【第八回】一チョロうどん【4*3一本】

ｍｈ @mai021126

傍へと寄り添った。あったかいミルクを分け合った。好きな音楽を共有した。所謂、恋人ごっこというやつだ。美味しい？とおれが聞けば、いつだって「まぁまぁ」と返ってきた。今日も繰り返し確認する。「美味しい？」まぁまぁ以外の返事がくるときのことを、考えないようにしながら。 #一チョロうどん

葛砂星音/藍葉 @Pinus_ind7126

「終わりにしよう」こんな愛のない、慰めだけの関係を。きっとお前も同じ気持ちなんだろう。さっさと部屋を出ようとしたら、服を掴まれた。「だったら、これから、新しく、始めてくれませんか」絞り出すような声。そんな答え、僕が求めてるわけないのに、どうして涙が止まらないの。 #一チョロうどん

ヤ！ @yaaaaaa284

真夜中、誰かの魘される声にふと目が覚めた。「チョロ、どこだ、どこにも、いくな……」私を抱いて眠る彼の切実な願いに鼻の奥がツンと痛む。「ねえ、イチ。離れていてもずっと一緒、でしょう？」幼い頃の約束を呪文のように唱え唇を重ねると、くちづけは仄かに甘いミルクの味がした。#一チョロうどん

higuruma＠( ﾟдﾟ )＜ｸｹｰ @higu39

この人でなしが。言った。言ってしまった。この人でなし。もう一度呟くとあからさまに不機嫌な目を向けてきて、あぁ、ゾクゾクする。もう一度、もう一度言わなければ。「この人でなし！」「うるせえ！寝る前に砂糖たっぷりのホットミルクなんか飲むな太るぞこの豚が！没収だ豚野郎！」 #一チョロうどん

映画を見たこなつ @konatsu_numa

「お前といても全然何にも楽しくない」僕が言うと、一松は律儀に傷ついた顔をする。泣きそうに歪んだ眦をきりっと引き締めて弟はポーカーフェイスを作り直すのがうまい。「じゃあなんでここに居るの」人でなしだというなら言えばいい。お前が僕の言葉で傷付いた顔を見るのが好きなのだ #一チョロうどん

ヤ！ @yaaaaaa284

人でなし。掠れた声で罵るお前は、汚されてもなお気高い魂の持ち主だった。青いドレスを引き裂き組み敷いて手酷く抱いても、美しく鋭い瞳は恥辱に屈することはなかった。欲しい、欲しい、お前が欲しい。─嗚呼ガッティーナ、お前を手に入れる為にあといくつ、俺はお前から奪えばいい？ #一チョロうどん

葛砂星音/藍葉 @Pinus_ind7126

ふわり。漂う、浮遊感。そして直後の、落ちる感覚。飛び降りて死ぬときって、きっとこんな感覚なのかなあと思う。それでも。「も……むり……」絶叫マシーンの隣の席で青い顔をした弟が、僕をこちらに引き戻す。「ふふ……大丈夫？」ああ、こいつのこと、残していけないなあ。 #一チョロうどん

日和見ひより☘ @hiyorimihiyori

「一緒に逃げようか」そう言った顔はさっぱりとしていて、僕はそれが嘘だとわかった。「いいね」軽く返して馴染んだ手を握る。どこがいいだろう。海か、山か、二人だけになれるところ。唇を押し付けあって、笑いあう。終わりにしよう。こんな時ばかり、言葉がなしで気持ちが通じた。 #一チョロうどん

葛砂星音/藍葉 @Pinus_ind7126

「一緒に逃げようか」兄さんの手を引いて笑う。兄さんは驚いてたみたいだけど、泣きそうな笑顔になる。「お前となら、どこへでも」でもおれは、逃げるつもりなんてなかった。ちょっとした旅行をして帰ってくる。そんな確信。ねえ兄さん、兄さんの思う幸せの概念、壊してしまおうよ。 #一チョロうどん

0034 @0034ichichoro

寒さから、一松の隣に座ったもののチラとこちらを一度見て、再び読書へと興じてしまった。 え…恋人が二人きりで隣に座ったのにそれ？その態度する？腹が立って睨み付けようとしたところで、再び目が合う。 「チョロ松必死すぎ…ちゃんとかまってやるから…」 ニヤリと弟が笑った。 #一チョロうどん

映画を見たこなつ @konatsu_numa

この家出ようかと思うんだ、いい加減ちゃんとしなきゃ…等々、いくつも聞いてきた言葉が、そのどれもがその場しのぎのハッタリだと知っているのに、ぼくの心は馬鹿正直にいつも痛みを訴えて、ぎゅっと苦しくて「行かないで」と縋ってしまう。試されているだけだと、分かっているのに。 #一チョロうどん

ゆか @ICHI_CHORO_43

あの時と同じことを繰り返さないようにと思っていたのに、それを嘲笑うかのように簡単にアイツは家を出ていった 「僕就職したんだ」あの時とは決定的に違ったのはアイツ自身が望んでこの家から出て行ったこと。あぁ...遂に捨てられたのか 歪んだ視界に映し出される緑が滲んで広がった #一チョロうどん

ミとシ🙌 @mito_si

お前猫舌なの？って何回聞くんだよと思う。全然俺のこと覚えてくれないこいつがなんで好きですなんて言ってくれるのかわかんなくてどうせアイドルのほうが好きなんでしょって言ってしまう。兄はにやついて、まあ知ってるけどねとか言いながらぬるいコーヒーを差し出して満足げだった。 #一チョロうどん

ｍｈ @mai021126

「好きだよ」と告げた一世一代の告白は、「まぁ知ってるけどね」と流された。あれから毎日だ。三百六十五日、よくもまぁ自分でも続いていると思う。「おはよう。好きだよ」「おはよ、知ってるけどね」うんとも否とも返してくれない兄は、今日も満足げにくしゃりとわらった。 #一チョロうどん

ゆか @ICHI_CHORO_43

キラキラと光を放つものは綺麗で、そして眩しい。俺とは真逆のものに思わず目を背けたくなる 「一松今帰り？」「そういうあんたは？」「にゃーちゃんのライブいってきた！！はぁー！超絶可愛かった...！！」 そう頬を綻ばせるあんたの笑顔が、どんな宝石よりも一番綺麗で眩しい #一チョロうどん

葛砂星音/藍葉 @Pinus_ind7126

心臓に刃物が突き立てられたように感じた。「ねえ、お前、僕のこと好きだろ」どこでバレたんだと、おれは完璧に隠し通せてただろうに。「……よく、目が、合うから」そう言った兄さんの顔は真っ赤。目が合うということは、兄さんもこっちを見てるってこと、どうして気づかなかった？ #一チョロうどん

ｍｈ @mai021126

キラキラと光を放っていて綺麗で、本当に眩しかった。CDも買った、握手会も手に入れた。今日こそ、命日になっても地獄に落とされても構わない。「シッ、シシシｔトラスのファンです！」潤んだ視界のせいで顔さえ見れなかった癖に、ぬるぬるの掌をそっと掴まれた感触だけが残っている。 #一チョロうどん

ゆか @ICHI_CHORO_43

応援してます、そう声をかける大半はミーハーだったりと正直うんざりしていた時だった。ファンなんです...！と耳まで真っ赤にし、絞り出したような震えた声で伝える今話題のアイドルに、俺も今貴方のファンになりました。と伝えたら次はどんな表情をしてくれんだろうか #一チョロうどん

ゆか @ICHI_CHORO_43

地獄に落ちた時に呼ばれた「チョロちゃん」というあだ名が恋人みたいで惚れ直したということは僕だけの秘密だった。 確かにあの低音ボイスを耳元で言われたら、落ちないわけないんだけど...！ あの一松が僕のことを「チョロちゃん」と呼んだのが恋人ぽくて...また呼んで欲しい... #一チョロうどん

ｍｈ @mai021126

あの低音ボイスがだめなのだ、とごちる。あと、伏せがちの目もいけない。あと僕より少し高めの体温も問題だと思う。指折り連ねてゆけば、「それで？」と続きを促された。「陰気な所も、考えすぎるところもきらいだ」そう言えば嬉しそうにわらう。その顔が、一番きらいだ。 #一チョロうどん

S(えす)🐯-新規未来 @smr4173286

死んだらきっと、地獄に行くのだと思う。幼少期からの悪行もそうだが、生前戒めも含めたら、きっと阿鼻地獄が待っているのだろう。だって、長年の想いが叶うし、手も繋げたし、キスだって出来たし、その先だって。こんなに幸せで、地獄に堕ちないわけがない。 #一チョロうどん

ペリ @omz_mnk

叶うはずのない恋をして、けれどそれは叶ってしまった。手を繋ぎ、口づけて、肌を重ねて寄り添って。ああ、こんな幸せがあるなんて俺は知らなかった。幸せ借金が積もってゆく。でも、今生で彼と生きられるのなら、それも甘んじて受け入れよう。地獄にだって行ってやる #一チョロうどん

ゆか @ICHI_CHORO_43

戒めないと...。そう言った俺に投げかけた質問に、幸せ借金が積み重なったから不幸返済すんの。と答えると少し考える素振りを見せた兄は何かを閃いたのか目を輝かせた。 僕も一松といるだけで幸せ借金が積み重なってるから一緒に頑張って返済すれば大丈夫だねと。何も大丈夫じゃない #一チョロうどん

葛砂星音/藍葉 @Pinus_ind7126

叶うはずのない恋をした。屋上は風が強かった。「ねえ、お前は」同じく叶わない恋をしているらしい兄さんが問いかけてくる。相手が誰かは知らないけれど、おれたちは今から一緒に行く。そんな、優越感。「誰が好き、だったの？」あんただよ、なんて。最期まで、言わないよ、兄さん。 #一チョロうどん

あわわ @awwwww_14

｢いや、あいつはあいつで良い所…良い所あるんだよ。ちょっとネガティブで闇抱えてて、頭の中大半猫だし、なんならあいつ自身が猫だし。あいつは人を傷つけないように気を使えるし、うーんなんて言えばいいんだ？｣別にこんなの普通の事だろ恋なんてしてないよ。にやにやすんなよ長男 #一チョロうどん