「ヤレる女子大学生RANKING」はほんとに女性蔑視なの？

海燕 @kaien

最近、ネットを中心に話題になったいわゆる「ヤレる女子大生ランキング」問題について色々と考えてみたので簡単にツイートしておきたいと思います。

海燕 @kaien

まず、「ヤレる女子大学生ランキング」とは10月23日に雑誌SPA！に掲載された記事（の一部分）を指します。より正確には「ヤレる女子大学生RANKING」。この記事では、「ヤレる」女子大学生が通っているとされる大学が名指しで列挙されているようです。

海燕 @kaien

初めに断っておきますが、ぼくは現段階でこの記事そのものを読めていません。ただ、ネット上に記事が転載されていたので、一応、それには目を通しました。個人的な印象としては、三流雑誌の下品でくだらない風俗記事としかいいようがないと感じます。これ、だれが最初に見つけてきたんでしょうか。

海燕 @kaien

なので、下品でばかばかしい記事でありランキングだという指摘や批判はもっともなものだと思います。そういう非難はいくらあってもいい。ただ、名前を挙げられた各大学が抗議を行い、「女性を軽視した」として謝罪を求める署名が数万を数えるとなると、話が違ってきます（change.org/p/%E9%80%B1%E5…）。

海燕 @kaien

この記事のトーンが全体的に「女性を軽視」していることにはぼくも同意しますが、そういう記事はほかにもあるので、この場合、問題なのはやはり「ヤレる女子大学生」をランキングしたという事実でしょう。はたしてこの事実はここまでの非難に値するのかどうか、なるべく冷静に考えてみたいと思います。

海燕 @kaien

まず、第一の論点。この記事は犯罪を使嗾しているかどうか。記事を批判する署名記事には「こう行った（ママ）発言により性犯罪に合う女性は後を絶ちません。」とあり、記事が犯罪を誘発するという前提があることがわかります。それでは、じっさいにはどうなのでしょうか？

海燕 @kaien

客観的に確認できる情報としては、この記事は「直接には」犯罪を扇動してはいません。たしかに「ヤレる女」という表現は「強姦できる女」という意味とも受け取れますが、いくらなんでも市販されている雑誌で直接に犯罪を薦めるはずがありませんし、記事全体の文脈からもそのようには読めません。

海燕 @kaien

ということは、「ヤレる女子大学生」との表現は「セックスできる女子大学生」と解釈するべきでしょう。もちろんこの場合の「できる」とは「必ずできる」の意味ではありませんから（もしそうならそもそもランキングする意味がありません）、「セックスしやすい女子大学生」と受け取るべきかと考えます。

海燕 @kaien

さて、はたして「セックスしやすい女子大学生」をランキングすることは性犯罪を使嗾していることになるでしょうか？　ならないでしょう。このランキングはあきらかに「同意のうえでの性行為」を前提としており、その意味で犯罪を薦めているものではまったくない。これは客観的事実といえると思います。

海燕 @kaien

ただ、もちろん、この記事を読んで「この大学に通っている女子大学生ならヤレる（セックスしやすい）」と思い込んだ男性が何らかの迷惑行為に走る可能性はあり、その結果として犯罪に至るという可能性は否定できません。そういう意味では間接的に犯罪を誘発する可能性はゼロではないかもしれない。

海燕 @kaien

その文脈で考えると、やはり名前を挙げられた大学に通う女性は迷惑だといえるかもしれません。ただ、それはたとえば市販されているほかのナンパ本であるとか、ハウトゥセックス本、あるいはそれに類似した記事でも同じことです。「このような記事は犯罪を呼ぶ」と批判することは無理でしょう。

海燕 @kaien

「こういう女は口説きやすい」とか「この仕草はベッドインのサイン」といったばかばかしい「情報」が記された記事や本は山ほどあるわけです。「女性を犯罪の危険にさらしている（可能性がある）」という意味では、それらすべても同種であるはず。それらすべても抗議し謝罪に追い込むべきでしょうか。

海燕 @kaien

たしかに「いや、そのすべてが問題であり、女性軽視であり、女性を危険に晒しているのだ」とすることもできるでしょう。しかし、それをいうならそもそも男性に女性と恋愛、ないし性愛関係になることを薦めることそのものが犯罪を誘発するということになりそうです。その点はどう考えれば良いでしょう。

海燕 @kaien

ぼくが考えるに、直接に犯罪行為をそそのかすことは論外としても、「こういう女性はセックスにもちこみやすい」と示唆することは犯罪を誘発するとはいえません。あくまで同意のうえで合法的に女性と性行為に及ぶことしか薦めていないのだから、当然だと思います。

海燕 @kaien

もし、あくまでそれが犯罪を誘発するというなら、たとえば『よくわかる合コンの開きかた』といった本も同じような問題を抱えていることになるでしょう。その種の本だって、合コンを開けば女性と「ヤレる」と思い込んだ男性が犯罪に及ぶ可能性はゼロではないわけです。可能性をいい出したら際限がない。

海燕 @kaien

それでは、第二の論点。このランキングは「女性を軽視」したものであり、女性差別といえるのかどうか。先述したように、記事全体のトーンはあきらかに女性を軽んじたものであり、「上から目線」であるといえます。このランキングも、その是非以前に卑近な表現であることは間違いないでしょう。

海燕 @kaien

ただ、記事の品性と、その内容が謝罪や撤回に値するものであるかどうかはまたべつの話です。ここでは、即断に陥る愚を戒めたうえで、あくまで冷静に判断したいと思います。

海燕 @kaien

たとえばこの記事（news.yahoo.co.jp/byline/ogawata…）では、いくつか性犯罪事件を列挙したうえで、「このような事件が繰り返され、被害者が中傷されることもある世の中で、SPA！記事のような一方的な「ヤレる」認定に恐怖や怒りを感じて当然だ」とされています。

海燕 @kaien

もちろん、感情のレベルではそうでしょう。また、このランキングの根拠自体がきわめて薄弱であることは紛れもない事実だと思います。しかし、世の中には事実、「セックスしやすい」女性とそうではない女性がいます。それを序列化すること自体が差別であり、問題であるとはたしていえるでしょうか？

海燕 @kaien

そもそも女性に対して「この子は口説きやすそうだ」とか「セックスにもちこみやすいかもしれない」といったことを考えること自体が侮辱である、という考えかたはあるでしょう。ですが、それはなぜでしょうか。女性を性的に奔放と見ることを侮辱だと受け止めることは保守反動的な発想なのでは？

海燕 @kaien

そうではないという意見があります。前掲の記事（news.yahoo.co.jp/byline/ogawata…）では「「ヤレるかヤレないか」あるいは「お持ち帰りできるかできないか」といった視点は、男性にとって都合の良い女かどうかを基準に考えられている。女性の性的自己決定権の話とは真逆の方向ではないか。」と記されている。

海燕 @kaien

しかし、そうでしょうか。先述したように、「ヤレる女」とは、べつだん女性の性的自己決定権を無視した表現ではありません。あきらかに「（彼女の性的自己決定権にもとづいて）性行為に了承する可能性が高い女性」を指していると見るべきです。女性の決定権を尊重することはランキングの前提なのです。

海燕 @kaien

くり返しますが、仮に女性の自己決定権を完全に無視しているとしたなら、そもそもランキングが成立しないでしょう。自身の性的自己決定権にもとづいてわりあい性行為に同意しやすい女性とそうではない女性がいるという前提があるからこそ、その序列化が成り立つわけですから。

海燕 @kaien

仮に、もしも「とにかく酒や薬を飲ませてヤってしまえ」とでも書かれているならそれはたしかに論外です。しかし、じっさいにはそうではない。ただ「ギャラ飲み」において性行為にもちこみやすいとされる女性を序列化しているだけなのですから、これは女性に対する侮辱とはいえないのでは？

海燕 @kaien

もし、この認識のうえでなお、あくまでこれを差別であり侮辱と受け取るとするなら、そこにはやはり「セックスにもちこみやすい女性」とみなされることそのものを侮辱と受け取る考えかた、つまり保守的な性観念があるのではないでしょうか？