魔女集会

魔法使いと拾われた子ども 楓/ア-ニャ、美優/美波、奏・文香・加蓮
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ハイジ @gray_all

土と言っても魂の質に依存しているのでほとんど普通の大きな犬。ただ、もう寿命を迎えた子なので、生きていないまま動いているって感じ。本来居ないはずの子なので美優さんはあの子に名前をつけていない #集会

2018-09-09 02:17:13
ハイジ @gray_all

肩に黒猫を乗せて歩く娘がいる。娘は黒猫に一言二言語りかけて、くつくつと笑っている。黒猫が短く鳴いて、尻尾がゆらりと揺れていた #集会

2018-09-10 02:59:45
ハイジ @gray_all

人間の子供の中にも時折魔法の才能を持つ者がいるけれど、魔法使いの元で教わり、転身して魔法使いにならない限り、多くが才能に気づかないまま生涯を終える。元は人間だったけれど魔法使いに『生まれ変わった』存在が世の中にはいるということ。奏もその中のひとり #集会

2018-09-10 03:01:29
ハイジ @gray_all

奏の師は奏よりもずっと大きな老猫の魔法使い。遥か昔から生きていた老猫で、火土水風全属性の魔法が使え、9つの魂を持つという。極めて優れた魔法の才能を持つ者にしか力を与えない偏屈であり、奏はそれに選ばれた。3つの頃に日暮れと共に攫われて、親の顔を思い出すこともできないまま今に至る #集会

2018-09-10 03:02:40
ハイジ @gray_all

魔法使いになるのは、難しいようで簡単であった。老猫の9つの魂のうちのひとつと奏の魂をぐちゃぐちゃにかき混ぜて一つにし、魔法使いへと転身させた。そうやって水の魔法使いとなった彼女の才能は、目を見張るものだった #集会

2018-09-10 03:04:53
ハイジ @gray_all

5つで水の動きを操れるようになった。8つで蒸発や凝固といった熱変化を行えるようになった。12になる頃には、水粒子を利用して姿を消したり幻を見せたりすることが出来るようになっていた。彼女は天才だったが、友人も家族もいなかった。人間の子供が送る生活に、少しだけ、憧れたこともあった #集会

2018-09-10 03:06:41
ハイジ @gray_all

友人や家族を求めたこともあったが、上手くいかなかった。もう十数年も人間の生き方を忘れてしまっていたので、仕方のないことなのだと諦めがついたとき、文香に出会ってしまった #集会

2018-09-10 03:08:20
ハイジ @gray_all

恋に落ちるのは早かった。彼女に会うことが毎日楽しみだった。彼女と言葉を交わすことは何より心地よかった。彼女のことが好きだった。大切だった。 だから、仕方のないことであったのだ #集会

2018-09-10 03:09:55
ハイジ @gray_all

陽に焦がれた鳥が燃え尽きてしまうように、魔法に惹かれた文香はその強大な力に耐えられず、呪いを受けて倒れてしまう。命の終わりにまで苦痛を与えるその呪いに苦しむ姿を見ていられず、自身の持てる全ての魔力を使って、奏は呪いを解こうとした。それこそ、彼女のすべての力を使って #集会

2018-09-10 03:11:25
ハイジ @gray_all

魔法使いの魂は、老猫のものと奏のものとが混ざり合ってつくられていたが、奏は自分の力をすべて使いきってしまった。残ったのは猫の魂のみ、魔法使いでもなんでもない、ただの一匹の黒猫の姿のみだった。それでも、気を失った愛する人の吐息が穏やかなものに変わったのだ。それでよかったのだ #集会

2018-09-10 03:12:50
ハイジ @gray_all

魔法の才を持たない者に用は無いと、師には縁を切られてしまった。文香を除いた人間のことばは、全く分からなくなってしまった。それでも、貴方が無事なら、それでよかったのだ。きっと元に戻れる方法を見つけてみせますなんて、泣かないでほしかった。はにかむ笑顔が見たかっただけなのに #集会

2018-09-10 03:15:10
ハイジ @gray_all

肩の上から『重いでしょう。降りるわ』と声をかけると、少し困った顔で微笑んで、「このままでいてほしいのです」と声がする。そうして頰をすり寄せる。 貴方は知らないだろうけど。この姿になって役得なことあるのよ、それなりに。そう言ったらきっと複雑な顔をして、黙り込んでしまうのね #集会

2018-09-10 03:17:10
ハイジ @gray_all

加蓮は水の魔法使い。師はうんと長く生きた大きな老猫。そう、9つの魂を持つあの老猫であり、奏の妹弟子である。彼女も人間から転身して魔法使いになった身。人間だった頃はからだをこわしており、呼吸もふつうに行えないような瀕死のこどもだった #集会

2019-08-26 00:42:34
ハイジ @gray_all

そもそもは加蓮、裕福な家の出であり生活も豊かなものだった。それがある日、賊に家を焼かれ家族をころされ、自身は奴隷に売り飛ばされてしまった。一転して過酷な労働に幼いからだは耐えられず、肺を壊し、心臓を壊し、手足もうまく動かせず、心も壊して、泥の中で気を失いかけていた #集会

2019-08-26 00:49:41
ハイジ @gray_all

そんな加蓮を拾ったのが奏。奏は何も望まなかったこどもだったが、その日も何が欲しいと師に問われた。ひとつ間を置いた奏は、ただほんの気の迷いで、「家族」と答えてしまった。師は瀕死の加蓮に無理矢理魂を埋め込み、勝手に魔法使いにしてしまった。その日から加蓮は、奏の妹となった #集会

2019-08-26 00:57:56
ハイジ @gray_all

加蓮は魔法の才はあったし優秀ではあったが、天才ではなかった。どれだけ努力を重ねても奏に追いつくことが出来ないし、師からの視線はいつも冷たかった。魔法使いになり確かに身体は楽になったが、助けてくれと願ったわけではなかった。もう良かったのだ。砕けた心までは、元には戻れなかった #集会

2019-08-26 01:04:19
ハイジ @gray_all

日に日に、何故私を助けたのか、どうして私を選んだのか、と荒んでいったが、そんなことはおくびにも出さなかった。仲良しとは程遠いものの、奏と言葉を交わし合うこともした。奏は全て気づいていたが、何も言わないことを選び、加蓮の表情を眺めていた。魔法使いとしての生き方が長すぎたのだ #集会

2019-08-26 01:11:38
ハイジ @gray_all

言いたいことが山程あったのだ。不満も文句も、全部ぶつけても足りないくらいあった。勝手に私の人生を変えるなだとか、アンタの事が気に入らなかっただとか。それでも、アンタの魔法は綺麗だっただとか。抱えきれない程の言葉を一体どこにぶちまけたらいいのと、目の前の黒猫を見て思うのである #集会

2019-08-26 01:17:39
ハイジ @gray_all

奏。アンタ、ホントに猫になっちゃったの。もう、何言ってるか分かんないじゃん。なんて、黒い尻尾をひっ摑めば、金目を細めて不機嫌そうに喉を鳴らすので、怖い怖いと笑いながら手を離す。黒猫は掴まれた尾を舐めて毛並みを整え戻している。そんな様子を見ながら「ねぇ」と声をかける加蓮 #集会

2019-08-26 01:24:17
ハイジ @gray_all

「本当に、言葉が分からないの?」毛繕いを続ける黒猫に言葉をかける。「私の言葉が分からなくなってもいいくらい、あの子のことが好きだったの?」気が済んだのか、黒猫はぴたりと動きを止めて首をあげる。そんな魔法使いの表情を知っているのは、黒猫だけである #集会

2019-08-26 01:29:44