- Baba_Yaga_kill
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山姥切長義よりこのアカウントを預かった歌仙兼定だよ。これは、主たちの世で『エイプリルフール』と言う娯楽の、一日限定刃事異動と聞き及んでいるよ。 僕には原稿を監視するなんて、風流ではないことは出来ないからねぇ。心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き綴っていこうと思う。
2019-04-01 07:21:34……お小夜、わかった、言うから、言うから。 コホン。本日アカウントを預かった身として、頂いたリプライにはなるべく返事をするとしよう。しかし僕にわかるのは、少しばかりの古典の事くらいさ。聞いてくれれば本丸の事は話せるが、刃間関係などは難しいね。
2019-04-01 08:14:24うれしくも友となりつつ埋み火の 明け行く空になほ残りける、と言うじゃないか。もっと傍においで。頑張り屋の主は、僕が暖めてあげよう。
2019-04-01 08:21:35世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし……桜というものがこの世になければ、開花情報に心踊らせ、美しいと喜び、散り際に心を痛めることもなかっただろう……君たちの言葉で言うところの、推しさえ居なければこんなにハマっていなかったのに、と言ったところだねぇ。
2019-04-01 09:21:34歌合(うたあわせ)という遊びが、あってね。和歌の作者が左右に分れて出題された歌題を歌に詠み、これをあわせ比べて優劣を競う文学遊戯のことさ。現代でも似たようなものがあって、ミュージカル本丸の僕たちが出場したと、主が興奮していたね……確か、紅白歌合戦、と言ったかな?
2019-04-01 10:21:35唐衣 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ……都に残してきた妻に宛て、詠んだ和歌だ。その時に在原業平が見たのが、カキツバタ……和歌の文頭を見てご覧。見事にカキツバタが織り込まれているよ。和歌の世界では折り句と呼ばれるこの技法、現代ではタテヨミと言うんだね。
2019-04-01 11:20:04春くれば宿にまづ咲く梅の花 君が千歳のかざしとぞ見る ねえ主。かざしではなく、今年も僕をたくさん使っておくれよ。 ところで大包平という梅はもう来たのかい?
2019-04-01 12:21:34春の夜の闇はあやなし梅の花 色こそ見えね香やは隠るる……君は知っているかい? 万葉集の時代、花と言ったら梅を指していたんだ。古今集のころには、桜が花として詠まれるようになるが、かおると言ったら梅だった……よい月の光に和らぐ風に心を躍らせる……そんな心で次の元号も過ごしたいものだね
2019-04-01 12:50:42言葉を借りた兼好法師の話をしようじゃないか。「徒然草」序段、一日中、硯に向かって、心の中に浮かんでは消えていくとりとめもないことを、あてもなく書きつけていると、(思わず熱中して)異常なほど、狂ったような気持ちになるものだ。どこか見覚えが……Twitterをしている主とそっくりだね
2019-04-01 13:21:34ひさかたの光のどけき春の日に 静心なく花の散るらむ……どうしてこんなに暖かで穏やかな日に、桜だけが静かでなく散ってしまうのか、と言う名歌だね。百人一首にも選ばれているよ。ひさかたの、と言う言葉が、光を美しく飾っていて、僕のお気に入りの和歌なんだ。和歌ではこの用法を枕詞と言う。
2019-04-01 14:21:34主の供をして、三日月どののご実家に立ち寄らせて頂いたよ。ご健在で何よりと伝えなければ。 pic.twitter.com/tTsIlN5QqA
2019-04-01 15:54:05雀のみ住みてささ啼く雀の巣 卵守るとは人に知らゆな、とは、北原白秋の歌だけれど、君の本丸では卵探しの祭りは行われるのかい? 南蛮では、はっぴーいーすたー、と言うのだと長谷部が教えてくれたよ。春の訪れを言祝ぐそうじゃないか。実に風流だねえ。
2019-04-01 16:21:35恋すてふ(ちょう)わが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか……恋してる、という私の噂がもう立ってしまった。誰にも知られないように、思いはじめたばかりなのに……恋の始まりが、人の口に立つのは容易い。主も想いを寄せるものがあるなら、話す人は選んだ方がいい。
2019-04-01 17:21:35上製本デボス箔押し蛇腹折り80山変形加工……これは必要経費だよ主…… pic.twitter.com/qG2ZAGdYHw
2019-04-01 18:12:46源氏物語というタイトルくらいは、主も聞いたことがあるだろう? 本邦最古の長編小説さ。源氏物語には五十四帖で七百九十五首もの和歌が詠まれている。これより他に、家集の『紫式部集』などに百首ばかりあり、約九百首が現存していることになる。才ある歌人だったのだろうね。僕も頑張らないとな。
2019-04-01 18:21:34駒とめて袖打ち払ふ陰もなし 佐野のわたりの雪の夕暮れ……藤原定家の和歌だね。この和歌には本歌取りという技法が使われている。本歌が旅の困難を率直に詠んだ歌であるのに対して、夕暮れの絵画的な叙情と侘しい心情を見事に歌っている。本歌も写しも素晴らしい。これが並び立たないことはないんだ。
2019-04-01 19:21:35さて、監査官どのも帰って来られたようだし、僕は退散しよう。原稿の邪魔をしてはいけないからね。またあう日まで、左様なら。
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