アルター・オブ・マッポーカリプス #4

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヴァニティは振り返らぬ。その者は竹林から顔を出し、喚きたてた。「ニンジャよ!貴公は選ばれたのだ。それがわかるか!私もそうだ。だからザゼンしている……君もザゼンしなさい。精神を保つのだ!ザゼンし、チャントするのだ!そうすればアバババッ、防げるぞアバッ!アハハハハ!」 24

2018-12-10 22:38:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

やがてニンジャは狂ったように笑い出した。「すごい!すごいよォ!サツガイ!サツガイ!これなんだよォ!ダメだ!ギャーテー……ギャーテー……素晴らしい……」声が遠ざかり、聞こえなくなった頃、ヴァニティは目当ての場所に辿り着いた。地下鉄めいた階段を降りてゆくと、「外して保持」。 25

2018-12-10 22:40:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

無雑作に通り抜けると、大蛇めいたパイプ群が出迎える。そして……モータードクロ!「ニンジャソウル検知エラー。エラーエラーエラー。ゼンメツ・アクション……」「イヤーッ!」ヴァニティはシガーカッターを抱えたまま斜めに跳躍!心臓部にチョップ突きをこじ入れ、致命パーツを引きずり出した! 26

2018-12-10 22:44:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ピガガガ……」バシュッ。モータードクロは圧縮空気を吐き、死んだ蜘蛛じみて身を縮め、動かなくなった。モータードクロの周囲には、誤作動の犠牲になったとおぼしき武装サラリマンの死体が幾つかあった。ヴァニティは蹴ってどかし、奥にあるものを見出す。小型のウキハシ・ポータルだ。 27

2018-12-10 22:46:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どこのだ」「元は、カタナ」ヴァニティは答えた。「シンウインターが封鎖させて以来、用済みになっているところのひとつ」彼女はポータルの傍らのUNIXを起動し、キーコードを片手タイプで打ち込んでゆく。ガーランドがエッジカムで盗み取った過冬側の認証コードだ。 28

2018-12-10 22:48:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「使えるのか」「恐らくは。……電力が来ている。例のオーロラも無い。それなら……」ストココココ……ストココココピロペペー。キャバアーン!ウキハシ・ポータルがUNIXライトを脈打たせ、恐ろしい空間の歪み感覚が生じた。ヴァニティは、ひと呼吸……舌打ちし、シガーカッターを降ろして座らせる。29

2018-12-10 22:53:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カラテを構える彼女が見渡すと、死体武装サラリマンがビクビクと痙攣したのち、その身を起こし、影を滴らせ始めた。「ナァグ……ナァグ」「ご苦労様」ヴァニティは呟いた。「ナァグ……ナァグ……ナァグ……!」「イヤーッ!」「アバーッ!」弾丸めいて接近、顔面を拳で破壊! 30

2018-12-10 22:55:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「アバーッ!」回し蹴りが後方から襲い来た者の上半身を吹き飛ばす!分断された二つの身体それぞれを補うように影が滴り、受け身を取り、再び襲いかかる!さらには……「ナァグ……ナァグ……」モータードクロが不明瞭な音声を発し、影を垂らしながら再起動したのである! 31

2018-12-10 22:57:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガコン!ゼンメツ・アクション・モード起動!ミニガンが迫り出し、回転を始めた。ヴァニティは状況判断した。避ければ後方のウキハシ・ポータルが破壊され、シガーカッターも無事では済むまい。彼女は覚悟を決め、クロス腕ガード姿勢をとった。BRRRRRRRRRTTTTT!浴びせられるガトリング弾! 32

2018-12-10 22:58:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

防御姿勢を取りながら、彼女は顔をしかめた。これほどの屈辱はそうはない。己のニンジャ敏捷性を発揮し、単に避ければ済む致命的銃弾の嵐に付き合わなければならないとは。彼女にムテキ・アティチュード防御術はない。銃弾が彼女のガードを削り、肉を削ぎ、血飛沫を上げさせる!BRRRRRTTTT! 33

2018-12-10 23:01:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BRRRRRRRTTTTTT……「イヤーッ!」ずたずたに傷ついた腕でなお己の頭部を守りながら、ヴァニティは真っすぐに跳んだ。BRRRRTTTTT……「イヤーッ!」ミニガンの砲身を横から掴み、瞬間的なカジバチカラで、へし曲げる!「イイイイイイイヤアアアーッ!」KBAM!KBAM!暴発の爆発! 34

2018-12-10 23:03:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」KRAAASH!モータードクロの裂けたボディに再びカラテをくわえ、さらには飛び回し蹴りで頭部を破壊し、着地し損ねた彼女は床に仰向けに落下した!「ピガッ、ピガガガガ!」モータードクロが後ずさり、さらに爆発!KABOOM!完全破壊!ヴァニティは照り返しを受けながら歯を食いしばる!35

2018-12-10 23:06:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼女は顔を動かし、うずくまるシガーカッターを見た。そしてポータルを。今や彼女もシガーカッターとさほど変わらぬ重体か。なんとバカバカしい事か。めったに強い感情を抱かぬヴァニティであったが、今この時はニンジャでもない相手にこれほどの傷を負う羽目になった事態を心の底から呪った。 36

2018-12-10 23:08:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ナァグ……ナァグ……」そして今、二人の瀕死のニンジャのもとへ、温かい影の塊が再び這いよって来ようとしていた。セプクする事もできぬ……シガーカッターの言葉がニューロンをよぎった。ヴァニティはしかし彼ほど潔くはない。彼女はニンジャアドレナリンが血中を暴れるに任せ、打開策を探す。 37

2018-12-10 23:10:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ナァグ……ナァグ……」ポータルの脈動が強まった。もがいていたヴァニティはそれを見てなんともいえぬ表情になり、抵抗をやめた。必要が無いのだ。一呼吸後、キラキラする糸が闇に閃き、彼女の身体に群がる影を裂いて捨てた。010001011……まず出現したのはシックスゲイツ、カバレットだった。 38

2018-12-10 23:13:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ほとんど悠然とした足取りでカバレットが進み出ると、キラキラする糸は残る影を過たず捕らえ、掃討していった。通り過ぎるとき、彼女はヴァニティを一瞥し、無感情に言った。「難儀しているわね」「……見ての通り」ヴァニティは答え、目を閉じた。カバレットはポータルを振り返った。 39

2018-12-10 23:16:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

0100100101011……続いて現れたのは……おお、ゴウランガ……紫のスーツを着、二本のカタナを腰に帯び、手にはグンバイを持ち、灰色がかった明るい髪を後ろに撫でつけた、伝説じみたヤクザであった。彼はたった今のイクサの痕を見渡し、笑い出した。「ムハハハハハ!ムハハハハハハ!」 40

2018-12-10 23:20:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オアシモトキヲツケテ」カバレットがほとんど恭しい仕草で言い、ヤクザ・オヤブンは眉根を寄せて、床を這うパイプをまたいだ。「ムハハハハハハ!なんとまあ乱雑な事だ。まるで港湾倉庫のシノギだな」01001001001……そして彼の傍らに、恐るべきニンジャ、ネヴァーモアが出現した。 41

2018-12-10 23:23:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

帝王じみた堂々たるさまで、ヤクザ・オヤブンは……ソウカイ・シンジケート大首領ラオモト・チバは、クロス・カタナのグンバイで、シガーカッターとヴァニティを指し示した。「運べ」「ハイヨロコンデー」ネヴァーモアは頷いた。クローンヤクザが続々と出現し、負傷者を抱えた。 42

2018-12-10 23:26:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「知っての通り、ソウカイヤがこれまで日本列島の外にナワバリを求めた事はなかった」チバはポータルで運ばれる二人を振り返らず、カバレットに言った。「縁もゆかりもない地にまで野放図に手を伸ばせばどうなるか。いずれ腐敗と破滅だ」「御意」カバレットが頷く。チバは言う。「だが気が変わった」43

2018-12-10 23:29:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カバレットはチバに、問うような視線を投げる。チバは答えた。「この地は俺にとって、案外、無縁というわけでもなかった。そういうことだ!」 44

2018-12-10 23:31:38