燭へし同棲botログ：いい夫婦の日

燭へし同棲bot @dousei_skhs

【いい夫婦の日】 「質問です」 「なんだ」 「今日はなんの日でしょうか」 「はい先生」 「はい長谷部くん」 「”いい夫婦の日”です」 「正解」 「世間的にはな」 「僕たち的にもでしょ」 「……」 「……えっ？　そう思ってるの僕だけ？」 「いや、俺も思ってるけど」 「けど？」

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「そんな光忠くんに言いたいことがあります」 「何いきなり」 「今言った通り、今日は夫婦の日ですね」 「そうですね」 「俺たちもですね」 「そうですね」 「しかし、俺たちにはまだ済ませていないことがあるのではないでしょうか」 「……何かあった？」 「ある」 「……」 「時間をやろう。考えろ」

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「……えー待って……」 「わかるかな」 「……質問。普通の夫婦はやっているものですか」 「まあおそらく、大部分は」 「それは一般的にいつするものですか」 「夫婦になってすぐのところが多いんじゃないか？」 「……んん……」 「…………」 「はい先生」 「はい光忠くん」

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「新婚旅行ですか」 「正解」 「……」 「よくわかったな」 「……行ってなかったね、そういえば」 「お互い仕事もバタついてたしな」 「……」 「……光忠？」

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「……僕、長谷部くんと一緒にいられるのが当たり前になってて、そういう特別なこと考えるの怠けてたかもしれない。……ごめんね」 「？　お前はいつでもいろいろ考えてくれるだろう」 「でもさあ……そっかー新婚旅行……あー……」 「……なあ光忠」 「んー？」

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「別に俺がこの話を持ち出したのは、その、あてこすりみたいなことをしたいとか、そういうのじゃなくて」 「？　そんなこと思ってないよ」 「そ、そうか」 「ん」 「……つまりだな、あの」 「……？」 「新婚旅行に行かないかっていう、ことを」 「行く」 「えっ早」

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「行く、絶対行く！　ねえ長谷部くんどこ行きたい？」 「待て待て、追いつけない」 「国内？　海外？」 「……国内、かなあ」 「じゃあ温泉とかは？　長谷部くん前テレビ観て行きたいって言ってたよね」 「覚えてたのか」 「もちろんだよ」

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「そういうお前はどこがいいんだ」 「僕はどこでもいいよ。長谷部くんの行きたいところに行ってみたい」 「そっかあ」 「のんびり出来るとこがいいねぇ」 「そうだな」 「早めに有給取らないと！　日程いつにしようか」 「……ふふ」 「？」

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「いや、楽しみだなと思って」 「そりゃそうだよ」 「そりゃそうか」 「ただの旅行でも、長谷部くんと一緒なら楽しいに決まってるけど」 「うん」 「なんたって新婚旅行だからね」 「……ん」 「長谷部くんは？　楽しみ？」 「ああ。楽しみ」

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「……遅くなってごめんね」 「俺の方こそ。……でも」 「？」 「いいんじゃないか。のんびりしてるのが、俺たちらしくて」 【了】