佐藤正美Tweet_20180816_31

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佐藤正美 @satou_masami

「新聞はその記事の威力によって世界の現象自身を類型化すると同時に、その類型の幻像を天下に撒(ま)き拡げ、あたかも世界中がその類型で充ち満ちているかの如き錯覚を起させ、そうすることによって、更にその類型の伝播をますます助長するんである」(寺田寅彦)。

2018-08-22 10:00:44
佐藤正美 @satou_masami

「歴史家の表現にはオリヂナルなものの這入(はい)り込む余地はない、 とまあ言うような事は一般常識の域を出ない」(小林秀雄、「林房雄の『青年』」)。

2018-08-22 10:01:45
佐藤正美 @satou_masami

「僕は進んで問いたいのだ。一体、人はオリヂナルな投身地を発見する余裕がないのか、それともオリヂナルな投身地なぞというものが人間の実生活にはじめから存在しないのか」(小林秀雄、「林房雄の『青年』」)。

2018-08-22 10:02:36
佐藤正美 @satou_masami

「僕はこの単純な問いから直ちに一見異様な結論が飛び出して来るのにわれながら驚いているのだ。現実の生活にもオリヂナルなものの這入り込む余地はないのだ」(小林秀雄、「林房雄の『青年』」)。

2018-08-22 10:03:10
佐藤正美 @satou_masami

「歴史家の誠実な抽象化にオリヂナルなものの這入り込む余地がないのは、現実生活にそれがなければこそだ。歴史家の眼が、曇っているわけではあるまい」(小林秀雄、「林房雄の『青年』」)。

2018-08-22 10:03:49
佐藤正美 @satou_masami

「要するに三面記者はどこまでも個人の猿知恵を出すことを避けて、あくまで典型的に書かなくてはならない。女は皆「美人」である。恋愛は皆「痴情」である。何事につけても公憤を発してけしからんよばわりをしなくては ならない」(森鷗外、「灰燼」)。

2018-08-22 10:04:35
佐藤正美 @satou_masami

「三面記者は何から何まで裁判をしなくてはならない。どんな遺伝を受けて、どんな境界に身を置いた個人をつかまえて来ても、 それを指を屈するほどの数の型にはめて裁判をする」(森鷗外、「灰燼」)。

2018-08-22 10:05:16
佐藤正美 @satou_masami

私がマスコミを嫌う理由の一つは、その「類型化」を嫌悪しているので。しかも、その「類型的 な」記事が記者の「個性的な」文体で綴られていれば、いっそう鼻持ちがならない。

2018-08-22 10:05:50
佐藤正美 @satou_masami

ただし断っておきますが、私の著作もそういう悪臭を放っているのを認めたうえで、私は言っているのです。

2018-08-22 10:06:26
佐藤正美 @satou_masami

(事業を分析する)モデルの技術を記述するのであれば、モデル技術は当然ながら汎用的技術なので、そういう汎用的技術を個性的な文体で述べるというのは、 オリヂナルを探している事と同じでしょう。だから、私は小林秀雄氏の指摘している事を痛感しています。

2018-08-22 10:07:05
佐藤正美 @satou_masami

自然言語を使う限りでは、「客観的な」文などというものを私は信じていない。「客観的な」文は、図式(形式的言語)の他には存しないで しょう。

2018-08-22 10:08:34
佐藤正美 @satou_masami

私の文体は、(「独断的」と非難されたり「マサミ 節」と称されたりしていますが、) 「類型化」に対する頑としたレジ スタンスです。

2018-08-22 10:09:07
佐藤正美 @satou_masami

技術である限りでは具体的な構造を有しているので、技術を説明する文が如何ほど個性的であっても、技術を変質することは起こりえない。そういう領域での仕事を逆手にして、 「文学青年」的エンジニアが愉しみを感じても不思議ではないでしょ う。

2018-08-22 10:09:52
佐藤正美 @satou_masami

しかし、そういう仕事の中で、私は「際どい綱渡り」をやっているという自覚を持っています──小林秀雄氏の云う「もし君が歴史家と小説 家の戦をはっきり戦えば」という覚悟を濁(にご)している事を私は自 覚しています。

2018-08-22 10:10:31
佐藤正美 @satou_masami

その覚悟を実践すれば、戦いの中で私が与するのは── 私の願望のみを言うのであれば──、私は今の仕事を辞めるしかない。

2018-08-22 10:11:19
佐藤正美 @satou_masami

しかし、私の現実の才識を計量すれば、職業的作家になるほどの技術(文 体)を持っていないし、自信を持って世間の中で使うことのできる技術はモデル技術しかない。

2018-08-22 10:11:48
佐藤正美 @satou_masami

この「際どい綱渡り」は、(科学と文学の)妥協なのか、それとも(科学の進歩に抗う文学に由る科学に対する吟味の)特性なのか、、、いずれ滑落すれば [ 今の仕事のやりかたを私の精神が耐えられなくなれば ] 妥協だろうし、そうでなければ特性なのかもし れない。

2018-08-22 10:12:28
佐藤正美 @satou_masami

しかし、もし特性であったとしても、テクノロジーの進歩を不快に感じるエンジニアというのは 一種 奇怪な風態ですね。

2018-08-22 10:13:01
佐藤正美 @satou_masami

「客観的手法なるものは近代文学の最大の発明である。だが この手法の弱点は、というよりもむしろこの発明が齎(もた ら)した大きな欺瞞は、客観描写の存するところに人生が存するという打勝ち難い錯覚なのだ」(小林秀雄、「林房雄の『青年』」)。

2018-08-28 19:22:08
佐藤正美 @satou_masami

「リアリズム即現実という抜き難い頑固さが流れているのを看取しないか。頑固さはまた文学は現実を模倣するという自然派以来の臆病な思想でもあったのだ。従ってそんなものは現実には決して ないのだよ」(小林秀雄、「林房雄の『青年』」)。

2018-08-28 19:23:12
佐藤正美 @satou_masami

「何故に人々は、作家は架空の世界を自在に創造するもの だ、しなければならなぬものだという自覚を怖れるのか、 作家は現実の再現を企図すべきではない、現実の可能性の上に創造を行うべきだ、という自覚を何故に恐れるか」(小林秀雄、「林房雄の『青年』」)。

2018-08-28 19:23:49
佐藤正美 @satou_masami

「リアリズムとは、あくまで文学的リアリティに徹する道だ、 いや文学的リアリティそのものの深い自覚に他なるまい。 リアリズムを現実に肉迫する武器のように考えていたのでは、 限りなくリアリズムの種類が増えるだけの話だろう」(小林秀雄、「林房雄の『青年』」)。

2018-08-28 19:24:43
佐藤正美 @satou_masami

「自然は芸術を模倣するというワイルドの有名な言葉には、 惟うに当人が自覚していたより遙かに正当な意味があるのだ」(小林秀雄、「林房雄の『青年』」)。

2018-08-28 19:25:25
佐藤正美 @satou_masami

私の仕事は、現実的事態(事業プロセス)を形式化する [ モデルを構成する ] 事です。したがって、小林秀雄氏の指摘している「現実の可能性の上に創造を行うべきだ、という自覚を何故に恐れるか」 という事は そもそも論外です。

2018-08-28 19:25:56
佐藤正美 @satou_masami

われわれは現実的事態をモデル化するが、それは現実のなかで流れている確かなものを静かな「論理」を頼りにたぐり寄せて、なんとかして われわれにわかるものにしたがっているからでしょう。

2018-08-28 19:26:32