シュルツ伝について

シュルツ伝の訳者による『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』(700ページ6480円9/28刊行)に関するツイート。
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古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

ずっと読み続けているのにまだ全体の半分(400頁)にも達していない。 秋に出る予定の渾身のノンフィクション、わたしが10年をかけて訳した作品『シュルツ伝――漫画「ピーナッツ」を創った男』(仮題)のゲラです。このゲラと何年ものおつきあい。漫画もたくさん入っています。とにかく分厚いの!

2019-07-16 01:58:39
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

チャールズ・シュルツが漫画の犬をスヌーピーと名付けたのはなぜか、チャールズ・ブラウンはどうしてルーシーに辛辣なことを言われるのか、ライナスはどうして安心毛布を持っているのか。すべての謎はシュルツの経験から生まれたものだった。腕のいい理髪店主の息子がどうして漫画家になったのか。

2019-07-16 02:03:25
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

あらゆる事実の積み重なりを、多くのパズルのピースを、著者のデイヴィッド・マイケリスはひとつひとつ手に取ってはしかるべき場所に置いていく。 その見事な手つきと理性的な分析に、わたしは脱帽に次ぐ脱帽を味わったのでした。訳せてよかった。 すべての漫画好きが見逃せない作品だと思います。

2019-07-16 02:06:14
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

この本、いろんな事情で出版取りやめになりかかったんです。最初の小さな版元が資金調達ができずに手に余るようになり、私はその後で出版してくれるところを探して苦労しました。 でも! 数年前に、出しましょうと言ってくれた版元がありました!  その時はもう、「命預けます」と思いました。

2019-07-16 02:15:18
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

この作品は、単なる漫画論や、漫画家論ではありません。 表現とはなんなのか。生きていく上で表現するとはどういうことなのか。 日常生活のなかで自分の場所を作るとはどういう意味があるのか。 といった芸術にまつわる問題を扱いつつ、ひとりの孤独な人間の人生に迫って行きます。

2019-07-16 02:21:11
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

世界中の老若男女に愛される作品を作り出し、スヌーピーをはじめとするピーナッツのキャラクターが載った製品を世に出し、前人未踏の記録を作り、名だたる富豪となった漫画家が、実はどれほどの孤独を味わっていたのか、その孤独を理解していた人がどれほどいたのか。それが本書で明かされます。

2019-07-16 02:26:09
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

実にスリリングかつ冷徹なまでに客観的な、『チャールズ・シュルツの評伝』です。

2019-07-16 02:37:49
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

あとがきを書くのはこれから。でも。 この10年の思いをきちんとぶつけられるかどうか。 この10年のあいだに父も母も他界したので、もう本書の出版を心から楽しみに待っていてくれる身内はいないけれど、でも多くのシュルツ・ファンはきっと楽しみにしてくれているはず、と妄想している。

2019-07-16 02:41:28
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

10年かけて良かった、と思うことのほうが多い。 シュルツの原画をこの目で見られたこととか、チップ・キッドが監修した画集を見られたこととか。

2019-07-16 02:47:15
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

そしてこれの著者のデイヴィッド・マイケリスが、シュルツの評伝を書く前に、初めて書いた評伝が、アンドリュー・ワイエスの父親のものだったこと。マイケリスはアメリカを代表する画家の父親について書き、次にアメリカを、20世紀を代表する漫画家について書いた。それだけでもすごいと思う。

2019-07-16 02:50:48
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

ワイエス父の評伝もすごい作品なので訳せる時間と余裕があれば訳したいとは思うけれど、わたしにはそれほどの時間が残されていないようにも思うので、芸術表現と評伝に興味がある方で、訳したいと思う方がいれば、是非訳してください。応援いたします! 是非! これを世に出してくれ!!

2019-07-16 03:09:18
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

「単なる漫画論や漫画化論」というのは、表現と人間に迫っていないものについて述べています。シュルツの伝記といわれているものはすべて読んでいますが、これはすべてシュルツ自身が検閲したものでした。死後、シュルツ夫人の許可を得て資料を集め、漫画にアクセスして書かれた作品は皆無でした。 twitter.com/smallboxman/st…

2019-07-16 04:27:52
Hiroshi Odagiri @smallboxman

いい本だと思っているのはわかるけど、こういう言い方はしないほうがいいんじゃないかな。「単なる漫画論や漫画家論」てなんだかわからないし、それらがダメなものだといっているように読める。シュルツの評伝に限っても翻訳されてるものだけで複数あるが、この本以外は「単なる」になるのだろうか。 twitter.com/middymiddle/st…

2019-07-16 04:21:27
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

シュルツ本人がチェックされているものは、本人に都合のよいもの、世界的漫画家シュルツ像にふさわしい神話的逸話などが全面に出されています。 シュルツ崇拝者は、都合の悪いことはなかなか書けません。でもこの本は最初の結婚の破綻や理由、再婚、それが作品に及ぼしたものが書かれています。

2019-07-16 04:33:02
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

作家についてどこまで調べて書くかというのは書き手の度量や情報へのアクセス次第で変わります。でも書く対象への敬愛なくしては深いところまで書くことはできません。無批判な没入ではなく、ひとりの表現者への情愛を込めた、優れた評伝を書ける人はめったにいません。この作品はその稀有なものです。

2019-07-16 04:36:27
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

訳者あとがき、ようやく書いて送った。四〇〇字詰めで二十五枚になった。これだけは言いたい、と思ったことだけで二十五枚も。これから減らすのはかなりしんどい。この十年間で溜めておいた資料を読み込むのに三日間かかった。 がんばったよ~。

2019-08-02 01:06:53
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

『チャールズ・シュルツ伝』、最高の評伝ですよね。人間シュルツをここまで深く評したものはこれまでになかったですからね。漫画が彼の人生の表現だったこと、漫画に託したものがはっきりとわかります。 あと少し。っていっても100ページ以上ありますね。内藤さんがんばれ。 twitter.com/hironium10/sta…

2019-08-11 20:55:17
hiroshina @hiroshina2021

『チャールズ・シュルツ伝』のゲラ、500ページを超えた。あと少し。それにしてもこの本、面白すぎる。今日の気分。 「しあわせはヴァン・モリソンを聴きながらお酒を片手にゲラをよむこと」

2019-08-11 17:36:26
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

この最高の評伝は、亜紀書房から9月末に刊行されます。長い年月をかけて訳したものです。本当に大変だった。でも、それだけの時間をかけなければ訳せないものでした。芸術を詳しく知る、人と作品との繋がりを知る、という点ではとても勉強になりました。だから、「幸せとはこの作品を訳せたこと」。

2019-08-11 21:38:08
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

ついにAmazonの予約が出た! 9月28日刊行。『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』(古屋訳 亜紀書房)700ページ超。そしてお値段が――6480円(税込み)だ! だ! だ! 安い、安すぎる! お得すぎるじゃないですか。 amazon.co.jp/dp/4750516163/…

2019-08-23 20:23:25
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

しかも二段組み。漫画多数。口絵もたっぷり。 申し分のない完璧な評伝。自画自賛すぎるかもしれませんが、この本の刊行が危ぶまれたことが何度かあったので、こうして出版されるのは夢のようです。亜紀書房の太っ腹な編集担当者には、もう頭があがりません。 しかもすごい本を作ってくれました。

2019-08-23 20:28:19
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

その昔、エドワード・ケアリーの『望楼館追想』が刊行されたとき、「これはわたしの代表作になるかもしれません」と言ったら、故中村保男先生が、「何を言っているんです、これからですよ。そんなところで満足してちゃいけません」とおっしゃった。

2019-08-27 20:53:26
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

つい先日、『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』がわたしの代表作になるかもしれない、と言ったら、担当編集者に同じことを言われた。 そういう言葉に励まされながら進んでいくんだなあ、とこの本の著者の「謝辞」を見直しながら思った。大勢の人に背中を押されて進んでいくんだ、と。

2019-08-27 22:12:34
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

その謝辞は、四百字詰め原稿用紙にして、20枚ほど。とても長い。こんな長い謝辞は初めて。この本が作られるまでに著者がお世話になった人々のお名前が書かれていて、著者の感謝の気持ちが伝わってきた。評伝を書くためには人に取材することがすべて、といってもいいかもしれない。

2019-08-27 22:46:39
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

チャールズ・シュルツはベートーヴェンが好きだっけれど、わたしはこのゲラをチェックしているときずっと、エレーヌ・グリモーのラフマニノフのピアノ協奏曲を聴いていた。そういう気分だった。

2019-08-27 23:29:00
古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』(デイヴィッド・マイケリス 古屋美登里訳 亜紀書房)の書影がAmazonで出ました! どうぞよろしくお願いいたします。これは本当にものすごい評伝です。著者のマイケリスは漫画表現に人生をかけた天才の苦悩と孤独を徹底的に見つめていきます。 pic.twitter.com/L0FSWAx2Vv

2019-09-05 22:59:11
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古屋美登里 Midori Furuya @middymiddle

購入してもいいぞ、読みたいぞ、と思っていらっしゃる方は、消費税が10%に上がらないうちにぜひどうぞ。

2019-09-05 23:05:39