ドラゴン・インストラクション #4
「だが、祝福者たるサツガイが再び現れる事はない。それを求める者……サンズ・オブ・ケオスなどというIRC-SNSも存在したようだな。ンッンッンッ……サツガイが俺のもとに現れたのは最近のことだ。その時には、奴はもはや祝福者ではなかった。俺は……そうだな……多少落胆したかもしれん」 22
2018-09-21 22:54:37「今しばらくの辛抱にて」カシマールが厳かに言った。シンウインターは頷いた。「お前がそう言うなら、そうなのだろうな。お前が俺のもとへ奴を連れてきたのだから」「もはや待ったなしでございます」「その……サツガイとやらが……このゾーイを求めている、ゆえに与える、と?」「惜しいがな」23
2018-09-21 22:59:05「しかし、この娘の力を用いねば、エメツの……」「ンッンッンッ、オマークの稼動は忙しくなろうな。面倒な事だが、最も優先すべきは、家族だ」シンウインターは虚無的な目でザルニーツァを見つめた。「サツガイはサツガイなりの理由をもち、そのガキを求める。ならば応じる。絶好のネゴシエートだ」24
2018-09-21 23:03:20「しかし……!」ザルニーツァは躊躇した。脳裏に黒いトリイの光景がフラッシュバックした。ゾーイを待ち受ける運命に一片の希望も無いであろう事はいやでもわかった。「ザルニーツァ。愛しい我が娘よ」シンウインターが肩に置いた手に力を込めた。「家族は大事だ。俺は家族の為に全力を尽くす」 25
2018-09-21 23:08:07「……お父様」ザルニーツァはシンウインターの空虚な目を、真っすぐに見返した。カシマールが彼女の強力なアトモスフィアを敏感に感じ取り、強い日光を避ける地虫めいて後ずさった。彼女は訝しむ父に向かって言った。「貴方は並ぶものなきカラテと暴力でシトカを支配してきました。貴方自身の力で」26
2018-09-21 23:13:34「なにか意見があるか」シンウインターは問うた。ザルニーツァは言った。「貴方の望みはカラテでは得られないものですか?その妖術師の示すがまま、この娘を犠牲にしなければ、手にできぬものなのですか?」「そうだ」シンウインターは答えた。「俺はシトカの父だ。家長には責任がある」 27
2018-09-21 23:19:36シンウインターの目は表情を動かさない。「冷徹なる父の存在と暗黒のカラテがなくば、家族は守れぬ。今お前がそれをわかる必要はない。子は親に従えば、それでよい」「……!」ザルニーツァは呻いた。足元の重力が失せたような錯覚が襲ってきた。目の前に、恐るべきニンジャが立っている。 28
2018-09-21 23:23:38ザルニーツァは奥歯を強く噛みしめた。挫けかけた己を強いて、カラテを引き出そうとした。イサライト・アーマーが応えた。ザルニーツァはシンウインターの手を跳ねのけた!「イヤーッ!」「ウヌッ」シンウインターは意外そうにした。微かに怯んだ隙に、ザルニーツァは再びゾーイの手を取ろうとした。29
2018-09-21 23:25:53シンウインターは右腕を掲げた。丸太めいた力強い腕を、超自然のオーロラの輝きが這った!「イヤーッ!」ザルニーツァは拒絶する!ポン・パンチを繰り出す!「イヤーッ!」シンウインターはオーロラを纏った腕を振り下ろした! 30
2018-09-21 23:28:05