ウォルフラム一味脱獄話

0
矢口@ @YaguchiSumi

やけに楽しそうなボスにソキルくんが「でも俺たしかにその爺さんと話はしましたけど触られてないっすよ」「脱出のどさくさに紛れたんだろう。とにかく奴がおおっぴらに仕事をしてるうちは動きにくくてかなわん。なんとかして始末をつけるぞ」ソキルくんとルーカスくんは開いてる部屋をあてがわれる

2019-03-13 10:04:23
矢口@ @YaguchiSumi

ベッドとソファで寝る場所を争う気力もなく無言でベッドに潜り込む二人「お前と二人で置いてかれた時はどうなることかと思ったけど」「こっちの台詞だ」ルーカスくんの折れた肩はボスの知り合いに会えてツケで治してもらっていたがまだ痛むようだ。眠くて高くなった体温を寄せ合う

2019-03-13 10:12:18
矢口@ @YaguchiSumi

次の日からルーカスくんは監視カメラや捜査の傍受で情報を集め、壁に貼った地図に情報が書き込まれていく。赤い糸を指で辿った先に自分の顔写真が並んでいるのを複雑そうな顔で眺めるソキルくん。ボス達は資金や武器調達に出掛けている。外出できないソキルくんは苛々煙草に火を付ける

2019-03-13 10:18:30
矢口@ @YaguchiSumi

カチカチと何度か試すが火が出ない「あークソ、安モンめ。ルカ火ぃくれ」「禁煙中だ。自分のジッポ持ってたろ」「ムショに置いてきちまったよ。気に入ってたのによぉ」ドサッとソファに腰を下ろし爪を噛むソキルくんを見て言う「お前の持ってるもので唯一洒落てたよな、名前入りのジッポなんて」

2019-03-13 10:23:44
矢口@ @YaguchiSumi

「母親の形見だ」「…悪かった」「は?ちげぇ。持ちもので唯一金目のものだったんだ。ヤクやり過ぎて子どもを殺しかけた親だ、同情なんかすんな」ルーカスくんが言葉を探してるうちにボスたちが帰ってくる。「進捗はあったか?」「いえ。これまでの事件と映像を解析しましたが行方は追えませんでした」

2019-03-13 10:29:30
矢口@ @YaguchiSumi

「それぞれの事件の内容も場所もあまり関連性はなく、次の現場も絞り込めません」「そうか」「ここまでは警察の見解です」「なにか掴んだか」「これを見てください」パソコンに表示されている映像をスマホの画面を通して見せるルーカスくん「ここです」最初の銀行強盗で腕を変形させた箇所を巻き戻す

2019-03-13 10:38:32
矢口@ @YaguchiSumi

手下④さんが呟く「腕の見え方が違う」「見え方?」「そう、カメラやレンズを重ねるごとに微妙にノイズが混じるんです。恐らく"変身"した際肉眼で見たときには気付かない本体とのごくわずかなブレのようなものがカメラを通すことによって増幅されるんでしょう」画質は悪いですがと更に別の映像を見せる

2019-03-13 10:46:23
矢口@ @YaguchiSumi

映像を撮ったものを更に撮ることを続けるとどうやら変形していた腕は装着型のアーマーであることが分かる「なるほど、他人には化けられても個性は使えないわけか」「そのようです」「でも何でそこまでして俺に化けたんすかね。奴は俺が生まれる前からムショに入ってたんでしょ?会ったこともないのに」

2019-03-13 10:52:10
矢口@ @YaguchiSumi

「ムショにいる間に恨みでも買ったんじゃないか?」「あり得る」「確かに」「大方喧嘩でもふっかけたか」「俺のことなんだと思ってんですか?!」脱獄のヒントは貰ったがそれ以外に交流はなく2,3度話をした程度だという「でもやたら俺を見て嬉しそうな顔してたんですよね。昔を思い出すって」

2019-03-13 10:55:26
矢口@ @YaguchiSumi

知り合いにでも似てたんですかね。とそこで話は終わり、ルーカスが顔が映っている映像を重ね撮りしそこから本人を探す作業に移り、ニュースでは新たに起きた事件の速報がテレビ画面を賑わせていた。

2019-03-13 10:58:51
矢口@ @YaguchiSumi

数日後、明け方徹夜で作業していたルーカスが机に突っ伏して寝ているのを発見するソキルくん。ルーカスくんの色濃くなった隈をそっと指でなぞる。もぞ、と身じろきするルーカスくん「…朝か」「起しちまったな。寝るならベッドで寝てこいよ」「あぁ…」寝ぼけ眼でソキルくんにキス「お前ほくろは?」

2019-03-13 11:10:32
矢口@ @YaguchiSumi

「は?何言ってんだ?」「ぐぅ」「おいここで寝んな!」ルーカスくんをベッドに放ってリビングに戻ると手下③さんが「いちゃつくなら寝室でな」と生温かいような呆れのような視線を投げてくる(キッチンにずっといた)「そういうんじゃないっす!!」そういうのである

2019-03-13 11:15:37
矢口@ @YaguchiSumi

朝食を食べて各自時間を潰しているとルーカスが起きてくる「すいません、俺待ちでしたか」「いや、気にするな」コーヒーをまずそうに飲むボス。「そういえばさっきほくろがなんとかとか言ったの、あれなんだよ」(それ言っちゃうんだと思う手下③さん)「?…あぁ、映像を見ていてちょっとな」

2019-03-13 11:21:19
矢口@ @YaguchiSumi

ボスも食いつく「見づらいんですが、犯人のソキルの顔、ここ」口元を指さす「ほくろがあるのが気になって」皆が映像とソキルくんの顔を見比べる「でも本当の顔の方にはないんです」別の画面に画質は粗いが本人の顔と街の監視カメラの映像が無数に映し出されている顔認証で探しているらしい。

2019-03-13 11:26:17
矢口@ @YaguchiSumi

「気にしすぎかも」「いや、お前が違和感を覚えたならなにか意味があるはずだ。なにせ俺達のなかで一番こいつの顔を見てるからな」って訳知り顔のボス。資金調達も武器の準備もほぼ終わって解析か次の犯行待ち。突然パソコンからアラートが鳴り響く「犯人らしき人物がカメラに映りました、近くです」

2019-03-13 11:29:45
矢口@ @YaguchiSumi

手下3,4「2ブロック先のコンビニだな」「ボス、尾けますか?」「ああ、くれぐれも気取られるな」「「了解」」部屋を出て行く二人。監視カメラを操作して後を追い続けるルーカスくん。少しして二人もカメラに写り込む。犯人が路地に入りカメラが切り替わるが誰も映らず遅れて二人が映る。犯人が消えた。

2019-03-13 11:36:34
矢口@ @YaguchiSumi

「撒かれました。どこへ逃げたのかさっぱり」戻ってきた二人にボス「こちらでも見ていたが、消えたように見えた」「カメレオンって言うくらいだから、壁にでも化けたんじゃないですかね」「バカお前そんな、…ボス」「俺達はとんだ間抜けだな、すっかり騙されていた」良く分かってない顔のソキルくん

2019-03-13 11:43:41
矢口@ @YaguchiSumi

奴の目的は「ソキルという名前で犯罪を続けること」のようだ。それを逆手に取る。「まずソキルが警察に出頭する」「ちょ「もちろん後で助けてやる。世間を騒がせている犯罪者が自首したとあればすぐニュースになる。偽物は焦るだろうな、本物が捕まっちまったらその後の犯行は全部模倣犯扱いだ

2019-03-13 12:56:23
矢口@ @YaguchiSumi

奴はどうにかしてお前を逃がそうとするだろう、そこを狙う。奴が接触してきたら抵抗はせずおとなしくついていけ。追いかけて捕まえる。何か質問は?「また今日のように消えられたら?」と手下3「ソキルには発信機を飲んでもらう」「の「奴がソキルを放っておいたらどうすんです?」

2019-03-13 13:07:35
矢口@ @YaguchiSumi

「絶対に現れる」どうやら何か考えがあるらしいボス。作戦通り発信機を飲み翌日近所の警察に出頭するソキルくん。監視カメラの映像越しに警官に圧死させられそうになってるのを見て「ずいぶん歓迎だな」と楽しそうなボス。拘置所に入れられ午後には州警察が身柄を引き取りにくるとの情報を得る。

2019-03-13 13:11:58
矢口@ @YaguchiSumi

警察署のカメラを監視し続けるルーカスくん「ほんとに来ますかね。来たとしても、ソキルを殺して成り代わろうとする可能性だってあるでしょう」「心配か?」「そういうんじゃないです」テレビには警察署に野次馬やマスコミが殺到している様子が生中継されている。映像の中のソキルが徐に顔を上げる

2019-03-13 13:25:35
矢口@ @YaguchiSumi

「なんだ…?」誰かと会話しているようだが近くに人はいない。触っていないはずの鉄格子が開き、ソキルが出入り口に近づく。「ッ!!」突然画面からソキルが消える。機械の故障でもカメラの不調でもない。「現れたか。発信機は」「起動してます。場所はまだ拘置所内…移動して、西に向かってます」

2019-03-13 13:25:35
矢口@ @YaguchiSumi

(ちなみにPCや武器は車に積んでルーカスくんとボスが乗っている。手下3,4さん達は警察署の近くでそれぞれ待機)「追うぞ、ヴィッゴは南から、バイヤットは北からだ、3ブロック先の交差点で確保する」移動する赤い点を追って車を走らせ、大きい交差点に差し掛かるが点は移動し続ける。

2019-03-13 13:57:30
矢口@ @YaguchiSumi

「下か、ここから西方向に下水道の出口は?」「山ほどありますが、っと、貸し倉庫と港がありますね、ソキルもその方向に向かってます」「倉庫か、厄介だな」案の定古い貸し倉庫が50ほど並ぶ一角で信号が途絶える。「しらみつぶしに探すぞ」散開しソキルを探し始める4人。

2019-03-13 13:57:31
矢口@ @YaguchiSumi

(抵抗っていつになったらしていいんだったか)ソキルはいくつか木箱があるだけの倉庫に犯人と二人でいた。背はひょろりと高く、ウェーブのかかったくすんだブロンド髪、眦がキッと上がり対照的に柳眉は下がり気味だ。歳は50前後のはずだが、とてもそうは見えない。この姿も借りなのかもしれない。

2019-03-13 17:05:53