呟怖と散文18

創作文まとめ
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晴れ時々雨 @rio11ruiagent

束の間身を任せると我慢できずに夏美に触れようと手を仰いだ。両頬に添えられた手がそれを制し、髪を結わえてあったリボンを無造作に解いたもので括られた。 舌は鼻筋を通り口内に移動していた。歯列を擦られ新たな痺れに悶えているとリボンが手首に食い込み絞め上げる苦痛に息を漏らす。 触らせてくれ

2019-01-11 22:09:34
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舌で抉じ開けた。反射で仰け反り漏らした自分の声の卑猥さに羞恥が走る。しかし夏美の下は容赦なく瞳を縦横無尽に這い回り、時折目の縁に触られると尻の間に火花が散ったように鳥肌が立った。 唾液が鼻の脇を通り唇に触れる。 こんなところで。 それさえ春男を興奮させる媚薬だった。 #怪談オチ pic.twitter.com/fnBPPDF9se

2019-01-11 21:51:02
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雲のような乗り物に乗った変な格好の男がいた。 「お迎えに上がりました〜」 唖然としていると父を立ち上がらせ乗り物に押し込む。 父が立った!父が立った! 歩けるじゃないのとそっちにも驚いた。 「はい、もうあの世なので」 それでは、と言うやいなや飛んで逝ってしまった。 #怪談オチ pic.twitter.com/4G6Ds6XTR6

2019-01-11 21:03:54
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海などなく、防波堤が聳え立ちその先はテトラポットで埋め尽くされていた。 笑える。今父はどんな顔をしているだろう。 私のことを否定し続けた父。 もうあの頃の面影は一つもないのよ。 #怪談オチ pic.twitter.com/errxmiGNhQ

2019-01-11 20:50:27
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この世のものでない何かが大きな口を開けている。 あんたには見えないだろうなぁ。 俺はガキの頃何度もあんたに沈められたのを忘れない。泳ぎの練習だってさ。 ほら、行こうぜ。今回は途中までついて行ってやるよ。 車椅子を進める。 #怪談オチ pic.twitter.com/Wogq6tDS4P

2019-01-11 20:40:18
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#涙水流溢零悲嬉哀をつかわずに涙を表現する どうすることもできない現実を知ったとき絶望が全身を駆け抜ける 待ってくれ消化するための時間をくれ 治まったらまたいつものように過ごすから 今だけ打ちのめされていることを許してくれ

2019-01-11 08:27:54
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もう危ないことに神経を使うことも、パパとママの悲しい顔を見ることも、外を眺めて羨むこともしなくていい。 いいよ、行こう。もう沢山。 行く前に家の上を通ってもらおう。小さい星を一つ譲ってくれない?屋根に落っことしてわたしだって気づいてもらうから。 彼は鼻をこすってスピードを上げた。

2019-01-11 01:11:05
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君はもう帰れない。これからどんなに懐かしがったって自分のベッドで眠ることはできない。新しい国に行かなければならないんだ。 なんですって。そんな楽しいことになんで泣いたりするのか不思議だった。窮屈な部屋に戻らなくていいなんて素敵だと思った。 寝間着以外の服も久しぶりだった

2019-01-11 01:11:05
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ふと彼の目が曇った。手を繋ぐ力が弱くなり離れそうになる。 もしかしてお別れ?瞳の星が揺らめいている。動揺して彼の手を強く握った。じゃあどうしてここに連れてきたの。なぜわたしを誘ったの。一人で家に帰るなんて、もう空を飛べないなんて厭。 あなたはなぜ泣いているの。 涙も拭かずに彼は話す

2019-01-11 01:11:04
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#怪談オチ 見開き、繋いだ手を離した。 ついと夏美の手が頬を挟みぐっと顔が近づき額が合わさった。 次の展開に胸を弾ませる間もなく、物凄い強さで注がれる視線が光線になる。 瞳に壮絶な熱さを感じ、振りほどこうとするも予想外の力で押さえつけられ逃げられぬまま春男の体は萎んで抜け殻になった pic.twitter.com/GjE9gPEiyh

2019-01-10 22:51:31
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あなたがよその女を見る目が好き。自分を棚上げして品定めする品の無さ。 そうやって見ず知らずの女を犯すのね。肌の柔らかさも匂いも知らずに。 きっとその女はあなたの思う通りに振る舞う。いい気分でしょう、たまに上位になると。 いい顔してるわ。 #官能工房

2019-01-10 21:54:02
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その言葉の響きを遠くで捉えながら溶けていく。声の音、言葉の音、意味がもたらす音すべてが奥深くに届く。 唇の音、舌の音、時折歯の音をさせて私を掴む。 昼間の店先で目を閉じるとそこは閉じられた二人の空間になる。 耳を澄ますだけで。 #官能工房

2019-01-10 21:47:10
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優しく触らないで。もっと確かめて。あなたに聞くわ、どこがどうなのか教えて。 そうやって夜を深くしていくのはいけないことだろうか。たぶん知ってしまえば戻れない危ない感覚。 あなたを考えようとする頭を今すぐ吹き飛ばして。 #官能工房

2019-01-10 21:36:35
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我に返ると星がとても近い。はっとして起き上がると本当に空を飛んでいた。紺地に銀の星刺繍の入った絨毯は美しかったが気づいた途端足場が不安定になる。彼が両手を掴んでくれなかったら落っこちていたかも。彼の目には星が一杯ちかちか煌めいて、あんまり綺麗で吸い込まれそう。 どこへいくの?

2019-01-10 15:43:06
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なんだか店が騒がしい 若い女が怒鳴り散らしている 意識しなくても内容が入ってくる どうやらこの店で買ったインコが変な言葉を喋るらしい 店員がその言葉を聞き出そうとすると女は顔を赤くして俯いてしまった 友人を見るとドヤ顔 お前まさか、それをやるために毎日ここに通っていたのか #怪談大喜利 pic.twitter.com/l71D8FCoDw

2019-01-10 15:30:47
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深夜3時 店内の倉庫の床の四角いマンホールが開く はしごを降り進むとそこは下水ではなく、裸電球のついただだっ広い地下室のようだ 突き当りの半開きのドアから、生き物の悲鳴、血生臭さ、鉄の台、空の檻、 手前の檻にはすっかり成犬になった垂れ耳の犬が諦めた目をしている #怪談大喜利 pic.twitter.com/fP7I7ia1Os

2019-01-10 15:02:49
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見上げていた空は徐々に色を変えなめらかなグラデーションを作る。白く輝く点が一つ現れたら二つ三つと仲間が増えお喋りし始めた。わたし達は静かに手を握りあったままそれを見守った。 帰らなければ叱られる、そんなこともどうでもよくなるような、星柄の絨毯で浮かんでいる気がして気持ち良かった。

2019-01-10 00:04:20
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

見知らぬ男の子に誘われ、ママに禁止されている森へ行った。危ないからという理由だったが、一度行ってみたかったので戸惑ったのは一瞬だった。 草だらけの道を抜けると柔らかい苔のような草の生える場合に出て、そこに二人で横たわった。空を遮る木々が天蓋のようで、いつしか彼と手を繋いでいた。

2019-01-09 23:53:13
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

娘と訪れた遊園地。 手を繋いでミラーハウスに入った。 在り来りな子供騙しと高を括り迷い込む迷宮には夥しい数の我らの顔。 得も言われぬ不気味さを感じ、繋いだ手の先を見ると娘がいない。 パパ… はっと振り返ると顔を覆う娘。 駆け寄ろうと前に出ると鏡の中の顔が一斉に笑い出した。 #呟怖

2019-01-09 20:49:43
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

雨宿りだった。長く降り続く陰鬱な雨にすっかり冷え切った体を温めるための火種の小さなストーブにあたった。 体を乾かす僅かな温もりと懐かしさは、私にいっときの熱さを思い出させた。 肯定されれば逃げ出さずに済んだのに、あの人を思うあまり自分で逃げ道を塞いでしまった。 雨はやまない。

2019-01-09 15:02:28
晴れ時々雨 @rio11ruiagent

猫が好きだ。造形が完璧だ。 前足、手と呼んでいるが、手から胸にかけてのライン、胸の丸み、たまらない。 遠景ではまず分からないが、特筆すべきは口の周り、ふち、とでも言うのか、人で言う唇のような部分。(唇はちゃんとある)3辺が交わったところがなんとも言えない。あと顎。あと小さな歯が字数

2019-01-09 12:45:52