しましま団の歴史

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もりやん/豆苗わかば @catfist

『舞-乙HiME』のジュリエット・ナオ・チャンとしましま団について妄想してみた。

2011-05-04 01:48:40
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~創成編1~:アルタイの下層階級に生まれたジュリエット・ナオ・チャンは怒っていた。アルタイの暗黒街には法も秩序もなく、そこに生まれたものには一切の希望はなかった。母が過労で没した後、呑んだくれの父を捨て、ジュリエットは一人街に出た

2011-05-04 01:48:47
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~創成編2~:幸いジュリエットには力があり、才があった。悪党どもの金庫を散々に荒らすジュリエット。死んだ目のごろつきをどつき回し、愚連隊を立ち上げた。目指すは暗黒街の秩序、無為に失われる命を守ること。その誓いを、ジュリエットはしましまのシャツに込めた

2011-05-04 01:48:51
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~創成編3~:愚連隊「しましま団」は、幾多の抗争、壊滅の危機を乗り越え、アルタイの暗黒街を平定した。暗黒街から殺しと麻薬を撲滅した手腕をお上が見逃すはずもない。未だ歳若いジュリエットは、セルゲイ大尉から、ヴィントブルームへの留学生となることを提案される

2011-05-04 01:48:56
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~変転編1~:ジュリエットは迷った。自分なくしてしましま団は立ちゆくか。しかし、伊達に鬼才に仕えていない手下どもである。ジュリエットがこなしていた膨大なシノギを、手下どもは一つずつ自分のものにしていった。「あばよ、馬鹿ども」言葉一つ残しジュリエットは旅立った

2011-05-04 01:49:00
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~変転編2~:愛すべきお頭、麗しの君を失ったしましま団は、シノギに忙殺されつつも、遠き地のジュリエットを恋しむ日々であった。付いてゆきたくも、今や清貧の暮らしである。彼らは、爪に火を点して金を出し合い、一番下っ端の若者に渡した。「お頭を頼んだぜ」

2011-05-04 01:49:04
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~再生編1~:セルゲイに礼儀作法を叩き込まれ、貴人の集うガルデローベに放り込まれたジュリエットは、平穏な日々を送っていた。飢えに苦しむことも、銃弾に怯えることも、シマのトラブルに駆け回ることも、手下どもの面倒を見ることもない、望んでいたはずの暮らしであった

2011-05-04 01:49:09
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~再生編2~:ある日、ふらり裏街に足を向けたジュリエットは、見慣れた光景を目にした。人生を諦めた、死んだ目のごろつきども。身なりのよい少女に寄り集まる男たちの前に、ぼろ布めいた若者が割り込んだ。這々の体でヴィントブルームに辿り着いた、しましまシャツの若者である

2011-05-04 01:56:01
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~再生編3~:「お頭、これを!」ぶかぶかの帽子にズボン、薄汚れたスカーフにサスペンダー、そしてしましまのシャツ。しましま団、正装である。ジュリエットの目に、久方ぶりの炎が灯る。往来、男どもの目の前で、清潔な服を脱ぎ捨て、かつての姿に舞い戻った

2011-05-04 01:56:05
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~再生編4~:「誰にコナかけてると思ってんだい、このスカタンがァ!」あっという間にごろつきどもを畳んで積み上げたジュリエット。どこからともなく取り出した色眼鏡かけ、若者に言った。「もうアタシは頭じゃない――ジュリエットお姉様、とそう呼びな」

2011-05-04 01:56:09
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~新生編1~:しましま団はヴィントブルームで再起した。かつてと同じようにごろつきどもを蹴り飛ばし、アルタイより遥かに容易くヴィントの裏街を締め上げた。今やそこには秩序があり、ジュリエットが学校を抜け出し、酒瓶を傾ける憩いの場となった

2011-05-04 01:56:35
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~新生編2~:ジュリエットが大人しく学校に閉じこもっている日、手下どもに兄貴と呼ばれるかつての若者は、アルタイでの武勇伝を披露する。ジュリエットの故郷を守るしましま団に、若者からの便りが届いた。「お頭は、やっぱり俺らのお頭です」

2011-05-04 01:56:42
もりやん/豆苗わかば @catfist

しましま団記~完結編~:故郷に戻ったジュリエットの周りには、アルタイ生まれの手下どもだけでなく、ヴィントブルームで洗礼を受けた者もあった。適度な騒音、適度なトラブル、面倒のかかる手下ども。ジュリエットにはそんな暮らしが性に合う。しましまのシャツに、最早涙の跡はない(終)

2011-05-04 01:56:46