1783年8月5日に浅間山から発生して吾妻川を下った鎌原熱泥流の挙動

柳井沼、三原の堰止め湖、吾妻渓谷の堰上げ、火砕成溶岩。二つは実在、二つはまぼろし。
1
早川由紀夫 @HayakawaYukio

浅間山の北側山腹に柳井沼を発見した井上公夫さんが、柳井沼が描かれた絵図をネットに置いていることに気づいた。井上さんに見せられて驚いた記憶がある。四半世紀も前のことだ。 isabou.net/knowhow/colum-… pic.twitter.com/D97d4vY8qi

2018-11-19 13:39:47
拡大
早川由紀夫 @HayakawaYukio

@yambatomorrow 鎌原土石なだれが万座鹿沢口駅の裏から吾妻川に落ちたあと、吾妻川をせき止めて水が溜まって、やがて決壊したモデルを取る人は、地元ではまだ多数派ですか?どなたが積極的に主張してますか?

2018-11-19 14:08:43
早川由紀夫 @HayakawaYukio

@yambatomorrow 吾妻渓谷の狭窄部に流れがつまって堰上げという現象が起こったことは井上公夫さんが詳しく図解しています。さっき聞いたのは、吾妻川を流れ下るには水分が必要で、そのためには川の水が十分に集まるだけの時間が必要だったと考える説です。いっぽう私は、流れ下るにあたって水は必要ないの立場です。

2018-11-19 14:39:56
八ッ場あしたの会 @yambatomorrow

@HayakawaYukio そのような説は寡聞にして聞いたことがありません。地元の方にも聞いてみます。

2018-11-19 14:59:04

堰上げとは:
河川にダムをつくると、水位の上昇が上流に及ぶ。これを堰上げ背水と呼ぶ。鎌原熱泥流の場合は、押し寄せた流量をスムーズに流すには吾妻渓谷が狭すぎた。黒岩や樹木が狭窄部に引っかかって一時的なダムもできただろう。こうして水位上昇が上流に及んだ。高速道路で起こる渋滞と同じ現象である。渋滞の中では交通事故が起こりやすい。交通事故が起こると渋滞はさらに悪化する。
 川原畑の東宮遺跡で堰上げ背水があった証拠が発掘されている。埋まっていた家屋はわずかに移動していて、それは熱泥流が南東から(すなわち下流から)押し寄せたことを示していた。

早川由紀夫 @HayakawaYukio

流速19.5m/s、流量16万m3/sにも達しました。1/5000地形図をもとに、湛水量を求めると5050万m3となりました。狭窄部直下のNo.10()での流量は4.2万m3/sとなっていますので、11.8万m3/sが上流部に溜まっていき、満水となるのに9分(515秒)かかった isabou.net/knowhow/colum-… もっともらしい。

2018-11-19 16:34:08
早川由紀夫 @HayakawaYukio

ちなみに、八ッ場ダムの総貯水容量は1億m3だという。 ktr.mlit.go.jp/yanba/yanba_in…

2018-11-19 16:37:08
早川由紀夫 @HayakawaYukio

鎌原熱泥流が1億トンだったとする。そのうち3%が黒岩だったとみると300万トンだ。鬼押出し溶岩は3億トンだから、その1%が黒岩になったことになる。

2018-11-19 16:41:20
早川由紀夫 @HayakawaYukio

『天明浅間山焼見聞覚書』(Ⅱ,p.157)の「一ノ浪二番ノ浪三番ノ浪三度押出シ通り候なり」は、吾妻渓谷の下の話だったのか。堰上げでできた天然ダムが、何度かに分けて決壊した。 isabou.net/knowhow/colum-…

2018-11-19 20:16:36
早川由紀夫 @HayakawaYukio

「川原湯は河よりも余ほどへだゝり両岸にてのぞき見るほど深き処なりしが,大木にて川をせき留め泥押あげしとなり.」『浅間燒見聞実記』 横田重秀 IIIp.293 を引用して、「川原湯付近で堰上げが起こったらしい」と田村・早川(1995)が書いている。田村さん、慧眼。 hayakawayukio.jp/volcanoes/asam…

2018-11-19 20:19:20

話題は鬼押出し溶岩の形成過程にも及ぶ

早川由紀夫 @HayakawaYukio

鎌原村が土石なだれに埋まった後に鬼押出し溶岩が流れ出したと考える人は、もういないのね。安井真也さんも、井上素子さんも、鬼押出し溶岩は火砕成だと考えるのだそうだから8月5日未明までのプリニー式軽石噴火の最中に流れたと考えていることになる。

2018-11-20 07:44:07
早川由紀夫 @HayakawaYukio

浅間山1783年噴火の最近研究レビュー(2010年11月) pringles.blog23.fc2.com/blog-entry-318…

2018-11-20 07:47:01
早川由紀夫 @HayakawaYukio

鬼押出し溶岩は火砕成だと考える安井真也さんと井上素子さんの解釈は簡単に否定できる。それは、鬼押出し溶岩が北側だけにしか分布してないからだ。前掛山の高まりに遮られた東と西はともかく、北と同じように低い南側に溶岩が流れ下らなかったことが説明できない。

2018-11-20 07:57:20
早川由紀夫 @HayakawaYukio

釜山スコリア丘の南斜面は熱変形してはらみだしている。これこそが、火砕成溶岩のなりかけだ。 釜山の形成位置と南斜面の熱変形(2006年10月) pringles.blog23.fc2.com/blog-entry-152… pic.twitter.com/K7Po4WNlQc

2018-11-20 08:00:00
拡大
早川由紀夫 @HayakawaYukio

安井真也さんの共同研究者である高橋正樹さんによると、キラウエア火山のプウオオ溶岩も火砕成だという。今年5月からのLERZ噴火で出た大量の溶岩もそうだというのだろう。彼らの言う火砕成は、火口からマグマのしぶきを噴き出しながら流れ出した溶岩のことを言うようだ。

2018-11-20 08:46:21
早川由紀夫 @HayakawaYukio

溶岩をつくる部分すべてが空中をいったん飛行したことがあると主張しているわけではないようだ。この用法に従うと、スコリア丘から流れ出しているすべての溶岩が火砕成だということなる。伊豆の大室山しかり、阿蘇の米塚しかり。とうてい受け入れられない。

2018-11-20 08:50:03
早川由紀夫 @HayakawaYukio

浅間山の鬼押出しは、山頂火口からマグマの破片を軽石として噴き出して釜山スコリア丘を成長させながら、その裾野を破って流れ出した典型的な安山岩溶岩である。その流出は、1783年8月2日午後から4日深夜まで50時間かけて行われた。

2018-11-20 08:53:21