みつきさん短文

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小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

そして大神の周囲に光が溢れた。 そこは見慣れたベッドの上だった。 結局あの人影は何だったのか、よく分からない。でも、分かった事もある。 「みんなといるこの瞬間を、大切にしよう」 悔いのないように。 おわり

2019-03-26 22:49:03
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

寝てる大神一郎の腕の中にそっとぬいぐるみを差し込んでみよう #horakawaii shindanmaker.com/769002 支配人室でうたた寝している所にひょっこりアイリスがやってきてジャンポールを抱かせてみるまで想像できた

2019-03-28 18:36:19
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

暖かさと寒さが数日おきに入れ替わる春。今日は朝から陽が顔を出し、街に明るさを与えていた。 桜の季節は間もなく。その花の開くのを、人々は今か今かと楽しみにしている。そんなうららかな午後、アイリスは中庭で日向ぼっこをして一人、時を過ごしていた。 空を飛ぶ鳥に手を振り、彼女は息を吐く。

2019-03-28 21:20:40
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

「アイリスも、空を飛んでみたいな」 腕の中のジャンポールをぎゅっと抱きしめる。 風に乗り、大空を自由に飛んでみたい。ジャンポールを掲げ、空を飛んでいるかのように手足を広げてみた。 「ジャンポールも飛んでみたい?」 聞いてみる。 「うん!」 応えるのは声色を変えた自分の声。

2019-03-28 21:29:13
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

それに少しの寂しさを感じ、彼女は口をつぐむ。 急に不安感を覚えジャンポールを強く抱きしめると、ある場所へ向かった。 中庭から目と鼻の先にある支配人室だ。 コンコン、ノックをして静かにドアノブを回す。僅かに開いた隙間から中を覗き込むと、アイリスはほっと胸をなでおろした。

2019-03-28 21:33:41
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

「お兄ちゃん」 呼びかける。 すぐにいつもの優しい声が返ってくる......筈だった。 「?」 返事がない。 アイリスは慌てて大神に駆け寄る。顔を覗き込むと、 「すぅ、すぅ......」 微かに聞こえる寝息。 どうやら書類に目を通している最中眠気に襲われてしまったらしい。

2019-03-28 21:36:58
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

こくり、こくりと頭が動く。大神の寝顔をまじまじと眺め、アイリスはふとジャンポールに目を落とした。 「一人じゃないよ、お兄ちゃん」 大神の膝の上にジャンポールを乗せ、彼女は部屋のソファにふわりと腰を下ろす。 「ジャンポールと一緒に寝るとね、とってもいい夢が見れるんだよ」

2019-03-28 21:41:07
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

ジャンポールが頷いた、ように見えたのは、大神の身体が動いたからだったか。アイリスは膝の上で頬杖をつき、大神を見守った。 ......どのくらい時間が過ぎたか。 いつのまにかアイリスも寝てしまっていた。日向ぼっこで陽を思い切り浴びたせいだろうか。ソファに横になっていた。

2019-03-28 21:44:39
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

その腕の中にはジャンポールの姿。 慌てて起き上がり辺りを見回すと、すぐに笑顔の大神が目に入った。 「おはよう、アイリス。いい夢は見れたかい?」 温かい紅茶の注がれたカップを差し出しながら、彼は尋ねる。 大神とジャンポールの顔を交互に見、アイリスは笑顔で大きく頷いた。 「うん!」

2019-03-28 21:48:27
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

ジャンポールと一緒に寝た上に近くに大神がいたのだ。最高の夢を見るに決まっている。 アイリスはカップを受け取りふうふうと息を吹きかけながら、夢の続きを楽しんだ。 おわり

2019-03-28 21:51:31
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

みつきさんには「最初は何とも思っていなかった」で始まり、「ああ、もうやってらんない」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば13ツイート(1820字)以内でお願いします。 #書き出しと終わり shindanmaker.com/801664

2019-03-30 15:06:49
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

最初は何とも思っていなかった。 俺と奴は同期で、切磋琢磨してここで学ぶ同部屋の男、としか思っていなかった。 だが奴は人懐っこく俺に話しかけてくる。 「栃木出身なんだって? どんな所?」 「剣術はどこで習ったんだ?」 「明日の休み、一緒に釣りにいかないか?」

2019-04-02 14:26:25
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

折角話しかけてくれるのをむげにするのも悪いし、今後の同部屋生活にも支障が出るだろうから、俺は奴と一緒に釣りに出かける事にした。 川でしか釣りをした事がないが、まあ大丈夫だろう。 入学してから初めての休みの朝、俺たちは近くの海岸へ向かった。

2019-04-02 14:32:28
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

道中も奴は色々話しかけてくる。だが、奴は自分の事は全然話さず、俺の故郷の事や数日過ごした学校の事などが話題になっていた。 「いきなり殴ってくるなんて、驚きだよな」 昨日受けた先輩からの鉄拳制裁。確かに痛かった。 僅かに赤さが残る奴の頰を見て、自分の頰もこうなってるのかと思う。

2019-04-02 14:43:03
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

そんな話をしているうちに海岸に辿り着いた。岩場が海に突き出している。 奴は慣れた手つきで餌をつけ、竿を俺に差し出してくる。 「あ、ありがとう」 そして二人並んで釣り針を垂らした。 釣りの最中も何か話をしてくるのかと思っていたが、奴は口を開かない。じっと波を見つめている。

2019-04-02 14:46:40
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

俺は少し不安を覚えた。何か気を悪くさせてしまったのだろうか。奴の横顔を盗み見るが、その表情からは何も読み取れない。 なんて声をかけようか、考えを巡らせるが俺は奴のように話すのが上手くはない。それに会って間も無く、どう距離を置けばいいかも分からない。 釣りどころではなかった。

2019-04-02 14:53:02
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

「大神、引いてる」 奴のその声ではっとなり、竿をあげる。小魚が水面を跳ねた。 しばらくの間、俺たちは無言で海と向き合っていた。 いつしか俺の頭の中の不安も消えていた。 太陽が高くなった頃、奴が久しぶりに声をあけた。 「メシにしよう」 懐から握り飯を取り出す。

2019-04-02 15:00:12
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

釣ったばかりの魚を焼き、握り飯を頬張る。 「美味い」 「だろう」 奴は嬉しそうに笑った。 「でも、何で俺を誘ったんだ?」 同部屋の仲間は他にもいる。 すると奴は少し恥ずかしそうに頭をかき、 「んん、それはだなぁ」 言い淀む。 「教えろよ」 俺は奴の目を見た。 すると......

2019-04-02 15:06:03
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

「お前の事が気に入った」 「は?」 「何故だかわからんが、気に入った」 「何だよそれ」 思わず吹き出してしまう。奴も笑っている。 「長いここでの生活だ、何かと頼れる奴がいるといいだろう」 「それはそうだ」 「だからな、何かあったら俺を頼れよ」

2019-04-02 15:16:23
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

胸を張って何を言い出すかと思えば......俺は何故だか恥ずかしくなってきた。 そんな俺の背を奴は叩き、笑いかけてくる。 (まあ、悪い奴ではないし......) そう、奴からは悪意など微塵も感じられなかった。それに、奴の言う通り頼れる人物が居ると居ないとではこの先違ってくるだろう

2019-04-02 15:20:18
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

......そんな出会いから何年が経ったか。 今日も奴は俺に話しかけてきている。 「今日の舞台もよかったなぁ〜」 目を閉じて、奴は瞼の裏に先ほどの光景を映し出しているのだろうか。 初日の幕が開き忙しいこの日、奴だって忙しい筈なのに時間を作って感想を伝えに来てくれた。

2019-04-02 15:24:36
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

いい奴すぎて、ああ、もうやってらんない。 おわれ

2019-04-02 15:25:21
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

大神一郎へのお題は『君に似合う花』です。 shindanmaker.com/392860

2019-04-03 19:38:53
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

アイスを買うとき、必ず二つ入りのものを選ぶ大神一郎 #しあわせのおと shindanmaker.com/789769

2019-04-03 19:39:44
小柳/美月/あおいろ @aoiromituki_kon

「はい」 「嬉しいなぁ〜、大神からアイスを貰えるなんて」 「一人で食べるよりも、二人で食べる方が楽しいだろ?」 「そりゃその通りだ」 「じゃ、いただきます」 はむっ 「おい加山、俺のを食べるな!」 「俺のを食べろ」 「何で互いが持っている方を食べるんだよ...」 「ふっふーん」

2019-04-03 20:17:21
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