オンユアマーク〜陽だまりでお昼寝〜

うさぎ🐰ときどき妄想してました @eitars_h

26 今のお母さんはずっとその時の不安や寂しさを引き摺ったまま 隆ちゃんには話せない きっと奥さんを思って辛くなるから 奥さんに勝てないって事を突きつけられてしまいそうだから… #オンユアマーク

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27 ｢不安しかないよ…卒業したって…」 大学にはここから通う せめてお父さんがもう少ししっかりしてたら お母さんもこんなふうにならなかったかもしれないのに クラスメイトはみんな口を揃えて｢親なんてみんなそうだって」って言う 本当に？ ホントもう…わからないよ #オンユアマーク

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28 イライラモヤモヤするよー 朝からまたお母さんの意味不明な束縛！ ほんっとーに、どこの親もこんなふうなの？少なくとも隆ちゃんはいいお父さんに見えるよ？ 私と隆ちゃんのことは私たちで決める お母さんなんてお父さんのことだけ考えてればいいじゃん #オンユアマーク

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29 ｢ねえ、宝ぁ…早く卒業したいね…｣ 放課後、教室の1番後ろの席で私がそう呟いた時 え…？ ｢え…宝今なんて？｣ 〈だから…〉 宝はキョロキョロと辺りを見渡す 〈妊娠…したかも〉 ｢にっ…！！｣ 大きい声を出しそうになって口を塞いだ #オンユアマーク

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30 “嘘でしょ？” “嘘やったらどんなによかったやろ…” “…相手は！？たぁくん？” “当たり前じゃん” 私たちはおでこを付き合わせてヒソヒソ声で会話する “隆ちゃんには？” “まだ…だって…” “たぁくんは知ってるの？” “…うん…昨日話した…” ああ…それで、帰りが遅くなったのか #オンユアマーク

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31 ｢…宝、大丈夫？｣ 〈…わかんない…〉 泣きたいのを我慢してるみたいな宝の肩に手を置いた ｢たぁくんはなんて？｣ 〈驚いてた…〉 ｢うん…｣ 〈とりあえず一旦考えるって〉 考えるって… それじゃ宝が不安じゃん！ #オンユアマーク

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32 ｢とにかく、隆ちゃんに話そう？｣ そしたら何とかなる気がするじゃん 〈でも…パパなんて言うか…〉 隆ちゃん…びっくりするだろうな びっくりして、どうするのかな？ ホントに、なんて言うんだろう… そう考えたら、宝の不安が私にもようやく伝わった #オンユアマーク

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33 ｢宝はどうしたいの？｣ 〈私…〉 ｢うん…｣ 〈たぁくんが好き〉 ｢…うん｣ 〈たぁくんの子供なら産みたいと思う〉 ｢…う、うん…｣ たぁくんはなんて答えるんだろう #オンユアマーク

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34 そもそもたあくんは避妊しなかったのか？ そう聞くと 〈なんか、１回だけ気持ちくて間に合わなくてナカに…//〉 ｢！！！///（鼻血）｣ そ、そういうもんなの？！/// 〈羽未にはまだわかんないか〉 ｢うるさいよ！//｣ 私だってそのうち隆ちゃんとっ…隆ちゃんんん/// #オンユアマーク

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35 ダメだ…考えただけで鼻血でそう← ───宝… 色白な宝の肌が更に青白く陰って なんか… なんだか宝が、宝の家で見た宝のお母さんの遺影と重なった #オンユアマーク

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36 ｢ねっ、やっぱり隆ちゃんに話そ？私は宝の味方だよ！宝がたぁくんの赤ちゃん産みたいなら全力で応援する！一緒に説得してあげるからっ…｣ 宝の手を取ると、宝は弱々しく笑った 〈パパ許してくれるかな…〉 ｢大丈夫だよ！きっと、隆ちゃんならっ…｣ きっと… #オンユアマーク

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37 うん、きっと大丈夫… 〈ありがとう、羽未〉 宝は明らかにいつもの彼女とは違ってて はにかんだ様な儚い笑を浮かべた 〈でも、1人で大丈夫。ちゃんと自分でパパに話してみる〉 宝… ｢──そっか。うん、わかった」 宝がそう言うなら、私は黙って見守ろう #オンユアマーク

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38 それから 2日後の日曜日 私と隆ちゃんはデートの予定だった “隆ちゃんおはよ！今から出るね” 宝のこと気にならないと言えば嘘になる でも、まず隆ちゃんに会いたい 鏡で最終チェックを終えて隆ちゃんにLINEをした #オンユアマーク

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39 ん…？ 既読はすぐついたのに返事がない ……ま、いっか 待ち合わせは隆ちゃんちだし 玄関で靴を履いたところでLINEが鳴った “ごめん…今日用事できてん。 また今度にしてもええ？” …用事？ でも、私の方が先約じゃない？それより大事な用って何？ #オンユアマーク

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40 私はそのまま玄関を出て隆ちゃんちへ向かった インターフォンを押す （………） 応答がなくて今度は玄関の扉を叩いた ｢隆ちゃん！」 何回か呼ぶとガチャっとドアが開く 『…羽未…今日は無理って…』 ｢隆ちゃんっ…でも…。 ───っ」 #オンユアマーク

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41 隆ちゃんの向こうに隆ちゃんの靴ともうひとつ男の人の靴… もしかして たあくん？ ｢…お客さん…なの？」 少しだけ声が掠れた 隆ちゃんがちょっと白んだ顔で気だるそうに前髪をかきあげた 『ごめん…大事な用事やねん…』 隆ちゃんの声もちょっと掠れてた #オンユアマーク

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42 そっと額に手を伸ばす それを隆ちゃんは遮った 手は空中で行き場を失くす… ｢わ…わかった…」 大丈夫 わかってる 今日は無理なんだ… 隆ちゃん… #オンユアマーク

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43 『後で連絡するから』 隆ちゃんは辛い？ ｢うん…」 宝のこと怒ってる？ 『ごめん…』 しょうがないよ…宝の一大事だもん ｢…大丈夫」 でもなんか …怖かった 私の知らない隆ちゃんみたいだった #オンユアマーク

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44 ジリっと階段を後ずさる これ以上は息苦しくて 私には耐えられなかった ｢じゃあ、帰る、ね…」 『───ん』 すぐに私に背を向ける隆ちゃんを見送って茫然とフェンスに額を付けた #オンユアマーク

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45 ｢宝…」 頑張ってって言う気持ちと 隆ちゃんが心配な気持ち 持て余して叫びたい 気になって気になって ───そうだ、錦戸先輩！ 彼なら何か聞いてないかな？ 宝とたあくんのこと #オンユアマーク

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46 たあくんは大学行ってお父さんの経営する飲食店を継ぐって言ってた 錦戸先輩とも付き合いは続いててよく遊んでるって 私は携帯を取り出した LINEのグループを開いて先輩のトーク画面にして 指が止まった ───こんなの だめじゃん…… #オンユアマーク

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47 とぼとぼと歩いて、家の前を通り過ぎて …映画、見ようかな 隆ちゃんと見る予定だったけど チケット買っちゃってるし無駄にしたくないし 隆ちゃんが無くしたらあかんからって私に預けてたから、幸か不幸かここにチケットはある 駅に向かって電車に揺られた #オンユアマーク

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48 気持ちは隆ちゃんちに置いてきた 惰性で動いてるって感じ 少しでも考えたら不安の波にさらわれそうだった 映画館で飲み物とポップコーンを買った 私の前に並ぶカップルがイチャイチャしてて 思わず舌打ちしちゃいそうで #オンユアマーク

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49 …違うっ 別に宝のことは宝のことで 私と隆ちゃんが喧嘩したとかそんなことじゃないし 別に不安になることなんて ｢ぁ…すみませ…」 座席に向かう階段でつまづきかけた私を支える手に声をかけた #オンユアマーク

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50 え…！ ｢…先輩？」 (…？羽未ちゃん？！） 驚いた所で場内が暗くなる （席どこ？足元気をつけて） 耳元で先輩が囁いて手元のチケットを確認してくれた …優しい… 先輩…変わらないな… ぼーっとしながら先輩の誘導に従って 隆ちゃんと座るはずの席へついた #オンユアマーク