少前ログまとめ 2018年9月投稿分

orphe @orphechin

「あたしはやだな……元々お魚は苦手だし。ところで今日の実験材料、持ってきたわよ」WAはランチボックスから水筒とマグカップを取り出す。 「ありがとうございます」少年は頭を下げる。 「実験なんだから感謝しなくていいの」WAは５時間前のような慎重な手つきで液体をカップに注ぐ。 #少前ログ

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「ほら、飲んで」白い湯気と共に差し出されたのは、「ホットチョコレート。ココアじゃないのでそこ勘違いしないで」 「うん」少年は恭しくカップを受けとると、ゆっくりと口をつける。 「どう?」 「美味しいです、いつも通り」 はふー、とWAの口から安堵の息が漏れる。 「実験成功ね…」#少前ログ

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「お姉さんが淹れてくれるのはどれも美味しいですよ」 「ならいいけど。カクテルは慣れたけどいまだにここらへんのさじ加減は微妙なのよね私」 AK12の飼い犬である少年は、ここ最近はこうしてWAの実験レシピを飲まされるのが日課になっている。 #少前ログ

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「あんたがお墨付きを出すなら、こいつを昼間のシフトにも出せるわね」 少年は頷く。「全然いけますね」 早朝の時間帯なら他の誰にもバレることなくこうして実験が出来るのだ。 「あんたの飼い主に観られたら絶対二人供お説教ね」 「……"私の犬を毒殺するつもりですか"って言い出すね」#少前ログ

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１か月前は事実そうなりかけた。 隠し味にと紅茶に入れたカイエンペッパーがマズかったのだ。しかしWAはプロとして同じ轍を二度踏まないのが信条である。 「アレ以来、作るときは心で三度唱えるのよ。"基本に忠実に"って」 「隠し味は大体の場合メインの味を覆い隠す味になりますからね…」#少前ログ

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「でもまあ、このカフェ稼業もそろそろ終わりね」WAは少年の横に並び、橋にもたれ掛かる。朝霧の立ち込める欧州建築の景色が、川の両岸に並ぶ。コーラップスを経てなおこの景観は変わることがない。それは誇りのようでもあったし、あるいは緩慢な死を受け入れる怠惰のようにも見える。#少前ログ

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「夜中ね、入国許可の連絡が来たの。あたしも晴れて日本で戦えるってわけ」 「ああ」少年はわざとらしく驚いた声を出し、「やっと来たんですね」そして小さく何度か頷く。「そっか、お姉さんも行くんだ」 「良かったわね、これ以上実験に付き合わされなくて済むわよ」WAは彼を見ずに笑う。 #少前ログ

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「お店は?」 「しばらくはSPAS任せかしら。SGは日本では認可に時間がかかるっていうし、綺麗な店仕舞いまでの準備は出来るでしょ。あんたともしばらくは会えないわね、あんたのところの"人類未踏達物"に至っては導入の検討さえ躊躇われてるし…」暗にAK12を揶揄するWA。 #少前ログ

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「観光でまた行きますよ」少年は妖精の頭を撫で、今一度のトライを命じる。 二人の目の前を、飛行妖精が滑るように飛んでいく。 「日本はどうだった?」 「食べ物は高いし少ないけど美味しい。あと、大分清潔ですね。お姉さんもきっと気に入ります」 「清潔なのは大事ね…銃の手入れ的に」 #少前ログ