たるさんの北方謙三風にが好きすぎて勝手に作っちゃいましたペロッ

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たる紡 @talbosecond71

@atsucurry 雲が、無くなっていた。 台風一過した空は、どこまでも群青だった。 すっかり乾いたアスファルトを、歩いて進んだ。足取りは、軽かった。 目的の場所に着いた。上を見る。美女木ジャンクションが、広がっていた。 コンクリートの蛇は、空を切り取るように、伸びていた。

2018-09-20 21:54:32
たる紡 @talbosecond71

@pon0404 一炊の夢。よく言ったものだと思った。 微睡みから引きづり出したのは、ケトルの音だった。 とても、長い夢を見ていた。そんな気がしていた。実際は、ほんの数分だったのだろう。 コンロを止めた。部屋は、静寂だった。 コーヒーを淹れると、机に向かった。今の夢は忘れたくない。

2018-09-20 22:07:22
たる紡 @talbosecond71

@garterbeltman 銃口と、銃口が、相対していた。 摩天楼の屋上。眠らない街の光は、そこまで届かなかった。隔たれた闇の中、2人の女が向かい合っていた。 青いカクテルドレスの女は、口を真一文字に結んでいた。 一方、黒いマーメイドドレスの女は、微笑を浮かべていた。 「様になるじゃない」黒い女は

2018-09-20 22:17:12
たる紡 @talbosecond71

@_i_t_a_ 頭痛。後頭部から、鳴り響いていた。 どうやら、この場所に倒れ込んでいたようだ。 雨が、津々と降り注いでいた。全身が濡れている上に、泥まみれだった。 逃げろ、"楽しい場所"へ。 記憶が命令した。女は、すぐに立ち上がり、全力で逃げた。 「どこに?」 女は呟いた。何も、思い出せなかっ

2018-09-20 22:57:18
たる紡 @talbosecond71

@shaleed 50人程のフロアは、一人一人の息が聞こえるほど、静まり返っていた。 ステージ上。男と男が対峙していた。 「後攻だ」 坊主の男は、短く言うと、マイクを投げた。長髪の男の掌に当たった。その音がフロアに響く。視線は尚も交わっていた。 殺す。長髪の男は、心の中で言った。比喩では無い。

2018-09-21 20:05:41
たる紡 @talbosecond71

@nishizonokitune 美丈夫にしてくれ。 坊主の男は、確かにそう言った。 進撃は、頭を見た。髪は、ほとんど無かった。 果たして、斬れるのか。進撃は上段に構えた。固着。そのまま一刻(約30分)ほど経った。 手に、額に、汗が滲んでいた。蜃気楼。この頭はきっと蜃気楼だ。 斬れるのか。蜃気楼を。鋏は

2018-09-21 20:13:54
たる紡 @talbosecond71

@esrohelkraps 夜の堺港は、静寂に包まれていた。硝煙の匂いが、立ち込めていた。 新月であった。夜の闇は、一面に転がる死体を照らさなかった。 2人の男。それだけがその場に立っていた。 「何人いた?」 「7人。分かるはずだ」 長髪の男は抑揚なく言った。 クライスト。男はその名で通っていた。

2018-09-22 10:52:33
たる紡 @talbosecond71

@sakurandori 長江が、広がっていた。 絶えることないその流れは、平穏そのものであった。 斥候から、曹操軍が近づいてると知らされたのは、昨日のことであった。 崖の上から、男が戦場となるであろう地を、眺めていた。 林甫。字は桜乱と言った。 孫策軍の将軍であるこの男は、舟を浮かべた。その頭の

2018-09-22 11:06:34
たる紡 @talbosecond71

@otsurourevue 映画館の座席は、まばらだった。 スクリーンには、退屈なラブロマンスが流れていた。 映画を観ることは、好きだった。 非日常に没入している間は、男も、女も平等だから。 そして、傑作だろうと駄作だろうと、必ず終わりが来る。 発砲音。出口から鳴った。スクリーンでは、陳腐な愛のや

2018-09-24 13:52:05
たる紡 @talbosecond71

@eriot006 女に生まれて良かったと、今は思っている。 パーティ会場は、騒然としていた。 村田議員は、喀血したきり、動かなくなった。 声をかける者がいた。蘇生を試みる者がいた。内心ほくそ笑む者もいたかもしれない。 簡単すぎる。近づく事も、遠ざかる事も。 計画通りに事は運んだ。迎えにも、あ

2018-09-24 14:01:05
たる紡 @talbosecond71

@kuronekowasabi かんざしは、暴漢の額に突き立った。 咄嗟に、体が動いていた。そうしなければ、夫は間違いなく斬られていた。 「おさと、お前…」 夫は唖然とした顔で見ていた。 鮮やかすぎた。凡そ、商家の娘とは思えない、動きであった。 暫く、見つめあっていた。冷汗。おさとの額を伝った。

2018-09-26 19:38:25
たる紡 @talbosecond71

@itou_maki 商売も生き物だ。 先代の言葉を、ふと思い出した。 また、物流を止められた。今度はドイツのルートだった。 「わかった。先方へ連絡しておいて」 糸巻は受話器を置くと、舌打ちをした。誰もいない事務所に響いた。 今月に入って2度目であった。こちらに非がないとは言え、続くと信用問題に

2018-09-26 19:49:04
たる紡 @talbosecond71

@ya4242564 喪った右腕が痛んだ。 目を覚ました。全身に汗が滲んでいた。窓の外は、未だ暗闇であった。 義手を装着した。こうすると、不思議なことに、痛みが和らいだ。 肩に力を込める。拳が、握る形になった。 闘えるのか。自問した。闘えない。確信に近いものがあった。腕の有無ではない。心が闘え

2018-09-26 19:59:24
たる紡 @talbosecond71

@tomsockbone アンティークランプが、店内を照らしていた。 豚骨堂の棚には、10体の西洋人形が、整然と並べられていた。 太田は、その店の奥に居た。その佇まいは、近衛兵のようであった。 店長は、さらにその奥で11体目を製作していた。 楽な仕事であった。客は、ほとんど来なかった。

2018-09-29 13:43:30
たる紡 @talbosecond71

@eiya_nagano 風と雪が、頰を激しく叩いていた。 街中が騒ついていた。何十年振りの降雪らしい。廃ビルの4階にも、喧騒が届いていた。 スコープ越しに見る街は、平時と変わりがなかった。ただ、雪が散らついた。それは、仕事には影響しない。 「仕事」を開始して、2時間が経った。風雪は、より勢いを増

2018-09-29 13:57:29
たる紡 @talbosecond71

@hachi_maru_78 階段は、果てなく伸びていた。終わりは、見えなかった。 まず、誓約書を7枚書かされた。口外しないよう、何度も確認された。 警視庁の地下。鉢屋はそこに連れていかれた。 5分。おそらく、それくらい歩いた。ようやく、終わりが見えた。 厚い鋼鉄の扉。捜査8係と刻まれていた。通称ハチ

2018-09-29 14:30:02
たる紡 @talbosecond71

@1000jyukannon 白刃が、闇の中で閃いていた。 牛フィレ。俎板の上で横たわっていた。 もう何万回と斬った肉であった。然し、正解には辿り着いていない。そんな気がしていた。 上段から、一気に振り下ろした。 牛フィレが斬れた。俎板ごと、斬れた。何かが、斬れなかった。 辿り着けなかった。その思い

2018-09-29 18:44:08
たる紡 @talbosecond71

@3MwHDHd73Dv8ooo 音楽が、街中に溢れていた。 時計は22時を示していた。それにも関わらず、賑やかな音が、鳴り止むことは無かった。 ギターが鳴っていた。ピアノも鳴っていた。ドラム、サックス、トランペット、それぞれが思い思いに弾いていた。 この街が失くなる。誰もが、その現実に背いている様だ

2018-09-29 20:45:45
たる紡 @talbosecond71

@yyookkuu 筆は止まったままだった。 3日目。天啓は降りてこない。 締め切りだけが、刻々と迫っていた。 退却。頭によぎった。しかし、すぐに振り払った。根本的な解決にはならない。 時計の音だけが、部屋に響いていた。死神は少しづつ、近づいていた。 とりあえず、外出することにした。それが間違い

2018-09-29 20:56:51
たる紡 @talbosecond71

@just_likehoney_ 新宿の片隅に、その店はあった。 マボガニーのドアを開けると、仄かに煙草の匂いがした。 こちらに気づいたマスターが会釈する。 BAR「ニューロマン」。 マスターは女だが、高木は気にしたことも無かった。 美味いジンライム、時間が停止したような空気、少しの話し相手。それだけで

2018-09-29 21:04:51
たる紡 @talbosecond71

@kyouinoheya8 呼び鈴が鳴った。 小野寺は時計を見た。2時少し前を指していた。 深夜。嵐が窓を叩いていた。しかも、市街から車で30分はかかる山奥であった。 煙草を灰皿に押し付け、ノートパソコンの画面を閉じた。そして壁に掛けてある猟銃を手にする。 錠を静かに外す。 杉山が、そこに立っていた。

2018-09-30 09:03:54
たる紡 @talbosecond71

@oogirisyokubutu 扉を開けた瞬間、すえた臭いが鼻をついた。 部屋は玄関から血まみれであった。 女の死体。部屋の奥に居た。 凄惨であった。肛門から口にかけて、女の体を、植物が貫いていた。 被害者はこれで3人目であった。 観葉植物大好き子。ホシはそう呼ばれていた。馬鹿げた名前だ。しかし、こ

2018-09-30 09:12:25
たる紡 @talbosecond71

@McomebackMuller 何時からか、哀しみばかり集めるようになっていた。 喜びは、消える。怒りも、消える。哀しみだけが、ずっと寄り添ってくれた。 写真を見た。男と女が写っていた。笑顔は、3年間ずっと変わらなかった。 涙が、止まらなかった。 歳月は、哀しみを連れて行ってはくれなかった。 銃を手

2018-09-30 09:20:43