《福島型事故の特徴》

六等星 @rokutousei3

特徴26 私はあの時、どうしてとテレビカメラの前で国民に向かって「逃げろ！」叫ばなかったんでしょうか。私はある先輩政治家からこう諭されました。国民を逃がしたら日本は終わるよ。耐えしのいだら、またニホンは必ず復興できる。第二次世界大戦で日本人が何人死んだか知っているだろう。

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特徴27 焼け野原から我々の世代の政治家は日本を復興させたんだ。その私がニホン国総理としての心構えを伝える。国の命は国民の命より重い。ゆめゆめ優先順位を違えないように。たとえ一つの県の県民を全員犠牲にしても、ニホン国の命を守る、それが総理大臣になったキミの使命だよ

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特徴28 私は悩みました。私は元々市民活動家で人の役に立つ政治家を目指していました。長崎の干潟で魚が死ぬことに地元の人達と一緒に心を痛めたり、エイズ問題に切り込んで被害者のみなさんが涙を流して喜んでくれるのをみていると、本当に政治家になって良かったなあと熱い気持ちになりました

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特徴29 その私が国の命のために国民の命を犠牲にするよう迫られたのですから、もはや当時は正常な精神ではいられませんでした。私の脳裏に三陸海岸の美しい風景と東北で暮らす素朴な農家の方の顔が浮かんで離れませんでした

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特徴30 私がニホン国の存続を優先させたことで、何百万人のニホン人を犠牲にしたことは、永遠にニホンの歴史に残るでしょう。世界史においても、ヒットラーと同じ扱いで私の名前は永久に記録されるでしょう。

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特徴31 取材に来た私はカンナオトの潔く淡々と当時を回想する彼に違和感を感じていた。彼は謝罪を口にしているようでいて、どこかで自分を悲劇のプライムミニスターにしようとしているのではないか。

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特徴32 私たちの間で暫く沈黙があった。彼は沈黙が堪えられなくなったのか、自嘲気味にこう言った。私はフクシマ原発にたてこもり、そこで被爆して死んでいた方が、しあわせだったかもしれません。

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特徴33私は彼の罪は、もしあるのだとしたら、死後も永らく償うべきものだろうと考え、庭に目を移した。山頂から見下ろせる生い茂る木々の深緑と高い青空は、ここがもはや魚すら食べられないニホン国だということをしばし忘れるほど透き通っていた。