「なぜ、90年代の美少女ゲームは濃い絵柄で、今は薄くなったのか?」の考察(と、TVアニメ『YU-NO』2話の感想)
まず、前回の訂正から。「ADAMS」と書いてしまいましたが、「Auto Diverge Mapping System」の略なので、「ADMS」(「A.D.M.S」)が正しいです。訂正いたします。
2019-04-27 23:18:11もうひとつ、分岐を表現した「CGアニメ」は本編中に入っていました。OPと記憶が混同したのか、本編にないような記述をしてしまったので、こちらも訂正させていただきます。
2019-04-27 23:19:31さて、TVアニメ版『YU-NO』の放送タイミングは、絶妙だと思ってます。令和元年ということで、平成初期(西暦90年代)をふり返る意味で、20年以上前の『YU-NO』は、記念碑的な作品としてふさわしい。
2019-04-27 23:23:37フィクションで現在の作品だけ見ていると、時代の変遷を見失うし、今と違う表現の可能性も見えない。ので、昔の作品を見ると、昔と今の違いを通じて、時代を俯瞰して理解でき、次の時代も見えてくる。温故知新。
2019-04-27 23:29:08それだけだと抽象的なので、具体例で考えよう。原作のキャラクターデザインを検索などで見ると、アニメ(リメイク)版のキャラデザと、大きく違うことが分かるはずだ。
2019-04-27 23:30:42『YU-NO』原作のキャラデザを見て感じるのは、今のキャラデよりも「濃い」ということ。とくに眼の下まつげが濃いとか、眼が四角いとか、鼻の影が濃い、髪のハイライトがテカっている、といった部分が特徴的だ。
2019-04-27 23:42:55なぜ、平成初期、90年代のキャラデザは濃かったのか? いろいろな答えがあるだろう。たとえば、この時代の主流の絵柄が濃かったからとか。バブルだからイケイケの時代で、記号も豪華だったとか。
2019-04-27 23:45:01しかし、『YU-NO』に限らず、『EVE バーストエラー』や『同級生』など、同時代の美少女ゲームのデザインは、とくに濃いものが多い。だとすれば、なぜだろうか?
2019-04-27 23:48:15『YU-NO』原作は、「PC98」でリリースされている。このPC98環境では使える色数が「16色」と、きわめて乏しい。もちろん、アンチエリアシングなど、ドット絵の技巧を凝らして、不自由さは感じさせない。
2019-04-27 23:55:27しかし、「ドット絵で映える絵」というのがあるのではないか? たとえば、下まつげが濃いのは、色数が少なく、白目と肌色の境界の表現が難しいことが関係しているのではないか? 鼻の影や髪の反射も同様。
2019-04-27 23:57:09制作者が自覚していたのかもしれないし、市場で淘汰されたのかもしれない。詳細な過程は不明だが、いずれにしろ「色数の少ないドット絵で映える絵柄」だから、下まつげの濃い絵柄が昔のエロゲで流行したのでは?
2019-04-28 00:00:39逆に今はなぜ、あの頃の濃い絵柄が廃れて、薄い絵柄に変わってきたのか? これも流行だろうし、あるいは「平成が平らに成った時代だから」みたいに大ざっぱなイメージで答えることはできる。
2019-04-28 00:01:41すると、昔は「画面大/色数少」だったのが、今は「画面小/色数多」と逆になっている。これが、ゲームのキャラデザが、濃い絵柄から薄い絵柄に、流行が推移した理由のひとつではないか?
2019-04-28 00:05:3690年代の絵柄を小さなスマホの画面で見るとくどい。だから、線自体はシンプルにして、塗りの表現を加えた方がスッキリして見やすい。これはもちろん主観が混じるが、そんな極端におかしい感想でもないだろう。
2019-04-28 00:07:32ところで、画面の変化はゲームには直結するが、マンガやアニメでは関係ないと思うかもしれない。しかし、Webマンガや動画サイトがあるから無関係ではない。また、別の要素がある。
2019-04-28 00:08:50たとえば、コミケが普及して描きやすい絵柄が普及したとか、アニメの本数が増えて描きやすい絵柄が普及したとか、そういうメディア環境の変化が、絵柄に影響しているのではないか?
2019-04-28 00:09:42逆にもっと昔を考えれば、劇画の強い線はアナログのペンならではの表現だった。こういう視点で見ると、さらに今後、AIがイラストの絵柄を変えていくかもしれない。
2019-04-28 00:11:00絵だけがゲームのすべてではない。音はどうだろう。80年代頃から急速に発達してきた電子音楽のミニマルな印象は、90年代後半に流行ったセカイ系作品の神秘的な雰囲気にマッチする。
2019-04-28 00:14:22