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佐藤誠市氏によるナムコにまつわる話・「ぞうさん」編

「ボスコニアン」の企画をはじめ数々のナムコのゲーム作品に関わった佐藤誠市氏のツイートのまとめです。今回はナムコ内部で使われていた言葉「ぞうさん」について改めて考察されています。
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佐藤誠市 @SugarSeisan

ここ数日私の過去のツイートにいいねとかがぽつぽつついていた。気になって調べたら見城さんがナムコでは昔処理落ちのことをぞうさんと呼んでいたというツイートに端を発していました。一連のスレッドの中に過去に私がつぶやいたツイートがっ紹介されていたからの様です。

2019-05-21 10:21:14

※ここで言及されている見城(見城こうじ)氏のツイートはこちらです

見城こうじ @KenjohKohji

有名な話だと思うけど、昔ナムコでは処理落ちのことを「ぞさる」って言ってたんだよね。「象さんする」で「ぞさる」。何だよそれwって思うんだけど、本当にみんな使っていた。活用は、ぞさらない、ぞさります、ぞさる、ぞさるとき、ぞされば、ぞさろう、ぞさった。いや、ぞさろうは言っちゃあかん。

2019-05-14 21:14:36

※また、「過去につぶやいたツイート」については以下にまとまっておりますが、あわせて該当箇所を抜粋しておきます

まとめ 佐藤誠市氏によるナムコ80年代ゲーム作品についての証言 「ボスコニアン」の企画をはじめ数々のナムコのゲーム作品に関わった佐藤誠市氏が、多根清史「教養としてのゲーム史」をきっかけとして、主に同書内で取り上げられているゲーム作品を中心にさまざまなお話をツイートされています。 大変貴重なものであると思いますので、一部注釈など入れながらまとめていきたいと思います。 ※この後の話は新規にまとめを作成しました→ http://togetter.com/li/530826 141618 pv 352 95 users 107
佐藤誠市 @SugarSeisan

『ボスコニアン』での基板変更で発想の大幅変更が無かった件で弁明させてもらうと、目に見えるところでの変更が少なかったということ。スタージェネレーターを2個使いスクロールスピードを変化させ奥行きを出したところが一番大きなところ。スプライトの数は同じで6個のまま、自機と敵5機となる。

2011-08-18 11:15:31
佐藤誠市 @SugarSeisan

最大の変化はCPUが2個使用されたことか。画面表示の切り替えは60分の1秒で行わなければならないが、処理速度が間に合わなかったのである。今では『処理落ち』などという言葉が使われるが、昔会社では『ゾウさん』するという言葉が使われていた。この言葉の始まりが『ボスコニアン』である。

2011-08-18 11:19:08
佐藤誠市 @SugarSeisan

『ボスコニアン』で自機を追いかけてくる細長い敵が5つ連なり処理落ちで象の鼻のように動く様をプログラマーが「ぞうさんぞうさnお鼻が長いのね」と歌っていたのが始まりだと思う。そういうこともありCPUを二つにして処理落ちを防いだのである。仕様を詰め込み過ぎるのは私の悪い癖であった。

2011-08-18 11:24:12

※ここまで

佐藤誠市 @SugarSeisan

そのスレッド内にセガのトランキライザーガンの象の動きを語源とするものがありました。私としては初耳なのですがよく考えてみるとひょっとしたらそれもあるかなと思いなおしました。私の説が定説となってしまうのも怖いのでこの説について考察しました。

2019-05-21 10:24:28
佐藤誠市 @SugarSeisan

まずトランキライザーガンの象の動きを見てナムコの開発全員が処理落ちをぞうさんと呼ぶことがありうるのかです。そもそもトランキライザーガンを全員が知っていたのかという話になります。当時のナムコの開発社員といえども全員がビデオゲーム好きとはいえませんでした。

2019-05-21 10:28:10
佐藤誠市 @SugarSeisan

ビデオゲームの企画をやっていた私たちのグループでもそれほど好きというわけでもない人はいました。要するに自分から進んでゲームセンターに行ってはやりのゲームをやるという意味です。仕事としてはとりあえず知っておきたいなという感じでゲームをやっている人もいました。

2019-05-21 10:31:42
佐藤誠市 @SugarSeisan

あの頃企画ではピンボールの方が人気があったりしました。上司の横山さんや岩谷さんも無類のピンボール好きで市場調査が終わってゲームセンターで解散となるとそれぞれ好きなゲームをやるのですが、ピンボールで締めるということがよくありました。

2019-05-21 10:34:38
佐藤誠市 @SugarSeisan

それがわかるエピソードとして横山さんや岩谷さんが企画したジービー・ボンビー・キューティキューなどブロック崩しのゲームにピンボールの要素を入れ込んでました。ギャラガのデュアルファイターもピンボールのマルチボールからヒントを得たという話も有名だと思います。

2019-05-21 10:42:17
佐藤誠市 @SugarSeisan

それがプログラマーとかハードウェアエンジニアとなるとますますゲームを知らないという人が増えてきます。ゲームは嫌いだというゲームプログラマーも実在しました。というのも我々80年入社以前のナムコ社員というのはゲーム会社として入社した人が少なかったのです。

2019-05-21 10:45:24
佐藤誠市 @SugarSeisan

1970年代後半はオイルショックの所為で就職難の時代でした。それで贅沢は言えない入れるならばどこでもということでナムコに入社した人も多かったようです。ナムコで何を作っているのかもあまり知らずに入ったという人もあったようです。

2019-05-21 10:48:33
佐藤誠市 @SugarSeisan

そういう人たちにセガのトランキライザーガンの象の動きに似ているねと一人二人が言ったとしてもみんなの共通認識になるでしょうか?ということでこの説を一笑に付すこともできるのですが、そうでもない事実を思い出してしまいました。

2019-05-21 10:51:40
佐藤誠市 @SugarSeisan

なにせ40年近くも前のことなのではっきりした記憶はないのですが当時ビデオゲームの開発を行っていた多摩川分室というところにトランキライザーガンの筐体があったような気がしてきました。そうすると話は違うぞということになります。これは共通認識になりうると。

2019-05-21 10:54:55
佐藤誠市 @SugarSeisan

なぜナムコの開発に他社製品があるのか疑問に思われる方もいるかもしれませんが、たぶんどのメーカーでも行っていたことだと思います。ハードウェアやソフトウェア(ゲーム内容)で気になる他社製品があれば開発部調査を行うために他社ゲーム機を入手します。

2019-05-21 10:58:15
佐藤誠市 @SugarSeisan

ハードが気になって分解して調べるとなると開発部の予算で基板を買ったりしますが、単にゲーム内容を調べるだけならロケに回すのを一週間だけ待ってもらって営業部から借り受けたり、他社の製品を買い他のロケに販売する前に見せてもらうなどあったと思います。

2019-05-21 11:01:43
佐藤誠市 @SugarSeisan

珍しい例ですが法務部の予算で買ったものが開発部に回ってくることもあります。著作権侵害や特許侵害を疑われる他社製品を調査するためです。ギャラクシアンかギャラガか忘れましたが著作権侵害を疑って筐体ごと買って内容を調べたことがありました。

2019-05-21 11:06:43
佐藤誠市 @SugarSeisan

結局著作権侵害とはならないだろうという結論になったのですが、其の筐体の跡片付けです。資産となれば税金がかかるだけなので除却処分ということになりました。その筐体はどういうわけか私の6畳一間の部屋にあり当時の彼女にやらせてあげたのも懐かしき思い出となりました。

2019-05-21 11:11:19
佐藤誠市 @SugarSeisan

その筐体も引っ越しの時に重いしかさばるので誰かにもらわれていったのですが、誰にとか全然記憶がありません。その他ナムコが通信ゲームを出したときに取った特許を侵害しているのではと他社製品を買ってリバースアナリシスを行っていたとかもありましたが、生々しいので省略。

2019-05-21 11:15:25
佐藤誠市 @SugarSeisan

そこでトランキライザーガンの話に戻ると、筐体が開発部にあってもおかしくなく、同じ画面を見て象さん象さんと共通認識をみんなで持つこともおかしくはありません。ただ処理落ちのことをトランキライザーの象の挙動と結び付けられるのか疑問は残ります。

2019-05-21 11:19:31
佐藤誠市 @SugarSeisan

そもそもトランキライザーガンに処理落ちという現象はあったのでしょうか?私の中では無かったように感じます。眠らせた動物をハンターが引っ張って外周にいるトラックに積み込むという使用だったと記憶しています。特に処理落ちをするような仕様ではなかったと思います。

2019-05-21 11:22:09