H30MY奇譚

平成30年最後の年。「平成30年胆振東部地震」が発生し、北海道全域が大停電に見舞われながらも震災を乗り越え、激動の年に起きたノンフィクション。
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元旦が過ぎ、10日ほど経った頃。また天井裏にヤツの足音が聞こえてきました。屋根裏のポイントにエンドキラーをすでに設置していたので、次の日に確認することにしました。

腰の状態が良くなってきたので、屋根裏をもっとよく観察することにしました。柱の陰に何か見えたので懐中電灯で照らして見ると、集められたかのようにエンドキラーが山盛りになっていました。ヤツはエンドキラーを食べずに、ゴミでも捨てるかのように同じポイントに置いていました。

驚愕したのと同時に、エンドキラーは効いていないことが判明しました。注意書きにも食べない場合があると書いてあったので、まさかとは思いつつも、ゴミをかき集めたようにエンドキラーが集められていた状況から、作戦は失敗だったことに気がつきました。

その日夜が来る前に、ホームセンターに行き、ヤツ専用のバルサンを購入。屋根裏に設置。かなり臭いがキツイのでしばらくは来れないだろう。様子を見る事にしました。

屋根裏のバルサンの効果は20日間くらい持ちました。ヤツの足音が聞こえて来たのがバルサンを設置して20日後だったので、臭いが薄れてきたのと同時にやってきたのだろうと思いました。

私にその手を汚せと言うのか。

タクティクスオウガのタイトルが脳裏をリピートする。この戦いに終止符を打つためには確実に捕獲して駆逐するより他にないのだろうと思います。

前回とは違う耐水性のある粘着捕獲罠をボイラー下の納戸に設置する事にしました。

耐水性のある粘着捕獲罠をボイラー下の納戸に設置した次の日の夜、納戸からガサガサ音がしたので、戸を開けずに音を観察していると5分ほどで静かになった。おかしい。粘着タイプは有効じゃないのかもしれない。罠が効いていない。薄々、粘着罠に疑問を感じていたのですでに買って用意していた別の罠を設置することにしました。

別の罠は「ねずみ捕獲カゴ 角型 」で、フックにつけた餌を引っぱると蓋が閉じるという罠です。ちょうどTVで北海道島牧村に出没した熊を捕獲罠で捕まえて駆除したニュースを見たので、これなら!と思いました。

フックに取り付ける餌はチーズにしました。上手くいけばヤツにとって最後の晩餐になる。

ボイラー下の納戸に捕獲カゴを仕掛けて戸を閉めた。

よく朝、納戸の戸を開けて見たらまだ何の反応もなかったので、そのまま放置。

次の日の夜、納戸から音が聞こえたので「かかったな!」と思いました。納戸の戸をを開けてライトで照らして見ると、捕獲カゴにねずみがかかっていました。想像していたよりも個体が大きかったようで、捕獲カゴに入りきらなかった尻尾が閉まる蓋に挟まれていました。ライトを近づけるとキーキー威嚇してシャーと叫び、意外とうるさいので次の手順に移りました。手袋とマスクを付けて、バケツに水を入れ、捕獲カゴを沈めました。処理完了。

すみやかにビニールで回収しゴミに出した。次の襲撃に備えて捕獲カゴを設置。まだ、敵が潜んでいるかもしれないので、様子を見ることにしました。1ヶ月が過ぎ、静かな夜を荒らすモノが襲ってくることはなかった。たった1匹のねずみに人間が振り回されるなんて、ネタにしか聞こえないかもしれないけど、静かな夜を取り戻すための戦いを半年ほど続けて、ようやく駆逐に成功しました。

平成の世が終わる前に、H30MY奇譚 完