【FGO】SSまとめ（カドぐだ♀）

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

【カドぐだ♀／二部のあと】 「どうして僕達の代わりに死ななかった？」 　……今、自分で思い返しても、呆れるくらいの八つ当たりだ。それに関しては反省する。大人気なかった。 　ただ、僕はその時、それについて省みる余裕を持てなかったのもまた事実だ。

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あいつは、本当に不思議そうな顔をしたのである。「どうしてそうならなかったのだろう」と本気で疑問に思った顔をしたのである。 　僕は前述の発言をした時、きっと反感を買うのだと思っていたし、何なら手酷く言い返される事だって覚悟はしていた。

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けれどあいつは、言い返しもしなければ、僕に反感を持つ事もしなかった。むしろ僕の八つ当たり染みた言葉に共感さえ見出したのだ。 　けれど不思議な事に、それは人理修復が辛かったとか、自分よりもっと優秀な人間は居た筈なのにどうして自分は、とか、そう言う苦や逃避の表情ではなかった。

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――そうであれば、君達も救えたのに。 　――そうであれば、君達を助けられたのに。 　あの表情は、言外に「そうすれば救えた人数がひとり増えたのに」と、そう告げていた。 　正直、背筋が凍った。そして遅ればせながら、この戦いがどう言うものかを、嫌と言う程痛感したのだ。

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死ぬ事はそりゃ怖いさ。人並みに、まっとうに。魔術師だって全部が真人間から外れている訳じゃない。痛いとか、冷たいとか、辛いとか、そんな感覚だってある。 だから、それらを感じる暇もなく吹き飛ばしてくれたのは、ある意味僥倖だったのかも知れない。その点で言えば、幸福な死に方だったろう。

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けど、僕にはやらなきゃいけない事があった。世界を救うと言う使命があった。僕でなくても出来た事かも知れないが、間違いなく僕は、その為のチームに選ばれたのだ。 それが出来なくなるのだから、これ程悔しい事はない。ああ、結局僕は何も成せずに終わるのか、と。

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――話を、聞いた。 僕らが呑気に死んでいる間に、とっくに世界は救われていた。しかもそれを成し遂げたのは、所長に大目玉を食らって補欠送りになった48番なのだと言う。 その時、僕の心に湧いた感情を表すとすれば、嫉妬、羨望、殺意か。もっと別の言葉が複雑に絡み合ったものかも知れないけれど。

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そんなやつでも世界を救えるのに、僕は、結局何も出来ないのだろうか。 ……否。そんな事はない筈だ。きっと僕にだって何かは出来る筈で、だからこそAチームに選ばれたのだから。 ――そうでなければ、全てに意味がなくなってしまうから。 やらなければ。僕にも何か出来る筈だと、証明しなくては――。

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Aチームに選ばれたと言う成功体験にめちゃくちゃ足を引っ張られてるカドックが愛おしいと言う話です。僕なんかが選ばれたのだからきっとそこには意味がある筈だ、と言う、裏を返すとめちゃくちゃ自己評価が低い主張。

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（あいつは絶対に僕を恨まないので、せめて僕はあいつを恨んでやろう） （それが正しいのかはまだ解らないけど、あいつにとっては、それが良いのだと思うから）

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○○しないと出られない部屋（仮にキスとする）にカドぐだが入れられたとしてもぐだは嫌がらないし葛藤しないしすんなり自分の身を明け渡してくれるのですぐに出られるしカドックはそこで頭を抱えているよ。

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カド「お前……ホント……いい加減にしろよ……」 ぐだ「何が？　出られてよかったねー」

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

これぐらいの温度差がある。気にしない、後腐れない、揉めない。

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

ただ、目の前で傷ついた誰かを、助けたいと思っただけなのだ。 ただ、目の前で誰かが傷つくのを、見たくなかっただけなのだ。 たったそれだけの事を善と呼ぶには憚られた。結局は自分のエゴで誰かを困らせているだけなのだから。耐え難くて、抗おうとして、けれどそれが良い結果に繋がるとは限らない。

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

わたしは助けたかったのだ。例えカルデアで暴虐の限りを尽くしたあの皇女のマスターだったとしても。世界を滅ぼした7人の反逆者のうちのひとりだったとしても。……例え、彼がわたしを嫌っていても。 内側から湧き出るのは恨み辛みではなくて、ただ目の前で虐げられんとする者への慈愛だった。

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―――――――――― ふざけた理論を聞いた気がする。 ……が、どうやら幻聴だった様だ。唯一まっとうに機能していると思っていた頭も、とうとう焼きが回ったのだろうか。だとすれば、考える事しか能のない僕にとっては非常に深刻な問題だ。いよいよ以て出来る事が何もなくなってしまった。

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

しかし、よりにもよってあいつの幻聴を聞くとは、我ながらその未練たらしさには呆れるほかない。 負けた。完敗だった。あれだけ手を回して、あれだけ綿密に追い詰めて、それでもあいつは乗り切った。それはつまり、僕が考え得る策ではあいつに勝てないと証明されてしまった様なものだ。

さかきじゅな@SS用 @JunaSakaki_SS

更にこちらはアナスタシアも失って、みっともなく泣いたりもした。……いや、泣いたのは向こうもだからこれは引き分けか。何の引き分けだ。 まあ、負けたのは言うまでもなく事実だ。所詮、僕程度が出来る事では、人理を救った英雄サマはどうにもならなかったと言う訳である。あー、悔しい。