イルシス氏による、天気の子トロントレビュー和訳

イルシス（雪星／イル） @Irrsys

Toronto Review: With its uncompromising vision, 'Weathering with You' is Makoto Shinkai's best film awardswatch.com/toronto-review… 海外発のレビューではおそらく初だと思うので、少し和訳してみたいと思います。

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「トロントレビュー：妥協のない視座で紡がれる「天気の子」は、新海誠の最高傑作」　ミナ・タクラ ”新海誠は、爽やかで型にはまらないメッセージを驚くほど美しく濃密なアニメーションと共に届けてくれた”

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「天気の子」は昨今の、特に米アニメの風潮からすると非常に興味深いタイミングにやってきます。米アニメ会社は、政治的に正しいメッセージや、世界を救うというテーマ、自分を信じ、他者を救うといった、ポジティヴで重要なテーマを強調する一方、経済的利益のため、議論を呼ぶ作品を制作していません

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ピクサーグループが製作する作品は、子供がアニメの真のターゲットであるという概念に依拠し、「子供達に向けて世界について―高潔で善意に満ちた―アドバイスをアニメに込めるように」という市場の要求に従って作品を制作し、その作品は人々の共感を呼び、各州や世界の国々で暖かく迎え入れられています

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しかし、子供世代に迎合せず、キャラクター作成（ディズニーヒロインやアメコミヒーローのような作品を超えるキャラクター化のこと？）よりも大局的で壮大なメッセージを選び、小難しい物語にするのではなく、独特な世界観で作り上げられた特徴ある世界とメッセージとを何より重視した本作は、

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この物語が持つ、「伝統的な物語の定型や慣用句に反抗する」という濃密かつ深層的な文脈に沿った、完全に理がかなったものとなっています。

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これは、特に「君の名は」のファンには共感を得られないかもしれませんが、妥協のないビジョンと、一見単純に見えてその実複雑なストーリーを持つ「天気の子」は新海誠監督の最高傑作であると思います。どちらの映画も、傑出した世界観とユニークな物語が交わることで非常に新鮮で共感を与えてくれます

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しかし、「君の名は。」が愛と運命についての抒情的な物語であるとすれば、「天気の子」は単なる愛の物語に留まらない、多様な物語に満ちています。 ある面では、この物語は天気を変えるある女の子―日本文化にいう「晴れ女」―との恋に落ちる少年の物語です。これは新海監督の他の作品に似た構造です

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しかしより深く分析すると、これは愛のためであるかどうかに関わらず、私たちが直面する選択についての物語です。新海監督は、個人主義、無条件の愛、自己の幸福か、自己犠牲によって世界を救うかといった、いくつかの興味深いテーマを扱い―

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―更に興味深いことに―愛に触発された利己主義と、愛を犠牲にした厳しい現実とが衝突するという可能性を描きます。 愛を諦めて手に入れる完璧な世界を―あまりに無情で、問題だらけの世界を―救う必要はありますか？ 今ある現実で最善の選択を選びますか、それとも現実を変えようともがきますか？

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新海監督は生活費用が高く、冷たい都市である東京を舞台に、気候と感情の間のつながりを描きます。非の打ち所のない世界観の構築を構築し、自らの居場所を探す者、喪失に向き合いながら愛と幸福を探す者、無私無欲な者、厳しい選択と闘う者を提示します。 多くの人がこの映画を気候変動と結び付け、

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映画のスタンスについて議論するかもしれませんが、新海監督は決して政治的声明を表出したり、ましてや映画の登場人物を犠牲にして強力なメッセージを発しようとしませんでした。彼は、登場人物にとって等身大の選択をさせ、物語をシンプルに保つことで現実逃避しがちな観客に響く物語を生み出しました

イルシス（雪星／イル） @Irrsys

彼のこれまでの作品と同じように、この映画は計算された適度なエモさ、コメディ、音楽と共に驚くほどの美しさで私たちの知らなかった世界へ誘ってくれます。そして映画の最終盤に差し掛かる時、それらが一気に急上昇して、最高潮へと達するのです。

イルシス（雪星／イル） @Irrsys

評決：すでに象徴的な作品となった「君の名は。」よりも濃密で、重層的になった映画。新海監督は本物の、説得力がある、美しく爽やかな映画を作り上げ、私たちに語り合うきっかけを生み、観客を新たな視点に導くでしょう。 グレード：Ａ－

イルシス（雪星／イル） @Irrsys

（このレビューは44回トロント国際映画祭より書かれました。「天気の子」は2019年中にGKIDS Filmより限定リリースされる予定です）