽に熱された大型台車を採石場に向かって押し歩く。採石場には三百を超える女子高生たちがまばらに散り、何の意味もない労働に従事していた。 10
2018-09-05 22:26:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「アイエエエエエエエエ！アイエーエエエエエエエ！もう嫌だーッ！」手筈通り、テマリがフリークアウトを装い、大型台車を転倒させ、大量の折鶴をばら撒いて採石場側に向かって走り始めた！「高校に帰りたいよ！アイエーエエエエエエエ！」「「「……」」」他の女子高生たちは黙々と作業を続ける！ 11
2018-09-05 22:30:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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ヤモトは警戒の目を光らせた。すると、ニンジャが現れた。見張り塔の上にニンジャが現れ、脱走してゆくテマリを睨め下ろしたのだ。ニンジャは両手で印を結び始めた。だが……レーザー射出までにはいくらかの予備動作を要する。その隙にヤモトは、ばら撒かれた大量の廃棄折鶴たちに力を与える……！ 12
2018-09-05 22:35:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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灰塵に帰するはずであった折鶴たちが、ヤモトのジツにより、何百ものオリガミ・ミサイルとなって輝き浮かび上がった！「行けーッ！」ヤモトは見張り塔を指差して叫び、オリガミ・ミサイルを一斉射出する！ほぼ同時に、自らはテマリのもとへ向かって全速力で駆けた！荒野に一直線の砂煙が立ち上る！ 13
2018-09-05 22:38:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「何だ……！？」見張り塔のニンジャは、後方から接近する大量の熱反応を察知した。そしてテマリから目を逸らし、振り返り……視界の端から端までを埋め尽くすオリガミ・ミサイルの大群を見た！「何だ……これは……！？」 14
2018-09-05 22:42:05
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「イヤーッ！」全力疾走したヤモトはテマリの位置へと達する！ 少しも速度を落とさず、テマリを後ろから抱きかかえると、そのまま採石場の端に向けて疾駆を続け、可能な限り見張り塔から遠ざかった！「やった……！？」テマリは抱きかかえられたまま、紺碧の空に聳える見張り塔を仰ぎ見た！ 15
2018-09-05 22:45:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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それは一瞬であった。ニンジャの目から発射されたレーザー光線が、ブゥンという微かな音とともに、空を右から左へと薙ぎ払った。刹那。空中に小爆発の華が咲き乱れた。全オリガミ・ミサイルが、撃墜されたのだ。消し炭と紙片がパラパラと荒野に降り注いだ。 16
2018-09-05 22:49:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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見張り塔のニンジャは悠然と振り返り、テマリたちのいる方向を睨め下ろすと、次なるレーザー発射のためのニンジャサインを結び始めた。「アイエエエエ！」テマリは絶望感に打ちひしがれ、叫んだ。一瞬のうちに形勢は逆転してしまった。 17
2018-09-05 22:52:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「シマッタ……！」ヤモトもそれを理解した。このまま見張り塔に背を向けて走れば、自らすすんでレーザーの的になるようなもの。ガガガガガガガ！ヤモトは革靴の踵を荒れ地に食い込ませながら急停止ターンを行う。そしてテマリを地面に下ろすと、見張り塔のニンジャからテマリを守るように立った。 18
2018-09-05 22:56:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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ヤモトの背にはいつの間にか、黒漆塗りの鞘に収められた一振りのカタナが結びつけらえていた。彼女は昨晩のうちに見張りクローンヤクザからそれを盗み、廃棄折鶴台車の中に隠していたのだ。ヤモトが結び紐を解き、未抜刀のカタナを両手に握るのを見て、見張り塔のニンジャは片眉を釣り上げた……。 19
2018-09-05 23:01:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「……貴様、ニンジャだな。ドーモ、エヴァポレイターです」エヴァポレイターと名乗ったニンジャは、一旦ニンジャサインを停止し、見張り塔の高みからヤモトに向かってオジギした。 20
2018-09-05 23:04:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「ドーモ、エヴァポレイター＝サン。ヤモト・コキです」ヤモトは足を軽く前後に開き、僅かに腰を沈めたイアイ臨戦態勢でアイサツを決めた。カタナは未抜刀。左手で鞘、右手で柄を握り、左脇に構え、そこにイアイを集中させる。最もオーソドックスにして強力な逆袈裟斬りイアイドーの準備姿勢である。21
2018-09-05 23:08:09