【二月の使い方】福間健二 #k2fact214

福間健二 @acasaazul

低地に降りていく。おはようございます。洪水以後、演技していない、ただ揺れている人たちに挨拶した。かれらの事実の何を追い抜いても、思いつきの短篇が終わるだけだ。一月三十一日の「助かったぞ！」をもう塞いでいる壁にそって移動する。暖かい。青い空がある。（二月の使い方１）#k2fact214

福間健二 @acasaazul

頭を打たないようにと言われていたのに打った。スイングするもの。何秒かのできごと。密輸業、終わらせたくない気もする。なにかを告げるためでなくただしゃべっているのが楽しい人たち。お礼は言わないつもりかなと思ったが、少なくともひとりはそうじゃなかった。（二月の使い方２）#k2fact214

福間健二 @acasaazul

目次。見ているうちに老いて髪も白くなり、そのひとりのための。横断して、心のなかにいつも打ち明けたい愛が。星を眺めるように。順番の、小鳥を待つ弟たち。紙ゴミの水曜日。形のしっかりしているものを簡単には捨てない人だ。自由に動いてください。それができない。（二月の使い方３）#k2fact214

福間健二 @acasaazul

一羽のウサギも拾えない日があって思い出した。思い出させた。線路に。道に。階段に。いろんな種類の卑怯者が通った朝のこと。ウサギの臓物でなくてもおいしいよ。缶ジュースをおいたテーブルを囲む人たちに。また来るなら早く来てもらいたいとだれかが言ったことを。（二月の使い方４）#k2fact214

福間健二 @acasaazul

災いも、よいことも、来て、去って、また来る。そのことだ。二人の泥棒と一緒にいて多くを学び、十分に凍らない水の上を歩いてくるスパイを待った。そのスパイに。生活と意見。缶ジュースとクラッカー。クラッカーはそんなに種類がない。あっ、左手が自由に動いている。（二月の使い方５）#k2fact214

福間健二 @acasaazul

ビニールをかぶせた小さな丘。巨人になった気分で滑りおりるのは何を光らせて悲しいのか。だれかを守る。そのために両手をひろげて、この冬いちばんの寒さ。抱きあえなくても一緒にいてくれる人。明日着る服の相談をする。それぞれの左手が何を盗むかは相談できないが。（二月の使い方６）#k2fact214

福間健二 @acasaazul

かわいい動物。その本心はわからない。一度からっぽになって住人が入れかわった地区では、とくに。きのうの雪。どこかにそれを残している二人の受験生と一緒にいて、もうひとりを待っていた。低めの、交代で務めるナンバースリー。いい位置だと思いすぎないようにして。（二月の使い方７）#k2fact214

福間健二 @acasaazul

痛みが消えても終わっていない夜。夜を退治しても残る痛み。ちがう箱をもつ二人と一緒にいて決断できない寒い日の、室内。静かに打っていた心臓がテレビに反応した。ヒトラーの演説、その魔力について。再放送だ。気をつけなさい。二月はあっという間に終わるからね。（二月の使い方８）#k2fact214

福間健二 @acasaazul

どう片付けるか。いつもそう考える。どう活かすかではなく。きのう夢中になったこと。入って、しばらくいて、出てくる。そんなゲームの天才がめちゃくちゃにした部屋。笑い声の沼。ジェット機の通過する空。雪がぱらつく。だれの作る雪でもないのにその作者を求める。（二月の使い方９）#k2fact214

福間健二 @acasaazul

日は少し長くなってきた。夕方、低地の音と明るさのなかで思い出す。人の話を聞く。それが楽しかった。あまり有名でない人。どこかに行ってきた人。人気よりも実力の、ふろしき包みをもった風来坊。いつも意外なものが出てくる。ふとし、新しい焼酎。これはさっき届いた。（二月の使い方10）#k2fact214