「………………」
「これ……ほんとに貰っていいの?」
「私の声に反応して、いろんな色に変わる…………」
「あっ………ごめんなさい」
「いいよ……私より君の方がうまく使えるようだ」
「見えない事で、「視える」ものが
増えたように感じるよ」
「見てごらん
この街の街灯のほとんどには、
組鐘(カリオン)がある団体によって
設置されているんだ」
オトネは水晶球をポケットにしまい
レヴィンに顔を向けた。
「…………!」
「ほんとだ なんで?」
「さあな………理由は今となってはわからないな………」
「ただ………その僅かな鐘のゆらぎが、私に距離感を与えてくれる」
「おかげで君と散歩も楽しめる」
オトネは顔が紅くなるのを意識したが、幸いにも今のレヴィンには伝わらない事に、不謹慎ながらもほっとした。
「そうだ…………街頭をみててごらん」
パチン
レヴィンが指を鳴らすと、
街灯がささやかに波打つように点灯し、
しばらくすると静かに消えた。
「みえたかい」
「この街の街灯は、一定の音に反応して
光を放つ仕掛けになってるんだ」
「すごいきれい」
オトネはフッと頭に浮かんだ
メロディーを口ずさんでみた。
街灯は、強いきらめきを奏で、
オトネに応えた。
「!」
オトネは、嬉しくてレヴィンを見つめた。
「どうかしたか?」
目の見えていないレヴィンは、
美しい街灯のきらめきに気がつかない。