「もう大丈夫だよ、しずかちゃん……」 「のび太さん……」 「いい加減にしろよ、凡人どもが!この僕の……出来杉英才の邪魔を……僕は21世紀の終わりに魔王野比のび太から世界を救った『世界政府初代大統領』になる男だぞ!」 「出来杉……タイムパトロールのそんな言葉に騙されていたのか……」
2019-09-19 08:52:35「あなた……もうやめて!」 「うるさい!お前など、野比が魔王として覚醒した時点で用済みなんだよ!」 「そんな!!ひどい……」 「出来杉ッ!」 「さぁ郷田君、いかに君でもこの数のクローン兵を相手にできーー」 「ちょっとォ、僕ちゃんを忘れないでよね!」 「スネ夫!それにトカゲ君たちも!」
2019-09-19 09:01:13「さぁ、出来杉……もう終わりにしよう」 「…………」 「うん?のび太、何か変な音しないか?」 「ジャイアンも?何か地響きのような……」 「…ふ……ふははははッ!!『終わり』だと?終わるのはお前たちだけだ!この『別宇宙転送装置』で貴様たちを永遠に戻ってこれない時のはてへ送ってやる!」
2019-09-19 09:08:05突然開いた真っ黒な空間に吸い込まれていくトカゲ人間とクローン兵たち。 「ぐッ!み……みんな……大丈夫!?」 「俺たちは何とか……のび太、しずかちゃんは!?」 「わたしは大丈夫!でも……トカゲさんたちが……」 「トカゲ君たち……」 「ははははッ!!みんな消えてしまえ!時の果てへ!!」
2019-09-19 09:12:48「ドラえもん!?」 「ドラえもん!」 「ドラちゃん!」 「……嫌味はいいから、早く『これ』止めてよ……いつだって君は遅いんだから……おかえり、ドラえもん」 「……まったく、君ってやつは……ただいま、のび太君」
2019-09-19 09:23:27ジャイアン・クローン工場突入前
「何だよ、じゃぁ何にも使えないじゃん」 「いや、これは"あること"に使えるんだ。だから、スネ夫、僕たちが工場に突入したら、このタイムマシンを起動して、2155年3月の東京都練馬区月見台すすきが原☓☓☓へ」
2019-09-19 09:36:53そこにはタイムパトロールから釈放されたばかりのセワシがいるはずだ。彼なら、僕がタイムマシンを送った理由がわかってくれる。そして、きっとーー」 「解体される前に、ドラえもんを救い、この時代に送ってくれる……やっぱりセワシは僕のことわかってくれたんだね」 「そりぁ、君の子孫だからね」
2019-09-19 09:40:20※好評な未完作品の多さに定評のある作者
ここに始まるは、遥かなる戦いの詩。そして野比のび太と、その仲間たちの詩。この詩を歌い終われるよう、精霊たちよ、しばし我に力を与え給え!
2019-09-19 09:45:09Episode 4 続き
「だらしないところものび太君にそっくりだよ、まったく」 「馬鹿め……そんな四次元ポケットもないポンコツロボットに何が出来るっていうんだ?」 「ポンコ……出来杉!四次元ポケットが無くたって、僕はこの道具をどう使うのかはーー」 「!?風が止まった……?」 「こんなの朝ドラ焼き前なんだよ」
2019-09-19 09:54:12「くっ……こうなったら一旦退いて……しずか!来い!!」 「い、嫌っ!!」 「ダメだよ、出来杉。言っただろ?もう『終わり』にするんだ」 「何を……手を、手を離せ!」 「さようなら、出来杉」 「お、おい……ちょっとまて……何を!?やめろ、野比!!」 『別宇宙転送装置』に吸い込まれる出来杉
2019-09-19 10:01:28「のび太さん……」 「………」 「お、おい……クローン兵が……消えていく!?」 「のび太君。わかってると思うけど、もうあまり『時間』がないぞ」 「ああ、わかってるよ、ドラえもん……しずかちゃん……」 「のび太さん?何でそんなに悲しそうな顔を……ねぇ、何で……」
2019-09-19 10:08:44「……出来杉はタイムパトロールの先祖で、そしてほとんどの未来道具の開発者はタイムパトロールだからね。出来杉が……彼がこの宇宙から消えたことで、コピーロボットやタイムパトロールも消えていく……しずかちゃん、これを」 「何これ……嫌、のび太さん……何でそんな顔してるの?のび太さん!」
2019-09-19 10:13:05「本当は六年前に渡す予定だったんだけどね……はは、やれやれドラえもんの言うとおりだね。僕はいつもこうだ」 「嫌!のび太さん、ちゃんと……ちゃんとこっちを見て!わたしの顔を見て話して!!」 しずかに口づけをするのび太。しずかの頬に涙が伝う。
2019-09-19 10:16:40「しずかちゃん……出来杉たちが繰り返してきた過去改変が引き起こす未来の破滅は、あのとき『アダムの子供たち』を見つけた僕と出来杉、両方の血筋がこの宇宙に残っている限り、どうやっても逃れられないんだ。だからー」 「そんなの嫌よ!!やっと、やっとわたしの……自分の気持ちに気づいたのに」
2019-09-19 10:21:37「……僕だって本当は嫌さ!でもね、しずかちゃん。『あんなこと良いな』とか『出来たらいいな』とか未来を考えて生きていけるのが、宇宙の本当の姿なんだ。僕やドラえもんのように、未来と関わりすぎたものたちはここに居てはいけないんだよ」 「安心してよ、しずかちゃん。僕も一緒に行くんだから」
2019-09-19 10:26:36「そんなの……そんなのって……」 「のび太、お前最初から……」 「馬鹿野郎、のび太!僕ちゃんも連れてけ!」 「悪いね、ジャイアン、スネ夫。この『別宇宙転送装置』には定員があってね。僕とドラえもんとトカゲ君たちでいっぱいなんだ」 「……の……バ……のび太さんのバカ!もう、知らない!!」
2019-09-19 10:30:03「ははは……最後の最後までしずかちゃんに怒られちゃった……でも、しずかちゃん、気がついた?クローン兵は消えていくのに、ドラえもんは消えないだろ?何でかわかるかい?」 「えっ……?」
2019-09-19 10:31:58「ドラえもんの基本設計者はね、タイムパトロールたちじゃない……しずかちゃん、君なんだ。僕と君の子供のために、君が一生懸命考えた子守ロボットがドラえもんなんだよ。もちろん、君だけで出来たわけではないけどね。だからーー」
2019-09-19 10:34:46「だから、もしこの先の未来で、忘れっぽくてすぐ怒って涙もろいドラ焼きが大好きな猫型ロボットが発明されたら……僕たちの宇宙に遊びに来てよ。この先の未来は何も『決まっていない』。新しい希望だけなんだ……じゃぁね、みんな!また会おう!さようなら」 渦に吸い込まれていくのび太とドラえもん
2019-09-19 10:42:05……やぁ!ちゃんと約束通り来てくれたんだね ちょっとおばさんになったかしら? まさか!いつまでも綺麗だよ まぁ!調子いいんだから fin.
2019-09-19 10:43:59